『ファミコンウォーズ』の精神的続編を目指した国産SLG『タイニーメタル』が始動。菊田裕樹氏ら著名人も参加


AREA 34とProject Milkは、『タイニーメタル』を発表すると同時に、Kickstarterのキャンペーンを開始した。『タイニーメタル』は任天堂の『ファミコンウォーズ』シリーズから強い影響を受けているシミュレーションゲーム。本作は同シリーズの“お約束”を守りつつも、マップから戦闘までさまざまなアニメーションシーンが最近のグラフィック技術で描かれている。くわえて、菊田裕樹氏を中心とした日本の著名クリエイタースタッフが参加している点も見逃せない。

舞台となるのは架空の国家「アルテミシア」。アルテミシアは美しい緑に囲まれ成熟した文化を持つ小国。他国侵略をおこなってきた過去を持つものの、近年では専制国家として体制を築き、反戦の姿勢を保ち続けてきた。しかしある日平和は崩れ去る。アルテミシアの王「Luja Lindberg」を乗せた飛行機が謎の爆破によって墜落。主人公となるアルテミシア軍の若き少尉「Nathan」は、事件の裏で同盟国でありながら過去にアルテミシアから侵攻を受けた軍事国「ジパング」が暗躍していることを知り、傭兵団「White Fang」とともにジパングへと潜入する。

基本的な流れとしては、まずコストの小さい歩兵などを生産し、索敵しつつ近隣の街を占領しながら軍事力をつけていく。コストに余裕がでてくれば、バズーカ兵なども生産することが可能になり、次第に偵察車両や戦車、ガンシップなどを揃えて敵地へ侵攻をおこなう。こういったゲームの流れ、またユニットがレベルアップしない点など、多くの部分で『ファミコンウォーズ』を色濃く感じさせるデザインとなっている。また本作にはUnreal Engine 4が採用されており、“お決まり”の戦闘シーンなどが美しくもかわいらしい3Dで描かれている点は、本作独自の魅力といえるだろう。

コンテンツしては、重厚なシナリオが楽しめるキャンペーンモードのほかに、Kickstarterのストレッチゴールを達成すればマルチプレイやマップエディターが搭載されるとのこと。作成したマップを友人にシェアし、そのマップを舞台に対戦することも可能だという。

開発を担当するのは東京に拠点を構えるスタジオProject Milk。代表者は『聖剣伝説2』などを手がけたコンポーザー菊田裕樹氏で、ほかにも著名スタッフが開発に参加している。シナリオは『いけにえと雪のセツナ』に参加していたHiro Inaba氏、コンポーザーは同じく『いけにえと雪のセツナ』のTomoki Miyoshi氏。3Dモデリングは『パラサイト・イヴ』シリーズに携わったMatsumi Oda氏、エフェクト作成は『鉄拳7』などに参加したAGNI FLARE氏が担当している。ちなみに菊田氏は作曲家として有名だが、今回はシナリオのスーパーバイザーとして参加しているようだ。スタッフは“純粋に面白いゲームを作りたい”という熱い志によって集められた精鋭だという。トレイラーで菊田氏は「ミリタリーが大好きで、近年戦略性の高いゲームが生み出されないのが寂しかった。シンプルでありながら奥深いシミュレーションを作りたい」と語っており、シミュレーションゲームへの並々ならぬ情熱が垣間見える。

Kickstarterページでは序盤の3ミッションを体験できるデモ版がプレイ可能。実質的なチュートリアルとなっており、ゲームの雰囲気を楽しむことができる。遊んだ感想としては、基本システムはほぼ完成されており、かなり期待が持てる印象を受けた。派手な戦闘とマップ画面の切り替わりもスムーズでテンポよく、遊びやすさにも配慮されている。製品版には日本語が搭載されるようだが、このデモ版ではインストール時に日本語を選んでも日本語ではプレイできないようなので注意してほしい。

『タイニーメタル』は2017年6月にPCでリリース予定だ。