「Steam不評レビューを使って大喜利しないで」と業界人が呼びかけ。おふざけ低評価で売り上げに打撃の可能性

 

Steamにおけるユーザーレビューについて「不評レビューを利用して冗談をいうのはやめてほしい」とゲームパブリッシャーのスタッフが伝え、反響を呼んでいる。作品の評価として不適切なレビューが投じられ、そのレビューが「参考になる」とされてしまうケースが見られるそうだ。


Steamユーザーレビューのありように一石を投じたのは、Ryan T. Brown氏。パブリッシャーであるSuper Rare Gamesで広報業務などを担当する人物だ。同氏は7月27日、自身のTwitterアカウント上にて、Steamにおけるユーザーレビューにまつわる問題を提起した。同氏は「Steamの不評レビューを使ってギャグを投稿しないで!」とコメント。その問題点について伝えた。同氏によれば、不評レビューはユーザーが想像するより強く、作品の売り上げや露出に影響を与えるという。

Ryan氏が例としてツイートに添えたのは、ホラーゲーム『Fears to Fathom – Home Alone』に寄せられたユーザーレビューだ。同作は無料プレイ作品であり、全体の評価としては本稿執筆時点で3800件以上のユーザーレビュー中90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。一方で、Ryan氏が示したユーザーレビューは「殺人鬼を追いかけてラザニアをぶつけられない、0点」との突飛なコメントとともに同作に低評価をつけている。作品のクオリティや内容と照らし合わせると、これは不評レビューを利用したギャグ投稿と見られる。シュールな理由で低評価をつけて笑いを誘おうとする、大喜利的な“ボケ”と考えられるだろう。

そして懸念となるのは、同レビューを100人以上のユーザーが「参考になった」とし、200人以上が「面白い」と評価している点である。Steamユーザーレビューに対しては別のユーザーが参考になった/ならないの評価ができ、それとは別に面白さの評価軸や、ポイントでさまざまなアイコンが付与できるアワード機能がある。そして、多くのユーザーに「参考になった」とされるレビューは目立つところに表示される傾向があるほか、参考になった順にレビューを整列する機能などもある。


Ryan氏は、こうした低評価ギャグレビューがユーザーたちに「参考になった」「面白い」と評価を受け、作品の評価に響く点を危惧しているようだ。例とされた『Fears to Fathom – Home Alone』はすでに高評価を受けている作品ゆえ、影響は些少だろう。

しかし、これがもっとレビュー数の少ない作品であれば、低評価レビューが存在感を放つことでユーザーの買い控えを誘う可能性や、あるいはSteamストア上での露出になんらかの影響を与える可能性もある。Steamレビューの高評価率は、Steam上のキュレーションに影響を与えるといった報告もある。おすすめゲームとして出てくる頻度が減れば、売上にも影響が出る。Ryan氏は「作品に不評ユーザーレビューが投じられると、Steamのフロントページで露出されなくなる」との見解を述べている。レビュー投稿者が“ウケ狙い”で低評価を投じたのだとすれば、作品の評価に不当な影響を与える行為となるわけだ。


Ryan氏の投稿には、開発者など業界関係者からの反響が寄せられている。たとえば「レビューはふざけていても、本当に作品を面白くないと感じている可能性はある」との指摘や、「レビューの内容はどうあれ、正直な評価を反映してほしい」とするが開発者たちから見られた。また、ウケ狙いの不評レビューが開発者たちの売り上げを奪うとして、Ryan氏の懸念に同意する者も散見される。なお、こうした問題はユーザーの責任ではなく、Steamというプラットフォーム自体の課題であるとの指摘についても、Ryan氏は同意している。

同投稿のリプライ欄などでは、「どのようにウケ狙いのレビューを防ぐのか」あるいは「本当に防ぐ必要があるのか」といった議論が活発に交わされている。いずれにせよレビューが“ウケ狙い”かどうかを正確に判断する方法は存在しない。また、Steamの規約では、ユーザーレビューにおける中傷・宣伝・評価操作目的の投稿などを禁じている。一方で、ウケ狙いの投稿や不正確な記述は禁じられていない。どれだけ正確にレビューを記述するかは、ユーザーのモラルに任せられるところだろう。ユーザーレビューを投じる際には、正直に感じたことを記述して評価したいものである。


貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。