ゲームメディア米IGNがライバルゲームメディアグループを買収。EurogamerやDigital Foundryなどが「IGNの傘下メディア」に

 

メディアグループGamer Networkは5月22日、IGN Entertainmentに買収されたことを明らかにした。Gamer Network傘下メディアGamesIndustry.bizを通じて報告している。買収金額は非公開。

Gamer Networkはイギリスに本拠を置く企業で、傘下にはGamesIndustry.bizのほかEurogamerやRock Paper Shotgun、VG247、Dicebreakerといったゲームメディアを抱える。また、ゲームの技術解析で知られるDigital FoundryやOutside Xboxといった人気YouTubeチャンネル、さらにNintendoLife、PushSquare、PureXbox、Time Extensionなどのゲームメディアにも出資してグループを構成している。


一方のIGN Entertainmentは、アメリカの大手メディア企業Ziff Davis傘下のメディアグループ。ゲームを含むエンターテイメントを扱うIGNを中心とし、Humble BundleやHowLongToBeat、MapGenieといったゲーム関連企業・サイトを傘下に抱えている。IGNは1996年に設立され、現在日本語を含む20以上の言語で世界中に展開している世界最大級のゲーム・エンタメメディアとして知られる(日本のIGN Japanは、ライセンスを受けて産経デジタルが運営)。

今回の買収の背景は公表されていないが、欧州最大級のゲームメディアEurogamerをはじめとしたゲーマーに馴染みのあるメディアの数々が、いわばライバルともいえるIGNと同じグループに取り込まれた格好。海外ゲーマーの間では大きな注目を集めているようだ。IGNは巨大メディアであるだけに、ゲーマーからは必ずしも支持ばかりを集めているわけではなく、また親会社Ziff Davisの方針で傘下メディアがコスト削減の影響を受けた過去の事例もあり、SNSなどではEurogamerやDigital Foundryなどの今後を心配する声は少なくない。

そうしたファンの不安の声に対しDigital FoundryのスタッフJohn Linneman氏は、心配は無用であるとコメント。「Digital Foundryは死んだ」と悲観するファンに「むしろ逆だ」と返信し、基盤強化に繋がるとの見方を示唆している。ただ今回の買収を受けて、イギリスに拠点を置くGamer Network傘下メディア内では人員削減が実施されている。


ちなみに、Gamer Networkの前親会社であるReedPopは、PAXやNew York Comic Con、Star Wars Celebrationなどの大型イベントを手がけており、コロナ禍以降窮地にあった世界最大規模のゲームイベントE3の復活を託された企業としても知られる。結果的に、ReedPop運営によるE3は開催されることはなく、昨年E3はその歴史に幕を降ろすこととなった(関連記事)。なお、Gamer Networkが運営していたイギリスでのゲーム・エンタメイベントEGXやMCMは今回の売却対象には含まれず、引き続きReedPopが保有するとのことだ。


国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。