高難度ジャンプアクション『Jump King』「目隠しRTA」の世界記録更新、通常RTAとの差はわずか4分に。画面が見えなくても“全部覚えれば”高速クリアできる

 
Image Credit: Valmerix on YouTube

Nexileより2019年にPC(Steam)向けにリリースされ、2020年にはPS4/Nintendo Switch/Xbox One向けにもリリースされた『Jump King』。そんな本作の「目隠し」スピードランについて、Valmerix氏が 3月4日、7分48秒979を記録。自身のもっていた世界記録8分57秒251を更新した。これは目隠しをしない、同じレギュレーションの世界記録との差が約4分に迫る記録となっている。


Speedrun(スピードラン)とは、日本ではRTA(リアルタイムアタック)とも呼ばれる、ゲームクリアなどの目標を達成するまでの時間を競う競技だ。スピードランの対象であるゲームのレギュレーション、世界記録ランキングなどはSpeedrun.comなどの集計サイトで確認することができる。

そして『Jump King』は、ジャンプアクションゲームだ。本作でプレイヤーは足場を乗り継ぎ、ぴっちぴちのギャルに出会うため頂上を目指すこととなる。しかし操作するキャラクターはジャンプと横移動のみしかできない。ジャンプはボタンを押す長さで36段階に飛び方が変わる。しかし障害物などにぶつかってしまうと足場に落ちるまで操作ができなくなってしまう。セーブポイントなどもないため、試行錯誤を繰り返しつつ登っていく必要がある。

Valmerix氏が挑戦したのは「Blindfolded」カテゴリ。同カテゴリでは「Main Babe」と呼ばれている初期マップを最速でクリアすることになるが、「ゲームプレイ中は目隠しをする」というルールが加えられている。またゲームプレイ中は作戦を立てるための一時停止も禁じられており、通常プレイに比べてかなり難しいレギュレーションといえるだろう。


そんな「Blindfolded」カテゴリについて3月4日、Valmerix氏が自身の持つ世界記録8分57秒251を更新し、7分48秒979とした。不正防止のために目隠しと手元が写されているため、動画上では淡々とジャンプをこなしているValmerix氏を確認できる。同氏はステージにおける環境音や、キャラがジャンプした際に足場にぶつかる音などを聞きつつ視覚的な情報なしで登っているのだろう。そして頂上に到達しゴールを確信すると、一度だけ天を仰いだ。計348回に及ぶジャンプのうち、下に落ちてしまった回数はたったの1回に抑えられている。目隠しをしたままということを差し引いても、驚異的な精度といえるだろう。

本作のスピードランはもちろん目隠しなしでもおこなわれている。目隠しをしない以外は「Blindfolded」と同じレギュレーションである「Main Babe」では、本稿執筆時点で世界記録が4分0秒788となっている。Valmerix氏の記録7分48秒979と比較すると、目隠しなしの記録に対して4分を切る差まで迫っており、条件付きの挑戦であることを感じさせない走りだといえるだろう。

Image Credit: Valmerix on YouTube


Valmerix氏は自身の記録を海外掲示板Reddit上にも投稿し、ユーザーから寄せられたさまざまな疑問やコメントについて返信している。たとえば同氏は、本作を1000時間もプレイしているため、脳内だけでゲームプレイがよくわかる境地に達していることを明かしている。またほかにもジャンプの精密さについては、“すべてのジャンプ”の入力の方向、そして長さを覚えているという。

先述した通り、本作ではジャンプが入力の長さによって36段階に変化する。Valmerix氏は最大まで溜めたジャンプをできる限り使うルートにしているとのことだが、それだけではクリアできず、段階の低いジャンプも必要になる。そのため、Main Babe で必要な300回以上のジャンプのすべてについて、その場所や方向などをすべて記憶しているようだ。

目隠しをしながらのスピードランにも関わらず、通常プレイのスピードラン記録にも迫る勢いで世界記録を更新したValmerix氏。目隠しによる困難さを、圧倒的なやりこみや記憶、プレイスキルなどによってカバーし、大幅な自己ベスト更新に至ったようだ。なお別のゲームにおいても、目隠しスピードランはおこなわれており、たとえば『スーパーマリオ64』では数々の目隠しスピードランを達成してきたBubzia氏が複雑なグリッチを利用してスターを取らずにクリアする「0 Star」レギュレーションを完走し、話題となっていた(関連記事)。視覚的な情報に頼らず記録を成し遂げ続ける目隠しスピードランナーたちの今後のさらなる挑戦も注目されるところだろう。