『マインクラフト』を用いた、国土交通省による「立野ダム再現動画」がいきなり登場。やたらと細かく大規模再現、近日ワールドデータ公開へ

 
Image Credit: 国土交通省 九州地方整備局 on YouTube

国土交通省の立野ダム工事事務所は11月16日、熊本県に建設中の立野ダムを『マインクラフト』で再現した動画をYouTube上に投稿した。この建築の完成度の高さに注目が集まっている。


立野ダムは、熊本県に建設途中の流水型ダムだ。ダムの左岸は大津町に、右岸は南阿蘇村に隣接する。高さは87メートル、幅は197メートルとなっており、下流は白川から有明海に通じている。

流水型ダムは、黒部ダムや高瀬ダムなどのように、通常時に水を蓄えておくわけではない。主目的となる洪水調節機能に特化しており、水を吐き出す穴がダムの下部に設置されている。このため、通常時は川が流れるのと同じ状態となる。また洪水時は一時的にダムに水をため込みつつ、空けられた穴から常に一定量の水を排出し続けることで、洪水時のピークとなる水量に達するまでの時間を稼ぎ、被害を軽減する効果があるとされる。

立野ダムの建設事業は、1983年より着手。2016年に熊本地震によって建設地周辺で断層活動などが確認されたが、調査の結果ダム建設に問題がないことを確認できたため事業は継続された。そして2023年5月にはダム本体のコンクリート打設工事が完了。2024年度からの運用開始を目指している最中だという。

*立野ダムの堤体(2023年5月31日時点)
Image Credit: 国土交通省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所

『マインクラフト』による立野ダムの再現では、減勢工と呼ばれる下流部分を含めてダム堤体部分が見事に構築されている。さらに木々などの周囲の地形やそのほか道路を含む建設物まで緻密に作りこまれていることがうかがえる。制作チームや手法などは明かされていないものの、地形の3Dデータなども活用されたのかもしれない。なお動画ではワールドの重さや描画距離の設定からか一定距離から先は描画されておらず、立野ダムが存在するワールドの全貌を確認することは難しい。それでもかなり広い範囲にわたって再現されていることがうかがえる映像だ。

『マインクラフト』ではユーザーによるワールド制作も盛んにおこなわれており、動画としてその全貌が投稿されることもしばしば見られる。一方で本動画は「よく見たら国土交通省が作っている」というギャップなどによってか、X上で話題になっている。広範にわたるダムや周辺建造物の高い建築レベルに対して称賛の声が寄せられている。また全貌が確認しきれないほどの規模の大きさに対して描画距離が控えめな点から、使用されているPCのスペックを心配する反応なども見られる。

Image Credit: 国土交通省 九州地方整備局 on YouTube

なお立野ダムは広報活動の一環として、以前よりiPhone・iPadなどで利用可能な「AR!どこでも立野ダム」や、ペーパークラフトの型紙を公開するなどしていた。またYouTubeチャンネル上にも、「たてのラプス」と称しダム工事の様子をタイムラプス動画として投稿するなど、立野ダムに関する動画が複数投稿されていた。今回は広報活動の題材に『マインクラフト』が選ばれたかたちだろう。

ちなみに今回の動画におけるワールドは、立野ダム工事事務所より公式ホームページ上で近日中にワールドデータを公開する予定だという。緻密に作り込まれた立野ダムやその周辺を自分の目で確かめてみるのもいいだろう。