「スイカ」のイライラ空登りゲーム『Hans』Steamにて好評スタート。『Only Up!』風ながら、独自のイライラ挙動が好感触

 

デベロッパーのat0mは11月7日、パルクールゲーム『Hans』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)。同作はパルクールゲーム『Only Up!』の類似作品として登場。しかしながら、独自性などが評価されてか、Steamでの一定の人気と高評価を得ている。

『Hans』は物理演算が採用されたパルクールアドベンチャーゲーム。主人公は科学技術により生み出された不死の存在Hansだ。丸々としたスイカの姿をしている。本作の世界では人類が宇宙に旅立ったという。地球上に取り残された孤独なHansは人類を追うためか、楕円形の体を転がしてジャンプしながら、空へ空へと登っていく。

本作でHansが登っていくのは、高層ビルや木々、車などが浮かび上がった混沌とした世界。そこにチェックポイントはなく、回転する身体を上手にコントロールし、慎重なジャンプを駆使して登っていく必要がある。「モニターを叩き割らないように」と開発元が注意喚起するほどの、根気が必要なゲームプレイ内容となっている。


そんな本作がインスパイアされたと見られるのが、同じく高所へひたすら登っていくゲーム『Only Up!』だ。同作は別のデベロッパーであるSCKR Gamesが手がけ、Twitchなどのプレイ配信を通じて多大な人気を博した。しかしながら、開発元が作品の販売を突如停止(過去の購入者は引き続きダウンロード・プレイ可能)。数多くのフォロワー的作品がリリースされたり、名を同じくする作品が出たりと波乱が見られるジャンルだ(関連記事)。

そんな『Only Up!』の影響が垣間見える『Hans』は、Steamでのリリース後さっそく好評を得ている。本稿執筆時点でSteamユーザーレビュー228件を集め、うち93%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。同時接続プレイヤー数もピーク時で122人とまずまずの人気だ。


ユーザーレビューの内容としては、本作の容赦ない難易度に対する悲鳴が中心。しかしながら、スイカ型のプレイヤーキャラを前提としたゲームデザインや、 慣性が強く働く調整など、本作の独自性が出た部分が評価を受けているようだ。なお、ほかの『Only Up!』フォロワー作品については、Steamユーザーレビューにて50%前後の好評率に留まっているものがほとんど。『Hans』は独自のこだわりをもって制作されていると見られ、評価につながったかたちだろう。

ちなみに昨今ではスイカという要素を同じくする『スイカゲーム』が国内外で流行している。一方本作は、『スイカゲーム』ブームが海外に波及する直前の9月末に公開された動画にて、開発が一定まで進められていた様子も見られる。「スイカ」の一致は単なる偶然だろう。

本作を手がけるat0m氏は、トルコを拠点とするデベロッパーだ。同氏はYouTubeでは43万人以上の登録者を集めている人物である。ゲーム開発などにまつわるコンテンツをしばしば投稿しており、itch.ioでは原則トルコ語のみ対応ながら、さまざまなゲームを公開している。『Hans』は同氏にとって初のSteamリリース作品のようだ。また、同作Steamレビューにはトルコ語での投稿も目立つことから、ファンの支持が反映された部分もあるかもしれない。

『Hans』はPC(Steam)向けに配信中。11月14日までは、リリース記念セールとして10%オフの税込522円で販売されている。