『Only Up!』の名を冠するゲームが、Steamに“またしても”登場。Steamにある『Only Up』を題するゲームはこれで7本に

 

SCKR Gamesが手がけた『Only Up!』のタイトルを勝手に用いていると見られる作品が、Steam上にまたもや出現。『Only Up!』(!は全角表記)なるタイトルのゲームのSteamストアページが公開されている。昨年複数出現した類似タイトルのフォロワー的作品も依然として販売が継続されており、ユーザーにとっては紛らわしい状況が続いている。なお本稿には同作を含め類似タイトル作品の購入を薦める意図はない。


SCKR Gamesが手がけた『Only Up!』は、空へと伸びる構造物を上へ上へと登るシングルプレイ専用の3Dアクションゲームだ。主人公のJackieは、貧困から抜け出し、世界と自分自身を知る旅に出ようと、スラム街の上空にそびえる構造物を登る。構造物には、さまざまなオブジェクトや施設などが雑然と存在し、それらが組み合わさるようにして空に浮かんでおり、不思議な光景となっている。プレイヤーは、足を踏み外して落下しないよう慎重に歩みを進めていくこととなる。

『Only Up!』は2023年5月にリリースされ、Twitchなどストリーミング配信サイトを中心に国内外で人気を博した。しかし同作は同年9月に販売終了となり、以前の購入者は引き続きゲームをプレイできるものの、新たに入手することはできなくなった。Steamストアページ上のタイトル表記は「not available」に変更。そのほか開発者名が変更されたり公式YouTubeチャンネルが閉鎖されたりと『Only Up!』が販売されていた痕跡が限りなく消し去られる対応がとられた(関連記事)。

“本家”は姿を消した一方で、『Only Up!』のフォロワー的作品が続々とリリース・発表されている。中にはSCKR Gamesとは無関係の開発・販売元が、タイトルに「Only Up」を勝手に用いていると見られる作品も複数存在。今回Steamストアページが公開された『Only Up!』もそのひとつで、本家のタイトルのエクスクラメーションマークを半角から全角に変えただけの紛らわしいタイトルだ。


Steamストアページでの公式説明を見るに、『Only Up!』も構造物を空に向かって登り続けるゲームプレイとなるようだ。工場や砂漠、日本の都市などがロケーションとして登場するという。動きをスローにしてコントロールできるシステムが導入されるそうだ。

そして『Only Up!』の主人公は、スラム街出身の少年Jackyだという。ゲームタイトルだけでなく主人公のネーミングまで本家『Only Up!』を模倣しているようだ。Steamストアページのスクリーンショットを見るに、青い帽子や短パンといった主人公の服装も本家のJackieとよく似ている。本家『Only Up!』の関連タイトルといった誤解を生じさせる狙いもうかがえる。

なお開発・販売を手がけるWGI GAMINGは2023年9月にも空登りゲーム『Only Up! 1』をリリースしていた。こちらも主人公は少年Jackyであり、新作『Only Up!』と主人公を共通する作品なのかもしれない。『Only Up! 1』のSteamユーザーレビューは本稿執筆時点で37件中好評率40%にとどまる「賛否両論」ステータス。ゲームプレイの課題点のほか、本家と『Only Up!』と紛らわしいタイトルからか“偽物(fake)”といった批判も受けていた。WGI GAMINGはそうした批判を横目に、今回より本家と紛らわしいタイトルの『Only Up!』をリリースするようだ。


先述のとおりSteam上では『Only Up!』のほかにもさまざまな類似タイトルのゲームのストアページが開設されたり、リリースされたりしている。昨年9月に『Only Multiplayer: Up!』から『Only Up!』と改名した作品も、そのままのタイトルで販売継続中。SteamDBで確認できるかぎり、「Only Up」とのタイトルがそのまま使われた作品は本稿執筆時点で7作品。このほか少し変えて『Only go up』といったタイトルで販売されている作品も複数見られる。

またNintendo Switch向けにも『オンリーアップ!OnlyUP!』が発売されるなど、プラットフォームを越えて類似作品は広まっている。本家が話題を博しただけに、大胆に名前ごと似せたフォロワー作品が後を絶たない状況だ。

なお本家を手がけたSCKR Gamesは本家『Only Up!』を販売終了する際に、同作には数多くの失敗があり、サポート継続にあたってストレスに苛まれていたと説明。「ゲームを過去のものにしたい(I want to put the game behind me)」との意図を綴っていた。その後巻き起こっている類似作品による混乱に、SCKR Gamesは沈黙を貫いているのかもしれない。Steamなどのプラットフォーマーとしては権利者の訴えがなく、混乱に対処しづらいといった可能性もありそうだ。