株式会社ポケモンは9月13日、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモンSV)の有料追加コンテンツ「ゼロの秘宝」「前編・碧の仮面」を配信開始した。追加コンテンツ解禁によって、さまざまな技が解禁となっているようだ。過去作で一世風靡した技が復活するも、いろいろ変更が施されている。
「ゼロの秘宝」は「前編・碧の仮面」と「後編・藍の円盤」から構成される、『ポケモンSV』の大型DLCだ。本編の舞台であったパルデア地方を飛び出し、「前編・碧の仮面」では林間学校がおこなわれる地であるキタカミの里へ向かう。新たなエリア・新たなキャラ・新たなポケモンに加えて、過去作の技も一部復活。その中には対戦環境でおなじみの技が再び登場している。一方で、それらの技にはいろいろ変更が加えられているようだ。
『ポケモン』攻略大手サイトポケモン徹底攻略によると、「前編・碧の仮面」に配信に際してはおよそ30種類の技が追加された。ジャイロボールやはたきおとす、ほえるなど、変化技含む強力な技がラインナップされている。
一方で、それらの仕様にはいくつか変更が加えられているようだ。たとえば、今回復活をはたすグラススライダーが顕著な例だろう。グラススライダーはくさタイプの物理技。グラスフィールドで展開されている時に発動すれば、必ず先制できる。『ポケットモンスター ソード・シールド』(以下、ポケモン剣盾)ではこの技が猛威を振るった。というのも、ゴリランダーが使えるからだ。
ゴリランダーは同作では、隠れ特性としてグラスメイカーを保有。グラスフィールドはくさタイプの威力を1.3倍(『ポケモン剣盾』時)にする。さらに、くさタイプタイプ一致で1.5倍。ゴリランダーの攻撃の種族値も高いことからかなり威力が高く、グラスメイカーから問答無用で先制でグラススライダーを叩き込むという戦法が、人気を博した。
ゴリランダーこそ『ポケモンSV』ではすでに登場済みであるものの、グラススライダーは今回のDLC配信に際して登場。ついにグラススライダーもちゴリランダーが復活したわけである。しかしながら変化があった。威力だ。グラススライダーは『ポケモン剣盾』では威力70の技であったが、今作より威力は55になった。15という数字の低下であるが、前述したようにさまざまな係数がかかって強化される側面もあるので、技ひとつの数字低下以上に影響があるだろう。
またねっとうについては、習得ポケモンについて変更が実施され、使い勝手が変わっている。没収された例としてわかりやすいのは、ドヒドイデだ。ドヒドイデはみず・どくタイプのヒトデナシポケモン。防御と特防に強みをもつ。耐久に特徴があることから、受けポケモンとして起用されることが多く、まもる状態になりつつ直接攻撃してくる相手をどく化するトーチカや、じこさいせい、どくどくで長期戦に持ち込む。その中でメインウェポンとして採用されがちだったのは、ねっとうだ。
ねっとうは、みずタイプの威力80の技。みずタイプ技ながら、30%の確率で相手をやけど状態にする特徴がある。やけど状態時は攻撃は実数値の半分になる。つまり、ドヒドイデがより要塞と化するウェポンであった。対戦シーンではねっとうはドヒドイデの定番であったが、それが没収となった。思い返せば、本作においてはエースバーンもリベロが没収済みである。『ポケモン剣盾』で人気のあった戦法、あるいは多かった戦法は対応されている印象だ。新作では新しい戦い方を考えてほしいということかもしれない。
一方で、新しく解禁された技が猛威を振るう一面も。たとえば本作で対戦シーンにて強力なカイリューはほえるとくろいきりを習得することで、より受けポケモンとして器用さを増している。あるいは、バンギラスがはたきおとすを覚えることで、こちらも使い勝手が向上している印象だ。没収技もある一方で、新しい技が新しい風を吹かせている。どう戦うかはプレイヤー次第。『ポケモンSV』の環境がどう変化するのか、注目されるところだ。