『アーマード・コア6』大手コミュニティで“性的コンテンツ禁止ルールを守れ”とコミュニティのモデレーターが注意喚起。画面にキャラ出ないのにファンアート激増&多様化が背景か

 

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)』について、現在SNSやフォーラム上でファンアートなどの投稿が盛んとなっている。しかし、とある大規模Redditコミュニティでは「性的表現を含むアートなどの投稿」の禁止ルールを、モデレーターが明示。“画面に人が出ない”ゲームながら、ファンの妄想の勢いが諌められる事態となっている。なお、本稿には本作のネタバレとなりうる要素や、ファンの解釈による二次創作アートが含まれるため留意してほしい。
【UPDATE 2023/9/10 16:30】
記事タイトルにて、注意喚起は「コミュニティのモデレーター」がしていることを強調


『アーマード・コア6』は、メカカスタマイズアクションゲーム『アーマード・コア』シリーズの最新作だ。本作の舞台は、辺境の開発惑星ルビコン。本作においてプレイヤーは、ハンドラー・ウォルターなる人物に導かれ独立傭兵となった強化人間「621」として戦闘メカ「アーマード・コア(AC)」に乗り、エネルギー資源コーラルを巡る戦いに身を投じていくことになる。

そして『アーマード・コア』シリーズでは初期からキャラクターたちが原則フルボイスで登場。そうしたキャラたちもファンに愛されていた。たとえば『アーマード・コア フォーアンサー』登場の「パッチ、ザ・グッドラック」は、名物キャラとして『Demon’s Souls』および『ダークソウル』シリーズや『Bloodborne』『エルデンリング』にも登場する存在に。

ほかにも数え切れぬ数の個性的なキャラたちがネットミームやファンアートの題材となり、「キャラそれぞれに熱烈なファンがいる」といっても過言ではない背景がある。なお、同シリーズではごく一部の作品資料を除いて「キャラクター絵」が存在しない。姿かたちもわからないキャラに対して、シリーズファンは深い情念を燃やしてきたわけだ。最新作『アーマード・コア6』においても、同様にプレイヤーたちのキャラ愛は燃え上がった。そして一部コミュニティでは燃え上がりすぎたようだ。

Redditの本作コミュニティ/r/armoredcoreのモデレーターは9月7日、「最近のファンアート投稿について」と題したスレッドを投稿。そこでは同コミュニティの「第7ルール」を忘れないよう強めに告知されている。そのルールとは「No NSFW content」、すなわちセクシャルなファンアートや文章および、アダルトサイトへの言及など「NSFW(職場閲覧注意)」なコンテンツ投稿を禁じるルールだ。モデレーターによれば、告知前の1週間ほどはメッセージボックスにそうしたNSFW投稿に関する通報が殺到したという。

たしかに同コミュニティでは近頃、本作登場キャラクターたちの際どい姿を描いたキャラクター絵などの共有が散見された。また、性別種族問わず、キャラクターに対する愛情や性的欲求をあらわにする文章やネットミームも投じられていた。こうしたファン投稿の傾向はX(旧Twitter)などでも同様なものの、ルールに明白に抵触する/r/armoredcoreにおいては、モデレーターがルール遵守の喚起をおこなったかたちだろう。

そしてこのムーブメントについて興味深いのは、『アーマード・コア6』には、ごく限られたゲーム内資料を除いて「キャラクターの絵」が存在しない点である。本作では3Dモデルはおろか、立ち絵なども存在せず、登場キャラの姿をはっきり知ることはできない。ある資料では顔を除いたおぼろげな容姿を確認できるものの、ほかに得られるのは「会話・声」と「時折得られる背景情報」のほか、ACパイロットの場合は「機体アセンブルの癖」「戦闘機動の傾向」といった情報くらい。画面に映し出されるのは基本的にステージ・戦闘メカ・敵たちだけとなる。シリーズ恒例に違わず、骨太なメカアクションである。にも関わらず、一部プレイヤーたちはそれぞれのキャラの姿を見出し、それを絵に描き起こしているわけだ。

*プレイヤーによる「レッドガン」メンバーの想像ファンアート


前述のとおり『アーマード・コア』シリーズでは各キャラクターの人気も高く、キャラの容姿の想像図を描くファンもしばしば存在した。とはいえ、ネットミームやジョーク的な側面をもたない性的二次創作コンテンツについては極めて少ない状況があった。何しろ、ゲーム内にほぼ人物が出てこないのだから納得できる傾向だろう。

しかし、『アーマード・コア6』においては状況がまったく変わってきている。そもそも肉体をもたないであろうキャラにさえ扇情的なボディが与えられおり、傭兵支援インターフェース「オールマインド」については、多くのユーザーたちが集団幻覚めいて同じ姿でファンアートを描いている状態だ。同インターフェースの日本語版音声を担当した潘めぐみ氏もファンアートを自身のXアカウントにて共有。“集団幻覚”が声優本人に届くほど大きなムーブメントになっているわけだ。

https://twitter.com/han_meg_han/status/1700122485558304950


いずれにせよ、『アーマード・コア6』におけるファンアートは、質・量ともにシリーズのなかでは異例といえるだろう。また、訓練された従来ファンたちによるファンアートも共有されているほか、本作に新規に触れたプレイヤーらも本作のキャラたちに魅入られ、結果としてファンアートが増加し多様化。/r/armoredcoreにおいても、モデレーターが釘を刺すほどの性的コンテンツ投稿が起きたとも考えられる。

また、本作においては発売前から「なぜか性的に興奮している」と伝えるプレイヤーが出現したり、ショットガンが“ツンデレ美少女擬人化”されたりなどの事態も起きている(関連記事1関連記事2)。ファンの挙動や愛情の発露の仕方がやや奇特なのは、フロム・ソフトウェア作品の特徴かもしれない。

『アーマード・コア6』ファンコミュニティが隆盛し、ファンアートが多く投じられることは基本的には好ましいことだろう。しかし、二次創作は倫理面を踏まえ、公式や各コミュニティのガイドラインに則って実施できるのが理想である。また、特定のファンアートや二次創作キャラクターデザインが人気を博したとしても、プレイヤー各個人が見るキャラクターの“容姿”はそれぞれ異なっているはず。それぞれのイマジネーションを尊重して本作を楽しむのがよいだろう。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)』は、PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。



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