『アーマード・コア6』の開発に、河森正治氏や宮武一貴氏らが参加していたことが判明。その道のベテランたちがこっそり参加

 

フロム・ソフトウェアは8月25日、『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S。本作内クレジットにて、本作開発には河森正治氏をはじめとした日本国内の著名メカニックデザイナー陣が参加していることが明らかとなった。SNS上では関係者らの個人アカウント上で参加を公表する投稿も見られる。

『アーマード・コア6』は、メカカスタマイズアクションゲーム『アーマード・コア』シリーズの最新作だ。舞台となるのは辺境の開発惑星ルビコン。この地ではかつて、謎の新物質コーラルが発見され、エネルギー資源として期待された。しかしコーラルは周辺星系をも巻き込む大災害「アイビスの火」を引き起こすことに。以来その宙域は厳重な監視下におかれ、封鎖惑星となったルビコンでは大災害を生き延びた人々がか細い生を繋いでいた。プレイヤーは強化人間「C4-621」として、戦闘メカ「アーマード・コア」に乗り、戦いに身を投じていくことになる。

本作ではパーツを自由に組み替え(アセンブル)してアーマード・コアを構築。愛機を駆ってミッションをクリアしていくシリーズの楽しみを踏襲している。また、荒涼とした世界観で繰り広げられる物語もファンの注目を集める要素のひとつといえる。また、本作は実に約10年ぶりのシリーズ新作となる。展開を心待ちにしていた既存ファンのほか、『ダークソウル』シリーズや『エルデンリング』などでフロム・ソフトウェアが新たに築いたファンベースからも注目を集めていたタイトルだ。


そんな本作の制作クレジット内で、日本国内の著名メカニックデザイナーら、河森正治氏、宮武一貴氏、柳瀬敬之氏、山下いくと氏が本作開発に携わっていることが明らかとなった。河森氏と宮武氏、そして柳瀬氏はメカニカルデザインで参加。また山下氏は、コンセプチュアルデザインコーポレーション氏として参加している。以下に、前述した開発参加デザイナー陣の代表作および『アーマード・コアシリーズ』との関わりなどをご紹介したい。

河森正治氏はメカニックデザイナーのほか、アニメーション監督・演出家・脚本家として活躍。「マクロス」シリーズや「アクエリオン」シリーズなどの代表作で知られ、「超時空要塞マクロス」においては主役メカ「VF-1 バルキリー」のデザインを担当。“初代”『アーマード・コア』のメカニックデザインを手がけた人物であり、『アーマード・コア fA(フォーアンサー)』においては同作を象徴する機体「ホワイトグリント」のデザインも手がけている

宮武一貴氏はスタジオぬえ所属のメカニックデザイナー。コンセプトデザイナー・イラストレーターとしても活躍しており「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ、「マクロス」シリーズのメカニックデザインに携わった。『アーマード・コア fA』においてはアームズフォート(巨大移動要塞)「スティグロ」のデザインを担当。


柳瀬敬之氏は元フロム・ソフトウェア所属のメカニックデザイナー。「機動戦士ガンダム00」、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」などのメカニックデザインに携わった。アーマード・コアシリーズにおいては『アーマード・コア2』、『アーマード・コア2 アナザーエイジ』のAC用パーツおよび敵メカなどのデザインを手がけている。

山下いくと氏は漫画・デザイナーとしても活躍するメカニックデザイナー。「新世紀エヴァンゲリオン」、「トップをねらえ!」などのメカニックデザインに携わった。ソフトバンククリエイティブより2002年に刊行された設定資料集「アーマード・コア メカニカルガイダンス」にはイラストを寄稿している。


『アーマード・コア』シリーズメカデザインの“始祖”とも言うべき河森正治氏は8月27日、Xの個人アカウントにおいて、『アーマード・コア6』のデザインに参加した旨のポストをおこなった。その内容の一部には「古巣<ネスト>に還った気がします」との一言が添えられている。これは同氏がメカニックデザインを手がけた“初代”『アーマード・コア』にて、プレイヤーが所属することとなる傭兵組織、“レイヴンズ=ネスト”を引用したものだろう。『アーマード・コア』シリーズにおいては主人公の呼称は「レイヴン」「リンクス」などシリーズによってさまざまとなるが、本作においてプレイヤーが手にした傭兵ライセンスの登録名は「レイヴン」。馴染みのある呼び名から同氏のように「古巣へ還った」と感じたプレイヤーも少なくないのかもしれない。

また、山下いくと氏は本作発売日の8月25日にPS5パッケージ版『アーマード・コア6』の写真を投稿、柳瀬敬之氏は8月26日に自ら本作のプレイ配信をおこなうなど、開発に携わったメンバー各位からも本作発売に寄せたポストがみられる。こうした本作開発に携わった人物の投稿は、本作開発プロデューサー小倉康敬氏のXアカウントにて多数リポストされている。本作開発関係者についてより幅広く知りたい人はそちらを参照されたい。

いまおもえば、河森氏らがメカデザインで参加することはネームバリューとしても大きかったはず。それらを公表せず伏せていたという点で、フロム・ソフトウェアがあくまでゲーム内容にフォーカスして『アーマード・コア6』を打ち出していたようにも見える。本作はゲーム内容だけでなく宣伝手法についても興味深さがあるだろう。いずれにせよ、大御所の参加が発売後に判明するという、なかなか珍しいケースとなった。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)』は、PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。




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