空登りイライラアクション『Only Up!』Steamから突如削除されるも、ほどなくして復活。アセットの無断使用が原因か

 

今年5月に配信開始され、実況配信者の間で人気に火がついた3Dアクションゲーム『Only Up!』が、Steamから削除され、ほどなくして配信再開されるという奇妙な事態となっていたようだ。海外メディアPC Gamerなどが報じている。

https://www.youtube.com/watch?v=CQ18FVRaQjc

『Only Up!』は、空へと伸びる構造物を上へ上へと登る3Dアクションゲームだ。主人公のジャッキーは、貧困から抜け出し、世界と自分自身を知る旅に出たいとして、スラム街の上空にそびえる構造物を登る。構造物には、さまざまなオブジェクトや施設などが雑然と存在し、それらが組み合わさるようにして空に浮かんでおり、不思議な光景となっている。プレイヤーは、足を踏み外して落下しないよう慎重に歩みを進めていくこととなる。

本作は今年5月25日にSteamにて配信開始。その後6月に入ってから、本作をプレイする実況配信者が急増し、Twitchなどでの人気配信タイトルのひとつとなった(関連記事)。そうした配信人気もあってか、6月中旬以降には本作のプレイヤー数も右肩上がりに増加。同時接続プレイヤー数は、これまでのピーク時には9000人を超えている(SteamDB)。“壺おじ”こと『Getting Over It with Bennett Foddy』を彷彿とさせる、シンプルながらつい熱中してしまうイライラ系アクションとして人気のようだ。一方で、バグの多さなどから、ユーザーレビューの評価はいまひとつ伸び悩んでいる状況にある。

多くのユーザーを獲得することに成功した本作であるが、6月30日頃にSteamから突如ストアページが削除され、購入不可の状態となっていた。当時開発元SCKR Gamesからは特に説明はなく、Redditなどのコミュニティでは困惑を示すユーザーの投稿がみられる。

実は本作のストアページが削除される直前に、アーティストのAboulicious氏がTwitter上で、自身が手がけSketchfabにて配布中の3Dモデルのアセットが、『Only Up!』のゲーム内に含まれているようだと指摘していた(上のツイート)。その3Dモデルは、女性が薄く透けた布を両手で掲げているポーズのもの。本作のストアページには、それとよく似た女性の3Dモデルが映るスクリーンショットが掲載されていたのだ。ポニーテールにした長い髪の造形から同一であると思われるが、Aboulicious氏により配布されている3Dモデルは商用利用が禁止されている。

この指摘ツイートに対し開発元が返信。Aboulicious氏に謝罪するとともに、なぜ同氏の3Dモデルがゲーム内に実装されることになったのか確認するとした。その後、問題のスクリーンショットはSteamの本作のストアページから削除されたが、間もなくストアページ自体が削除され販売停止されることとなった。開発元が自ら取り下げたのか、あるいは著作権侵害を確認したValveが削除したのかは不明である。


結果的に本作は、Steamからストアページが削除されてから約6時間後に、ふたたびストアページが公開され販売も再開された。本件について、開発元からは依然として何も説明はないが、おそらく無断使用が確認されたアセットをゲーム内から削除する対応が完了したのだろう。

なお再公開されたストアページからは、先述した女性の3Dモデルが映るもの以外に、もう1枚スクリーンショットが削除されている(上の画像)。もしかしたら、そこに映るアセットでも無断使用が確認されたのかもしれない。ほかにも本作には、3Dモデルや音声など権利関係に懸念がありそうなさまざまな素材の存在が、一部ユーザーより指摘されていた。いずれにせよ、現在はそうした問題に一定の対処がされたものと考えられる。

『Only Up!』は、PC(Steam)向けに配信中だ。