Twitchが新たに「成人向けコンテンツ分類明示システム」を導入。“マイク舐めASMRは性的”と改めて強調コメント

 

ライブ動画配信サービスのTwitchは6月20日、「コンテンツ分類ラベル」を導入するアップデートを実施。同時に、ラベル使用に関するガイドラインを発表し、成人向け配信を行う際のラベルの取り扱いについて説明した。


コンテンツ分類ラベルは、配信が全年齢向けでない場合、その内容を明示するために用いられる。ESRBが成人向けと指定したゲーム配信時には自動で「成人向け指定のゲーム」が適用されるが、それ以外は配信者自身が設定することになる。視聴者は、配信にアクセスする際にこれらのラベルが設定されていることを知ることができ、視聴するかどうかを選択できるようになっている。ラベルには現在以下の項目が用意されている。

  • 成人向け指定のゲーム
  • 性的なテーマ
  • 薬物・酩酊・過度の喫煙
  • 暴力的で露骨な描写
  • 著しい冒涜や下品な表現
  • ギャンブル


Twitchは、ラベルを使用すべき基準に関してガイドライン中で説明している。定められた行為が主軸になる配信が、1分以上継続する場合にラベルを付ける必要があるとのことだ。キス音などのASMRやホットタブ配信(水着といった衣服を着用しての、お風呂などからの配信)、飲酒や喫煙を主軸とした配信などが各要素に該当する。

さらに具体的な説明もなされており「性的なテーマ」として扱われる行為としては「キスやマイクを舐める音は性的なテーマに入る」と強調されている。また、「ホットタブ配信もラベル付けが必要」との旨も同様だ。これは、コンテンツ棲み分け強化の発端のひとつと見られる、人気配信者のAmouranth氏の活動を彷彿とさせる。

Amouranth氏はセクシー系配信を率先して実施してきた人物。ホットタブ配信を実施してTwitchから広告収益を無効化されと主張したり、体を強調しつつマイクを舐め回す音声配信を実施してBAN処分をされたりと、コンテンツ内容についてTwitchとせめぎ合いを繰り広げてきた人物だ。Twitchは一連の騒動のなかで、そうしたコンテンツの棲み分けに長期的な対策を取る旨を表明しており、今回のコンテンツ分類ラベルの実装はその一環であると言えるだろう(関連記事1関連記事2)。

なお、これらのガイドラインに反し、成人向けコンテンツを含むにもかかわらずラベルを設定しなかった場合、Twitchからメールで警告が送られてくる。警告を何度も無視した場合、強制的にラベルが設定され、警告数に応じて一定期間配信内容にかかわらず外せなくなる措置がとられる。この場合でも、アカウントが利用停止になることはないとのことだ。ラベルは配信中にも切り替えられるため、配信中の該当部分のみに適用させることも可能だ。VOD(配信のアーカイブ)にも自動で反映されるようだ。


ラベルは、配信者が自分のコミュニティに適した視聴者とつながるためだけでなく、視聴者や広告主を守るためにも役立てられるとされている。広告主は特定のコンテンツ分類ラベルが適用された配信への広告掲載を控えることができるとのことだ。これにより、広告主はよりブランドイメージにマッチした広告出稿を行うことができるようになるだろう。一方で、ラベルを適用した配信者の広告収入に影響が出る可能性もあるとのことだ。

これらの対応の一方で、筆者が本稿執筆時点で確認した限りでは自動で適用されるラベルを除いて、コンテンツ分類ラベルが適用されている配信はまだ少なかった。ラベルが実装されて時間が経っていないため、認知が広がっていない可能性や、配信者が視聴者数や広告収入に悪影響が出ることを恐れてラベルを設定していない可能性が考えられる。

Twitchは配信者がラベルに慣れる期間として、7月20日まではラベルを強制的に適用させる措置を取らないと発表している。移行期間中に配信者にどれだけ周知を行い、ラベルを設定してもらうかが重要になってきそうだ。

コンテンツ分類ラベルは視聴者が配信の内容を事前に知ることができ、視聴コンテンツ選びを助ける要素となる。よりTwitchの配信を盛り上げうる要素であるといえるだろう。一方で、機能自体の周知や配信者の不利益への配慮など課題もありそうだ。