『Halo Infinite』開発元が“今後も『Halo』シリーズの開発を続ける”と異例のキッパリ声明。不穏な流れを払拭する意図か


デベロッパーの343 Industriesは1月22日、『Halo』シリーズ公式Twitterアカウントを通じて今後のシリーズ開発について告知。同スタジオが、今後も『Halo』シリーズの開発を手がけると強調するやや異例の声明を公開した。


『Halo』シリーズは、2001年にリリースされた『Halo: Combat Evolved』から続くFPSゲームシリーズだ。初作から『Halo: Reach』までは現在『Destiny 2』を展開中のBungieが開発を担当。2012年リリースの『Halo 4』以降はBungieではなく343 Industriesがメインになり開発を担当している。

そして現在343 Industriesは、2021年リリースのシリーズ最新作『Halo Infinite』を運営中だ。同作はキャンペーンモードは有料で販売となっている一方で、マルチプレイモードは基本プレイ無料として配信。2023年前半までのロードマップも公開されており、ユーザーによるマップ作成機能「Forge」や、新たなマルチプレイマップの追加などが予告されている。343 Industriesは長期運営型タイトルとして、新たなコンテンツ追加などのアップデートを継続しておこなっているわけだ。


そんな同スタジオは1月22日「『Halo』シリーズは今後も343 Industriesが開発していく」とする声明を発表した。これといって発表の背景などは明かされておらず、たった数行の簡潔な声明となっている。ただ、シリーズを10年以上にわたって開発してきたスタジオが「これからもシリーズを作り続ける」とわざわざ強調した理由は気にかかる。その背景には、343 Industriesを擁するマイクロソフトにおける大規模レイオフや、先日より広まっていた「343 Industriesはもう『Halo』シリーズに携わらない」とする噂があると見られる。

まずレイオフについて。マイクロソフトは、先日より1万人規模のレイオフを進めていると伝えられている。現四半期を目処に、同社および傘下企業から多数人員が解雇される見込みだ。この動きは各国メディアで報道されたほか、Bloombergはレイオフによるゲーム部門への影響についても言及。情報筋による証言として、マイクロソフト傘下であるBethesda Game Studiosのほか、343 Industriesも一定の影響を受けたと伝えていた。同誌記者のJason Schreier氏も、従業員証言や社内メールとされる情報をもとに「343 Industriesの開発チームは、レイオフから強い影響受けた」との旨をえていた

そうした報道に絡んで、ユーザーの間では343 Industriesおよび『Halo』シリーズが今後どうなるかについて疑問が浮上。さらには、「343 Industriesは今後『Halo』シリーズ開発を外部スタジオに任せ、監修に回る」という“それっぽい噂”が氾濫するに至った。こうした噂を大手海外メディアGameSpotなどが報道。噂がどんどん独り歩きする状況があったわけだ。今回の343 Industriesによる声明は、そうした噂をきっぱりと否定する意図もあったのだろう。


噂については否定された一方で、今回の声明に対してはユーザーの冷ややかな反応も多い。というのも、『Halo Infinite』は2021年のリリース当初から現在に至るまで、その内容や運営方針に関して多く批判が寄せられる作品でもある。たとえば配信開始直後には、マルチプレイモードにてコスメティックアイテムなどを入手する「バトルパス」システムの調整の厳しさが問題視された(関連記事)。また、キャンペーンモードにおいて開発元から「実装する」と予告されていたローカル協力プレイが実装中止になり、約束が翻されることもあった。

本作ではほかにもマルチプレイモードを中心にさまざまな問題点が浮上。リリース時において最大27万人を数えたSteamでの同時接続プレイヤー数も、2022年前半からは平時で毎日最大1万人以下、6000人以上といった水準で推移し続けている(SteamDB)。根強く遊ばれているといえる人数であり、本作が展開するほかプラットフォームのプレイヤー数も加味すれば人口はもっと多く見積もれるだろう。しかし、『Halo』シリーズ最新作であると考えると寂しい数字だ。

こうした背景もあり、今回の発表ツイートには「343 Industries以外が『Halo』シリーズを作ってもよかった」といった旨のコメントや、同スタジオの開発体制に不満を唱えるユーザーの声が数多く寄せられている。一定の知名度あるストリーマーらなども歯に衣着せず批判を口にしている様子が見られる。さらには、eスポーツ団体FaZe Clanの共同オーナーであるNickmercs氏も「lol(わろた)」とひとことだけ反応。真意は掴みかねるものの、冷ややかに映る。

こうした反応からは、343 Industriesが『Halo』開発元として厳しい立場に立たされていることも浮き彫りとなった。また、同スタジオについては『Halo 4』のリリース当時から、「前の開発元Bungieの方がよかった」とする論調も根強く存在してる。今回の冷ややかなユーザー反応は、その延長線上でもあるだろう。

いずれにせよ、同スタジオが今後も『Halo』シリーズ作品を手がけることが明確に示された。いかにして『Halo Infinite』ならびに今後の『Halo』シリーズを盛り上げ、磨き上げていくのか。プレイして確かめるほかないだろう。

『Halo Infinite』はPC(Steam/Microsoft Store)/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中。マルチプレイモードは基本プレイ無料となっている。