「どれも同じようなゲームばかり」新作ゲーム発表に不満を漏らす海外人気ストリーマーたちに批判集まる。「問題はストリーマーにある」とのツッコミ

 
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先日12月9日に開催された年に一度のゲームの祭典「The Game Awards 2022」。新たなゲーム情報やアワードの行方に、今年も世界中のゲームファンが注目していた。ゲーム配信にて人気を博すストリーマーたちも、本イベントでの発表内容に反応。そして一部人気ストリーマーたちの反応が、海外で物議を醸している。

The Game Awards(以下、TGA)は、毎年恒例となるゲームの祭典だ。ここ1年間のさまざまなゲーム作品に各部門でアワードが授与。ゲーム・オブ・ザ・イヤーは、フロム・ソフトウェアの『エルデンリング』が受賞した(関連記事)。そして今年は『DEATH STRANDING』続編や『アーマード・コア』シリーズ新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』発表など、多くのゲーム新情報が告知された。


一方で同イベント内の発表作や、最近の新作ゲーム事情については、不満を漏らす人気ストリーマーたちも存在。たとえばHungrybox氏は、TGAで発表されたゲームに反応。同氏は『大乱闘スマッシュブラザーズ』のプロ選手として知られるほか、ストリーマーとしても活動する人物だ。同氏は、いくつか例外はあるとはいえ、TGAで発表されたほとんどすべてのゲームが同じように見えるとコメント。“宇宙やら崩壊した世界やらで剣や魔法や銃を使って、フレンドと協力してエイリアンやモンスターと戦うゲーム”にうんざりしていると述べている。


また人気ストリーマーのShroud氏も最近の新作ゲーム事情について言及。「頼むからまともなシューターが出てくれ」とコメントしている。投稿日は現地時間12月10日であり、TGAの発表タイトルへの不満にも受け取れるコメントだ。いずれのツイートも数多くのいいね・RTを集めており、ユーザーから注目を浴びている状況だ。そのほか、人気ストリーマーであるDr Disrespect氏も『Call of Duty: Warzone 2.0』をプレイしながら「ほかに遊ぶゲームがない」と発言。おそらくは、似たようなゲームしかないという意味合いでのコメントだろう。インフルエンサーのJake Lucky氏が、これらのストリーマーのコメントをまとめて問題提起したことで、海外ユーザーからさらに大きな注目を集め、物議を醸すこととなった。

Hungrybox氏やShroud氏、Dr Disrespect氏はいずれも人気ストリーマーである。彼らの意見がまとめられたことで、ストリーマーたちが新作ゲーム発表に対する不満を述べているという構図になっているわけだ。この騒動を通じて、本当に最近のゲームは似たり寄ったりなのか、ゲームというよりゲーム配信ビジネスのあり方に問題があるのではないか、などを問う議論が繰り広げられている。

たとえばゲーム配信者兼動画投稿者であるAntDude氏は、TGAにてアワードが贈られたり、発表されたりしたタイトルは多彩であった点を指摘。「似たりよったり」や「遊ぶゲームがない」といった発言への反論と見られる。


海外の人気ゲームYouTuberであるJesse Cox氏も、ストリーマーたちを批判。同氏は「問題はゲームではなく、職業としてのストリーミング配信にある」と主張。ストリーマーというのは、視聴者の維持が重要になる職業であり、今遊んでいるものと違った系統のゲームに手を出しづらいと説明している。違ったゲームを試すと視聴者が離脱してしまうリスクが生じるからだ。ゆえにストリーマーは、楽しめない状態になったとしても、視聴者を維持できるタイトルに固執してしまうと述べる。


ストリーマーたちの意見をひとまとめにし、それに対する批判が展開される状況となっているが、当然ながらすべてのゲーム配信者がこのような不満をこぼしているわけではない。そもそも、上述したストリーマーたちの意見は、どういう文脈での発言だったのか定かではないものが多い。現にHungrybox氏は後に自分の発言について補足。「似たようなゲームばかり」という旨の投稿は、TGA全体ではなく同イベントで発表された「大作ゲーム」に限っての感想であると説明している。同氏はかなりのインディーゲーム好きとのこと。『Celeste』開発元の新作『Earthblade』の発表時には期待を寄せるコメントを投稿していた。「ゲーム全体」の話か、「大作ゲーム」に限った話か。その前提部分の解釈が違うと、議論は同じ方向を向かないだろう。


ストリーマーの在り方に問題があるという指摘に関していうと、現状では話題作の配信が数多く見られるのは確か。特に職業ストリーマーの多くは、長時間のゲーム配信を連日おこなう。結果としてライブサービス型タイトルがメインになりやすい傾向もあるだろう。実際、Twitchの配信者や視聴者の間では、話題作・ライブサービス型タイトルが人気である(SullyGnome)。そうした状況が職業ストリーマーに、“視聴者維持できるタイトル以外に見向きもしない”といったイメージをもたらしている側面はあるかもしれない。それゆえに、今回の発表への不満は、ストリーマーが「自分が稼げるゲームを出してほしい」と文句を言っているように見えてしまうわけだ。

とはいえ、ストリーマーの遊び方は多彩。RTAや制限付きプレイで好きなタイトルを遊び、一定の人気を博している配信者も散見される。また、ジャンルを問わずさまざまな新作をプレイするゲーム配信者は、国内外で多く見られる。「職業ストリーマーが視聴者維持のために同じゲームを遊び続ける」というJesse氏の主張は、もちろんすべてのゲーム配信者に当てはまるわけではない。

いずれにせよ、今年のTGAでは人気作の続編や関連タイトルも数多く発表され、今後登場するゲームに期待を膨らませたユーザーも多いだろう。そうした期待感に水を差されたことやストリーマーへのイメージが原因で、今回の「人気ストリーマー発言まとめ」への批判が集まっているのかもしれない。あるいは、単なるいちゲーマーの感想レベルであるものの、その影響力が大きいからこそ、注目が集まっている側面もありそうだ。


なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。