『スーパーマリオメーカー』自作の超難易度コースに約7年間挑んだ作者、ついに自分を乗り越える。しかし世に出なかった地獄

 
Image Credit: @ChompBraden on Twitter

スーパーマリオメーカー』にて自作の「超高難易度コース」に約7年間挑み続けたプレイヤーが、ついに地獄めいたコースを制覇したようだ。GamesRadar+が伝えている。

『スーパーマリオメーカー』は、Wii U向けに2015年に発売された横スクロールアクションゲーム。さまざまなパーツを組み合わせてオリジナルのコースを作成できるのが特徴となる。過去作のグラフィックを再現可能なスキンが複数収録されており、ドット絵または3Dグラフィックで思い通りにコースを作成可能。作ったコースは他者と共有可能で、コースを遊んだり評価したりすることができる。2019年には後継作となる『スーパーマリオメーカー2』がNintendo Switch向けに発売されている。

Image Credit: ChainChompBraden on Twitch


地獄のコース

このたび約7年間にもおよぶ挑戦を達成したのは、BradenことBraden Moor氏だ。同氏は、2015年12月にお手製のコース「Trials of Death」を作成。以来、同氏はそのコースのクリアを試み続けていた。しかしながら、自身の手がけたコースへの挑戦は果てしない時間を要した。2019年時点でコース制作だけで1000時間以上。攻略に要した時間は1470時間にも及ぶ。弊誌では同コースが“3年間クリアできていない”ことを報じていた(関連記事)。その後も同氏の挑戦は続いていたのである。

Twitchでの配信アーカイブを見るに直近では欠かさず毎日ではなかったようだが、長くとも2~3日程度の間隔で2時間程度のプレイを続けている。日課として地獄めいたコースへの挑戦は続いていたわけだ。毎日毎日、来る日も来る日も自作コースに挑戦し、長い年月が流れた。そして、Braden氏の挑戦は先日ついに完遂を見たのだ。先月10月1日、7年をかけた戦いに終止符が打たれたのだ。下のアーカイブ動画にて、同氏の最後の挑戦の一部始終を確認できる。


煉獄の様子

では実際にどのようなコースで、どのようなクリアをしたのだろうか。「Trials of Death」は開始早々凶暴さをフルスロットルで見せつけている。スタート地点の目前には、すでに羽の生えたバブルが配置。上下にファイアバーも配されており、すでに絶体絶命の状況だ。しかしBraden氏はいたって冷静な様子でスタート地点後ろの甲羅を確保。羽バブルとファイアバーを華麗に躱しジャンプ。ジャンプ先で甲羅を放り投げつつPスイッチを確保。甲羅、Pスイッチ、上から落ちてくるトランポリンの順に踏みつけつつ連続ジャンプを決めている。

本コースの攻略では、持ち運び可能なアイテムの使いどころがきわめて重要になるようだ。たとえば、甲羅やPスイッチであれば先述のように空中での踏みつけジャンプ用に用いることになる。またトランポリンは、敵を跳ねさせてしのぐ際にも活用できるようだ。本家の『スーパーマリオ』シリーズのコースではなかなか見られないアイテムの活用法が満載となっている。

Image Credit: ChainChompBraden on Twitch


以降もBraden氏は、羽バブルやトゲ、ガリガリ(ノコギリ)など、敵やトラップだらけのステージを、敵やギミックの踏みつけを駆使しながら華麗な攻略を続けている。動画の9分ごろからはいよいよコースも終盤。ゴール目前では大量のテレサが画面を埋め尽くしたものの回避し、同氏は約7年間挑戦し続けたコースのクリアを見ることになった。クリア時に費やした時間は、コース作成時間を含めて約4400時間となる。


はてしなきセルフ罰ゲーム

なおBraden氏は、まったく同じコースに約7年の歳月を費やしていたわけではない。というのも同氏は「Trials of Death」への挑戦と並行して、本コースの“改悪”を重ねていたのだ。何を思ったのか、コースがさらに難しくなるような要素を思いついた際に盛り込み、元々化け物のようなコースはさらなる進化を重ねていった。正気ではない。直近でも同氏は、矢印でジャンプを促してすぐ上のトゲに当たるよう誘導するギミックを追加していた。そうしてステージは自らの手によって難化され続けていたわけだ。

なお本作では作成したコースをインターネット上に投稿して他プレイヤーと共有する場合、作者自身で一度クリアする必要がある。Braden氏のクリアを待っていた本コースは、アップロードされることなくその牙を研ぎつづけていたわけだ。しかしながら実は、『スーパーマリオメーカー』のコース投稿機能などは2021年3月末をもって終了している。クリア時のアーカイブ動画においても、コース投稿機能はすでに利用できないとの旨が表示。同氏が育て続けた怪物「Trials of Death」は、世に放たれることなくその生涯を終えた。

Image Credit: ChainChompBraden on Twitch


たとえ世にでなくても

ただBraden氏にとっての目標は「Trials of Death」の投稿ではなく、あくまでもそのクリアにあったようだ。同氏は自身のTwitch配信者説明欄でもその旨を伝えている。同氏は説明欄にて、自分自身への挑戦が大好きだとコメント。クリアが非現実的なほどの難関コースを作り上げたかったとしている。なお『スーパーマリオメーカー2』への移植については、主に物理演算システムの違いからコースの大幅な調整が必要であり、検討していないとのこと。また同氏は、そもそも本コースがほかのプレイヤーを念頭に設計されていない点にも言及。『スーパーマリオメーカー2』では現在でもコース投稿が可能ながら、同氏はコース投稿を目的とする移植の必要性を感じていないのだろう。

なおBraden氏は、「Trials of Death」のクリア動画をYouTubeにも投稿予定。また完成した動画は、Twitch配信でお披露目されるそうだ。動画はかなりの長編になるとのことで、クリア時のゲームプレイだけでなく、これまでの制作過程などが盛り込まれているのかもしれない。動画は日本時間10月9日午前4時30分に同氏のTwitchにて先行お披露目されるそうなので、楽しみにしておこう。

類似の事例としては、『スーパーマリオメーカー2』では先日約7年間の制作を経た超大作ワールドが公開されたばかり(関連記事)。こちらも『スーパーマリオメーカー』時代から制作がはじまっていた長期間のプロジェクトだ。多彩なカスタマイズが可能な『スーパーマリオメーカー』シリーズのコース作成機能は、そうしたユーザーたちの果てなき野望をしっかりと受け止めてくれるようだ。長期間にわたって作り上げられたコースを参考に、オリジナルの難関・大作コース制作に着手してみてはいかがだろうか。