『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を“一人称視点”でプレイ可能にするグリッチが発見される。研究者たちが見つけ出した新世界

Image Credit : Peco / 任天堂
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ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にて、一人称視点でのプレイを可能にするグリッチが発見されたようだ。国内のプレイヤーA.xk_氏が発見したことにより、話題を呼んでいる。主観視点で『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』内の世界を冒険するという、極めて興味深い現象である。

今 回発見されたグリッチは、「ウツシエ」の視点にてゲームがプレイ可能になるというもの。ウツシエを構えている状態に近いコンディションで、ゲーム内を動けるようになる。発見者は、前述したA.xk_氏とLetMeThinkOfAUsername氏。A.xk_氏によると、後述する“新たな物持ちバグ”が発見され、このバグをさらに発展させられないか模索。検証を重ねるうちに、ウツシエのHUDを消せることに気付いたという。


しかしその手順は、かなり煩雑である。端的にいえば、負荷世界を引き起こし、新たな物持ちグリッチと呼ばれる現象を引き起こし、ウツシエの視点になりながら所持している物を手放す、というもの。まず必要なのは負荷世界を引き起こすこと。負荷世界とは、二連弓と電気の矢を 装備した状態で、その二連弓 を外しほかの二連弓を装備することを繰り返して負荷をかけ、ゲームをおかしくするというテクニック(日本ブレスオブザワイルド学会)。

そうすると、ゲームに負荷がかかっている関係で、メニュー画面でリンクが物を持っているにもかかわらず、実際は持っていないという奇妙な現象が起こるわけだ。このあと馬や盾サーフィンを用いるなどし、特定のフレームで盾を外すことでリンクの姿を消す。その際に、なにかしらの物を持たせる。そして消えながら持った物をバイクに入れるのだ。その後ウツシエを出しながら物を落としたりすることで、主観視点で移動ができるようになる。かなりざっくりとなるが、基本的にはこのような流れのようだ。


主観視点状態では、歩くことはもちろんのこと武器を振るったり投げたり、盾を構えたりと幅広いアクションが可能だという。アイテム取得なども可能。一方で走ったりジャンプをしたりはできない。厳密に言うと、それらのアクションをすると、主観視点が解除される。逆に考えれば、主観視点はすぐに解除できるようだ。そのほか、ウツシエ同様に画面上下に黒い帯ができることも特徴。

前述の説明からもわかるとおり、再現における難易度は極めて高い。負荷世界を引き起こし、物持ちグリッチ状態にして、ウツシエ視点になる。この説明だけでは、普通のプレイヤーは意味がわからないだろう。A.xk_氏やPeco氏が配信にて一人称視点にするまでの手順を丁寧に説明しているので、そうした動画を参考にするのが手っ取り早そうだ。


主観視点グリッチの実現に8時間かけたおばか氏にコツを伺ったところ、負荷世界にした後の作業に苦労した様子。具体的には、「新たな物持ちグリッチ」と呼ばれる、特定フレームでリンクの盾を外して物を持つという動作だ。盾を外すフレームはシビアで、そのタイミングを間違えてしまうと発動されない。馬の調整や盾サーフィンの繰り出し、フレーム選定など難易度が高い行動が多い。おばか氏はここで苦労したといい、動画などを見ながら真似しつつ微調整することが重要だと語ってくれた。

一人称視点にすることで、ハイラルの世界はさらに広がるようだ。PecoやA.xk_氏はこのグリッチを用いて旅を楽しんでいる。一人称視点にすることで、オブジェクトやフィールドとの距離は近くなる。よく知った場所もまた主観視点にすればかなり新鮮に見えるだろう。新たな世界を切り拓くグリッチと表現しても過言ではない。


『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、三人称視点で楽しむゲームである。ウツシエを用いる時など特定シチュエーションでは一人称視点が用いられるが、VRモードでさえも三人称視点。基本的には、リンクの後ろ姿を見ながら冒険するゲームだ。一方でこの主観視点グリッチを使えば、ハイラルはまた別世界のように映るだろう。A.xk_氏は、主観視点で村や建物を訪れることで、オブジェクトの多さや作り込みが感じられ没入感が楽しめるとコメント。また主観視点で鳥を撮影することで、鳥の羽の散り方や空を飛ぶ姿のきれいさが味わえると語ってくれた。


とはいったものの、前述したようにこのバグは再現が難しい。歴戦のやりこみプレイヤーが、再現に苦労している状態だ。しかし逆に言えば、彼らの研究がこのような現象を引き起こしたと言える。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界をさらに楽しみたいと願う、やりこみプレイヤーの飽くなき探究心が生み出した新世界。もちろん不具合の一種であるので、再現は推奨できないものの、研究者たちによる研究の成果のひとつであると考えれば、主観視点グリッチの発見の重要性が見えてくるかもしれない。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の熱心な研究会に入りたい方は、Discordのハイラル道場チャンネルを覗いてみよう。活気ある、熱のある活動が見られることだろう。

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