転がり3Dアクション『Crumble』配信開始。「軟体×物理演算=面白い」の法則は、心の広いプレイヤー向け

 

インディースタジオのBRUTE FORCEは12月4日、3Dアクションゲーム『Crumble』を配信開始した。対応プラットフォームはPC/Mac(Steam)。12月12日までセールを実施しており、定価1499円のところ15%オフの1274円で入手することが可能となっている。
  

 
『Crumble』の主人公となるのは、青くプニプニしたスライム状の生物だ。手足がないボール型の体で、コロコロと転がりながらステージを進んでいく。本作では物理演算を取り入れており、坂道を転がり落ちるときはかなりのスピードアクションとなる。最大の特徴といえるのは、伸縮自在の長い舌だ。猛スピードでコースを駆け抜けながら舌を地形に引っ掛けることで、遠心力を利用したダイナミックなグラップリングアクションが可能となる。 

トレイラーを見ると、自由自在にグラップリングを操る「スパイダーマン」のようなアクションが見ものの本作。もちろん熟練の域に達すれば縦横無尽なムーブを楽しめるのは間違いない。一方で本作は、その域に辿りつく前に「不自由さ」を楽しめるか否かがプレイヤーの分水嶺となるだろう。何せ平時にコロコロ転がる動きだけでも、いちいち慣性が働くためにこまめなブレーキを心がけなければならない。また醍醐味のグラップリングだが、フックをかける際は視点移動で捉えた木の枝などをターゲットにして舌を引っかける仕組みとなっている。このシステム、落ち着いているときならいいのだが、慣れないうちは目標ロックがてんでうまく行かないのだ。 
 

 
猛スピードで坂道を下り、いざや大ジャンプ、というところであらぬところにフックをかけてしまい「そっちじゃねえ!」と猛回転しながら落下する——そんな、ままならなさを笑える人は本作に向いているだろう。逆にあわや真っ逆さま、というところでも、がむしゃらに舌を伸ばして明後日の方向に飛んだら見事コースに戻った、なんてアクシデントもザラだ。キャラクターを自在に動かす快感の前に、ちっともうまくいかないドタバタを楽しめるかどうかが鍵となりそうだ。ちなみにスライミーな体をもつ主人公のSEは可愛らしいポヨポヨ音ではなく「ニチャ、ピチャ」となまめかしいウェットな音質。何もうまくいかず「ペソ……」と地面に叩きつけられたときの姿は、表情筋が凝固した笑顔と相まってシュールで笑いを誘う。 
 

 
少し慣れてくると、グラップリングアクションにある「駆け引き」の楽しさにも気がつくだろう。確実に支点を捉えるには、なるべく近くに寄ってから舌を発射する方がよい。しかし距離が近すぎると、舌の長さが短くなり十分な振り子の効果が得られない。大スイングをしたいなら、少々支点から遠い位置でフックを発射するリスクを背負わなければいけないのだ。もちろん離れすぎていれば届かず、そのまま真っ逆さまである。スピーディにコースを進む中、一瞬一瞬の判断で正確にグラップルを発動するタイミングを見極める緊張感は味わい深いところだ。 

なお本作は爽快な転がりやグラップルだけでなく、繊細な動きを要求するステージもある。崩れる遺跡の中を適切なルートで脱出したり、プロペラ機の上で重心を操作しながらフライトしたり、といった場面では、真ん丸スライムボディの不自由さを嫌というほど味わわされるだろう。こうしたシーンは、のちの転がりアクションステージにおけるカタルシスを呼び込むための「あえて」の抑圧なのかもしれない……が、この不便さをスパイスとして受け取れるか、キーボードを叩き割るかによっても本作の好みは分かれてきそうだ。 
 

 
『Crumble』はPC/Mac(Steam)向けに配信中。12月12日まで15%オフの1274円で販売されている。