PS5が手に入らない人のためのゲーム『PS5 Simulator』が作られる。開封から起動までのもどかしさを、なんと無料で体験

 

今月11月12日に発売されたPlayStation 5(PS5)。パワフルなGPUや超高速SSD、触感まで味わえるDualSenseなど、Xbox Series X|Sと並ぶ次世代機として期待を集めながらリリースされた。しかし、同ハードを欲しがるすべての人に行き渡っているわけではなく、全世界で深刻な品薄が発生している。数多のインフルエンサーがYouTube上に投稿する開封動画に、羨ましさともどかしさを感じるユーザーもいるだろう。そんな人々のために、仮想世界でPS5を楽しむゲーム『PS5 Simulator』を作り出したクリエイターがいたようだ。


『PS5 Simulator』は、PS5を入手し起動するまでの高揚感を描くシミュレーションゲームだ。本作の主人公は、PS5を購入しウキウキのとあるプレイヤー。開封から起動、そしてプレイまでの一連の流れを体験することになる。玄関にてピンポンが鳴るところからゲームは開始。扉の前には、ダンボールに包装された箱が届いている。念願の次世代機がやってきたのだ。本作は一人称視点で展開され、物を持ち上げたり壊したり、つないだりすることができる。

まずはダンボールを居間まで移動させ、鋭利なものを使って開封。PS5が登場だ。しかしそのままでは当然ゲーム機は動かない。延長ケーブルを伸ばして電源を挿し、HDMIケーブルを接続。するとゲーム機が起動する。次にゲームコントローラーが届くが、それはPS5にて動くものではなく……。


本作では、PS5入手から起動をめぐるもどかしい体験が描かれている。コントローラー間違い、接続エラーによる無線ルーターの再起動、SSDが速すぎるあまり生まれる弊害など、次世代機の特徴をコミカルに捉えている。無味乾燥なナレーションと共に、歯がゆい体験が楽しめる。1プレイ15分あれば終わるが、一発ネタにしてはかなりよくできている印象だ。

本作を手がけたのは、ゲーム開発者のAlex Grade氏。現在Steam向けに『Ardein.Arise』を制作中のデベロッパーだ。同氏もまたPS5を欲しがっているものの、手に入らない人物のひとり。品不足というよりも、現在買う余裕がないのだという(Polygon)。一方でPS5を欲する気持ちが強く、「自分がPS5を持っているところを想像するゲーム」を作り出したとのこと。

どのように制作されたのかというと、『PS5 Simulator』にはさまざまなストアアセットが使用されている。ゲーム内に登場する家やPS5本体やDUALSHOCK 4、そして数々の家具はSketchfabなどで配信されているアセットによって表現。高品質なユーザー作成コンテンツとUnreal Engine 4の組み合わせによって、リアルでシュールな開封体験が再現されているわけだ。PS5に関係なく家を好き放題荒らし回れる、シミュレーターおなじみの要素も実装されている。制作期間は1週間だという。

コミカルな開封体験はできるものの、あくまでバーチャルなものである。開発者自身もゲーム内で「自分で本物のPS5とかXbox Seriesを買ったほうがいいよ、多分いいコンソールだし」と語っているように、当然ではあるが、本物の購入体験には及ばない。本体を入手するのがベストなのはいうまでもない。とはいえ、今本体を入手できずフラストレーションを溜めている方は、本作にて束の間の気晴らしをしてみるのもありだろう。

『PS5 Simulator』は、itch.ioにて無料配布中だ。