サイコ90年代教育ゲーム風ホラー『Baldi’s Basics Plus』Steamなどで早期アクセス配信開始。インターネット老人会を恐怖させるローポリ教師との鬼ごっこ

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米国ヴァージニア州に拠点をおくインディースタジオBasically Gamesは6月12日、教育ゲーム風アクション『Baldi’s Basics Plus』の早期アクセス配信を開始した。配信プラットフォームはSteam/itch.io/Game Joltで、PC/Mac/Linux版をダウンロード可能。価格は1010円(10.00ドル)となっている。本作は2018年にフリーゲームとして配信された『Baldi’s Basics in Education and Learning』の拡張版だ。オリジナルバージョンはitch.ioが主宰したMeta Game Jam(メタ要素を含む作品の即興コンペ)において制作された作品で、同ジャムにて準グランプリを獲得した。その後口コミにより話題が広がり、ダウンロード回数は100万回を突破。フルバージョンを作るためのKickstarterで6万ドル以上を集め、改めて今回の『Baldi’s Basics Plus』リリースに至ったかたちだ。


『Baldi’s Basics』シリーズはある特定の世代には懐かしい、というより奇妙な既視感を抱かせる。全体のデザインが著しくしょぼいのである。バキバキのポリゴンや解像度を間違えたとしか思えない2D画像、耳に残るMIDI風のBGMなど、90年代のコンピューターゲームや初期インターネットを思わせるチープな脱力感が漂う。教育エンターテイメントをテーマとする本作の目的は、学校の中に散らばった「ノート」を集めること。プレイヤーは探索中にさまざまなパズルやお邪魔キャラに遭遇しつつクリアを目指す。本作の主役となるのが緑色の服を着た禿頭の人物「バルディ先生」だ。彼は生徒と隠れんぼをするのが大好きで、校内のあらゆる音を聞きつけてはプレイヤーのもとに飛んでくる。先生に見つかることなく、無事にノートを集めることができればプレイヤーの勝利だ。

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本作は教育のためのゲームである。教育の現場においてはすべてが正解であることが求められる。どれだけ低画質なポリゴンに違和感を覚えようと、与えられる学習パズルが馬鹿馬鹿しく思えようと、それらはすべて「正しい」のだ。教育ゲームが間違うことがあってはならない。もしもプレイヤーがゲームの“誤り”に思える場面に出会ったのなら、そのときはむしろプレイヤーこそがこの世界における「間違い」である。教育の世界にとって間違いは排除されなくてはならない。バルディはあらゆる間違いを許さず、確かな速度で追いかけてくる。その無機質な3DCGの顔が画面いっぱいに迫ってきたとき、プレイヤーは本作の謳い文句を思い出すだろう。「このゲームは見えてるとおりのものじゃない」。

オリジナルの拡張版として最大の特徴は、新たにローグライク要素を取り入れたことだ。前作では学校のマップやノートの場所は固定されており、何度も挑戦することで地図を覚えて対処することができた。しかし『Baldi’s Basics Plus』におけるマップは自動生成され、学校の構造やアイテムの位置、お邪魔キャラのスポーン箇所がその都度異なる仕様になっている。また、前作で見られた学校の住人は今作でも引き続き登場。こちらのアイテムを強制的に取り上げるいじめっ子や、廊下を走っている生徒を注意して反省部屋に閉じ込める校長先生などが行手をを阻む。これらの相手には校内で拾えるアイテムで対処することが重要だ。たとえば、見つかると強制的に縄跳びゲームで足止めしてくる敵「プレイタイム」にはハサミを使うことで難を逃れることができる。本作のNPCは現状でも11種類が登場するとのこと。また『Baldi’s Basics Plus』からの新要素として、校内でランダムなイベントが発生する。あるときは濃い霧が発生していたり、あるときはなぜか水浸しになっていたり、探索を困難にするトラブルがたびたび巻き起こるようだ。

お邪魔キャラのひとり、校長(Principal of the Thing)。


本作にはメインモードのほか多彩な遊び方が実装されている。バルディに見つかるまでにどれだけ多くのノートを見つけられるか挑戦する「エンドレスモード」や、“校長から隠れる”、“プレイヤーもバルディも超スピードになる”といった特殊ルールで遊ぶ「チャレンジモード」、あるいはキャンプを楽しむ「フィールドトリップモード」でハイスコアを目指すこともできる。満を持しての早期アクセス配信に漕ぎ着けた本作だが、正式リリースまでにはもう1〜2年かかるとのこと。今後追加される要素としてはより多くのNPC・アイテム・イベント・レベルなど、とにかく何もかもが拡張される見通しという。レベルの合間にアイテムを購入できる「売店」や、待望のセーブ/コンティニュー機能も採用される予定とのことで、遊びやすさは今以上に向上しそうだ。また「ホラー要素」については開発のかなり後半で追加するそうで、「現状のゲームには怖がらせる要素がほとんどない」と開発者は謳う。

Basically Gamesの運営者である個人デベロッパーmystman12氏は、セガが1996年アメリカでPC用に発売した『Sonic’s Schoolhouse』をはじめ、90年代に氾濫したチープで不気味な教育ソフトからインスピレーションを得ているという。本シリーズの恐怖は派手なゴア表現に訴えるものでもなければ、陰湿な和ホラーとも異なる。ただ、ある世代のコンピューターに触れていた人間にとっては否応なく古い記憶を呼び起こされ、揺さぶられるのだ。ガビガビ画質の迷宮を逃げ惑うとき、まるで壊れた一太郎スマイルの中に閉じ込められたような狂おしい感覚がプレイヤーを襲うだろう。

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※ 公式による公式動画(OFFICIALLY OFFICIAL)

『Baldi’s Basics Plus』は現在、Steam/itch.io/Game Joltにて早期アクセス配信中だ。対応機種はPC/Mac/Linuxで、現状の価格は1010円(10.00ドル)となっている。今後正式リリースにあたって値上げも検討されているそうだが、あらかじめ購入したユーザーはそのまま無料でアップデートできるという。気になる人は早めに買っておくといいだろう。このほか、本作の前身に当たる『Baldi’s Basics in Education and Learning』はフリーでitch.io/Game JoltからPC/Mac/Linux版をダウンロードできる。加えて前作のスマートフォン向け移植版『Baldi’s Basics Classic』もApp Store/Google Playより無料配信中だ。まずは好きなプラットフォームで本シリーズの雰囲気に触れてみるといいかもしれない。

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