【UPDATE】『スマブラSP』任天堂フランスの“公式大会“にて「勇者」が使用禁止扱いに。のちに撤回

 

ニンテンドーフランスは、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下、スマブラSP)』公式大会となる「European Team Cup 2019 FRANCE」の概要を公開した。「新たな名前、新たなルール、新たなフォーマット」と謳われる同大会は、3人1チームを組み戦いが展開され、まずフランスにて強者を決めて、その後欧州に舞台を移すというコンペティション。その大会のルールにおいて「勇者」が使用禁止扱いになっているとされており、議論を呼んでいる。

※ 同大会のホームページはURLなどが怪しいが、ニンテンドーフランスがリンクを張っている以上は公式のものだろう

大会の規則項目(PDF)では、スケジュールや基本的な参加用件のほか、ゲームにおけるルールも記載されている。初戦は戦場か終点どちらかで、その次から負けたほうが選ぶといったステールルールなどが定められているが、注目したいのはファイターの部分。74体のファイターが使用可能とされており、その中にはパックンやジョーカー、バンジョーとカズーイも含まれる。しかし、『ドラゴンクエスト』から参戦している勇者(Hero)と、2019年9月23日以降に登場するファイターの使用は認められないとされている。

勇者については、さまざまな『スマブラSP』のコンペティションで使用されているものの、コミュニティの一部から競技シーンにおいての使用の可否がしばしば論じられる。というのも、勇者はMPシステムやスマッシュが1/8の確率で強化される「かいしんのいちげき」、開くたびに変わるコマンドリストから選択して技を使用する下必殺技など、ランダム性の強いキャラクターであるからだ。先月、南部オーストラリアでのローカル大会にて、大会主催がそのランダム性を危惧し、勇者を使用禁止処分としていた(関連記事)。競技シーンにおいても、William “Leffen” Hjelte氏を代表に、勇者を毛嫌うプロプレイヤーは少なくない。勇者の処遇については、かねがねコミュニティから注目が集まっていたが、欧州(フランス)任天堂が主催する公式大会において、勇者は締め出される形となった。

ちなみにMiiファイターにおいては、1111のデフォルトのロードアウトでのみ参加が許される。ほかの大会でも見られるルールだ

ランダム性が理由であるという見方がある一方で、Redditなどでは勇者の禁止の理由は、ランダム性ではなく言語の問題ではないかと議論されている。冒頭に述べたように、European Team Cup 2019 FRANCEの優勝者は欧州行きのチケットを手に入れることができる。多文化・多言語が背景に存在するヨーロッパの舞台にて、言語に依存する下必殺技「コマンド」が鍵を握る勇者は、言語の壁という点でプレイヤー間に不公平を生み出しかねない。言語という点を考慮して、勇者そのものを使用禁止にしたのではないかという推測である。

ニンテンドーフランスがその理由を説明していない現段階では、さまざまな説は憶測の域を出ない。ただEuropean Team Cup 2019と銘打たれている以上は、このフランスのルールは欧州大会にも適用されかねない。公式大会となれば、今後の勇者の扱いに多大な影響を及ぼすだろう。ニンテンドーフランスは今回のルールをどのように説明するのか、そして他の欧州国の大会ルールはどのようになるのか。魅力とリスクを備える勇者の処遇については、今後も議論が続いていきそうだ。

【UPDATE 2019/9/26 23:50】
ニンテンドーフランスは9月26日、すべてのプレイヤーを平等にするために「European Team Cup 2019 FRANCE」のルールを欧州基準のものに統一したと発表。欧州イベントにおいては、すべてのファイターの使用が可能になると明かしている。「勇者」を使用禁止扱いにしていたフランス公式大会は、ルールそのものが欧州基準のものに変更され、それにともない「勇者」の使用禁止も撤回されたことになる。