『ポケットモンスター ソード・シールド』を経て6年前に流行った「ポケモンフュージョン」が脚光浴びる。2体を合体させる遊びに再び火がつく

『ポケットモンスター』コミュニティにて、知る人ぞ知る奇妙な非公式サイト「ポケモンフュージョン」が再び脚光を浴びている。アメリカのTwitterでも日本時間6月24日の昼から夕方にかけて、トレンド入りし続けするなど、今あらためてその価値が見出されている。

「ポケモンフュージョン(初代)」は、2013年に生まれたページ。既存ポケモン2体を組み合わせることで、新たなポケモンを生み出すジェネレーター機能が備わっている。Twitterにて「Poke Fusion」と検索をかけると、毎分奇妙なポケモンたちが生まれている。一体なぜこのタイミングで「ポケモンフュージョン」が再流行し始めたのだろうか。

 

発端は悲しみから

今年の11月にNintendo Switch向けに発売される『ポケットモンスター ソード・シールド』は、『ポケットモンスター』として大きな進化を遂げようとしている。頭身の上がったグラフィックや、オープンフィールドとなるワイルドエリアの導入、ダイマックス化やそれにともなうマックスレイドバトルなど、これまでの『ポケットモンスター』本編では見られなかった多くの変革がなされている。

しかし一方で、ポケモンファンが受け入れなければならない事実がある。それは、「これまでのポケモン全種類を収録するわけではない」という点。新作の舞台となるガラル地方には、さまざまな多くのポケモンが登場し、過去のポケモンも現れるものの、登場する過去のポケモンの種類についてはガラル地方にあったものになるという。ガラル図鑑は全国図鑑に含まれず、「ポケモンホーム」で連れてこられるポケモンもガラル図鑑に限られると発表されていた。過去作に登場したポケモンが、リストラにあうかもしれない。そうした意見が批判を呼び、やがて大喜利に発展するという楽しげな事例も確認されていたが(関連記事)、この「過去ポケモンのリストラの可能性」に関連した不満は、また新たなネットミームを生み出していた。

正確なネットミームの誕生と経緯については、詳細にははっきりしないが、Redditのr/Pokemonにて数日前より興味深い大喜利が流行していた。それは、お気に入りのポケモンを変装させ、“ガラル地方に忍び込ませよう”というもの。ガラル地方にいそうな身なりならば、新作でも登場できる可能性があるという理屈だ。エイパムを新ポケモンであるサルノリに似せたり、あるいはレックウザをウールーのように毛に包ませ、誤魔化そうとしたり。過去ポケモンと新ポケモンを融合させることで、新作に登場させるパロディ的なジョークあるわけだ。

Image Credit : Kroooooooo
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そしてそのうちジョークは変化していき、スイクンとピジョットを合体させ、ギルガルドをくわえさせることで新ポケモンザシアンのように見せるという荒々しいコラージュなどが出回りだした。ポケモン同士を融合させれば、ガラル図鑑に登場させられるかもしれない。希望と皮肉の両方から生まれたファンたちのジョークは、「合体」という、かつて一度流行して人気が落ち着いた選択に導かれていった。
【UPDATE 2019/6/25 9:00】
ザシアンらしき生物の描写記述を変更

Image Credit : mnk907

 

そしてポケモンフュージョン再び

そして人々がたどり着いたのは、冒頭に述べた非公式生成サイト「ポケモンフュージョン」なのである。この「ポケモンフュージョン」については、第6世代までのポケモンが融合させられる多機能なサイトと、151匹を対象とした2013年発のシンプルなサイトがあるが、前者はサーバーが不安定ということで、今ホットなのは後者である。ちなみに前者は、音声もあるなど機能が豊富な分追加機能の提供で料金をとっているサイトでもある。

機能自体はシンプルだが、意外なポケモンが生まれるのが面白さのポイント。タマタマとトサキントを融合させたり、コラッタとウツドンを融合させたり、ルージュラとコンパンを融合させたり。日本語サイトもあるということで、名前とビジュアルの両方から攻めたポケモンを生み出してくる。もちろん面白いという基準は人それぞれであるが、初代ポケモンを知っているユーザーなら、くすっとくる組み合わせを目撃するのではないだろうか。融合させたポケモンをSNSで貼り付けるだけでなく、お気に入りの“フュージョンポケモン”を生み出した後、そのポケモンを自身で描くという遊びも散見される。単に生成遊びをするだけでも十分楽しいが、二次創作のテーマとするのもなかなかおもしろいようだ。

約6年前に生まれたシンプルな生成サイトだが、人々が押し寄せてオリジナルのポケモンを生み出そうとしている。そしてその影響で、アメリカ全土のトレンドが一時的に「#PokeFusion」に染め上げられた。『ポケットモンスター』の人気とそのコミュニティの力強さを改めて感じさせる一例だろう。

 

コミュニティも進化する

『ポケットモンスター ソード・シールド』の登場ポケモンの仕様変更はことがことだけにコミュニティへのショックは大きく、批判は根強い。しかしながらそうした批判は、ただ怒りとして消費されるわけではない。たとえば、「第8世代で好きなポケモンが消えてしまうかもしれない。その悲しみを有効活用しよう」という名目で、絶滅危惧種を保護するための募金が呼びかけられている。ポケモンが消えてしまう。そうしたフラストレーションを現実世界に置き換え現状認識し、世界自然保護基金に寄付して貢献する狙い。#NationalPokedexのタグをもじった#SaveTheNationalDexハッシュタグは、RedditTwitterなど多くの賛同を得ている。

Not all Pokemon going to Galar? Let’s use this chance to do something good—World Wildlife Fund donation drive! from pokemon

お気に入りのポケモンが登場しなくなるという不安を抱えながらも、そのエネルギーをネットミームや慈善活動に転換させる。転んでもただでは起きないコミュニティの姿勢は、特筆すべきものがある。仕様変化をまじえながら『ポケモン』が次のステージに進むように、ファンもまた進化し、その情熱をもってショックを乗り越えようとしているのかもしれない。

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