スピードランの祭典「Summer Games Done Quick 2019」が本日深夜より開始。今年のトリは『クロノトリガー』

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海外のスピードランコミュニティである「Speed Demos Archive」「SpeedRunsLive」と、スピードラン記録の集積所として広く使われている「Speedrun.com」が主体となって開催される大規模チャリティー配信イベント「Summer Games Done Quick 2019」(以下、SGDQ)が、日本時間6月24日1時30分より開始される。イベントは日本時間6月30日14時までの一週間に渡り、ゲームスケジュールは公式サイトより確認できる(日本語環境なら日本時間で表示される)。

SGDQはAGDQ(Awesome Games Done Quick)から派生したチャリティーのスピードラン配信イベントである。リレー方式でいくつものゲームのスピードランが配信され、そのゲームのスピードランを見たことがなかったり、ゲーム自体をプレイしたことがなかったりしても楽しめるように解説を交えながらのプレイとなる。走者とは別にゲームに精通した解説者が用意されることが多いが、走者が一人でプレイしつつ解説することもある。また、2人以上の走者を用意してレースの形を取ることもある。

スピードランといえば1分1秒を切り詰めるストイックな競技のイメージがあるが、SGDQはチャリティーイベントであるためどちらかというとショーとしての側面が強い。通常プレイではまずお目にかかれないような荒唐無稽なテクニックやバグなどの紹介がメインに置かれ、即座にリセットとなる危険があるようなリスクの高い戦術が取られることは稀だ。視聴者を楽しませるためのパフォーマンスなども多く、SGDQ2017の『キングダムハーツ2』では走者がプレイする後ろで解説者がディズニー楽曲をマイク付きで熱唱をするなどのパフォーマンスが見られた。

スピードランにはとにかく最速でエンディングを目指すAny%からゲーム内要素コンプを目指す100%、全てのボスを倒すAll Bossesやバグ技を禁じるGlitchlessなど、さまざまな形式が存在するが、SGDQにおいては「ゲームを紹介するのに最適でかつ必要以上に長くならない形式」が選択されることが多い。大抵のゲームはAny%が選択されるが、ゲーム体験を著しく損なうバグ技が存在する場合などはAny% Glitchlessが選ばれる。

開催される1週間はほぼ休みなしで配信が続くにも関わらず、それ以上参加申請されるゲームが非常に多いため、長時間のゲームは避けられる傾向がある。予定時間が5時間を超えるようなゲームは毎年2、3本といったところで、今年のスケジュールではWii VCの『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』100%(予定時間5時間15分)と大トリのスーファミ版『クロノトリガー』Any% Glitchless(予定時間6時間)のみとなっている。『クロノトリガー』といえばつい最近「平成最高のゲーム」として選ばれたことが印象に残っているが、年号自体が日本に独特のシステムであるので、海外のイベントであるSGDQのラストを飾るゲームとして選定されたことに関係はなさそうだ。

3時間を超えるゲームは『ボーダーランズ2』『ポケットモンスター クリスタル』『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』『キングダムハーツIII』『スーパーマリオギャラクシー2』『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュー/イーブイ』となっている。『ポケモン』が2作品あるのは少し珍しく、また『ファイナルファンタジー』シリーズが一つもないのも今年の特徴となっている。全体的にRPGの数が減って、長時間のゲームもアクションゲームの100%などが増えた印象だ。ここ数年はRPG Limit BreakというRPG専門のチャリティー配信イベントがあるので、長時間枠を取りがちでかつ好みの分かれるRPGスピードランはそちらに任せる方針なのかもしれない。

AGDQとSGDQは多くの視聴者を集める一大配信イベントであると同時に、チャリティーイベントとしても大きく成功している。SGDQ 2018は210万ドル(約2億3000万円)を超える寄付を集めており、その寄付はすべて直接「国境なき医師団」へと送付されている。コメント付きで寄付を送ると配信中に読み上げられるほか、スピードランに使われるキャラの名前を選んだり、特定の寄付額を超えた時点でスケジュールにゲームが追加されたりなどのインセンティブが存在する。
【UPDATE 2019/6/25 13:50】
寄付の送付について、運営費以外のほとんどが送付されると記述しておりましたが、正しくはすべて送付されるでした。当該部分について修正しました。

SGDQ2019の配信ページはこちら。配信、解説ともに英語で行われるが、有志が日本語で解説するJapanese Restreamも存在する。この日本語配信のスケジュール(解説者一覧)はこちらで確認可能だ。平日を通して休みなしで配信され続けるため、お目当てのゲームをリアルタイムで見られるかどうかは予定との噛み合い次第な部分はあるが、録画は全て残るため後から見直すことは可能だ。空いた時間に配信を開いてみたら知らないゲームのスピードランをやっていて、思わぬ面白さに見入ってしまい、ゲーム自体にも興味が出るという「出会い体験」はAGDQ/SGDQ開催期間にしか味わえないものなので、スピードラン好きの方もそうじゃない方もぜひこまめチェックしてみてほしい。

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