SIEが制作スタジオ「PlayStation Productions」を設立。PSゲームIPを活かした映画作品などを自ら制作・プロデュース

 

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは5月20日、新たな制作スタジオ「PlayStation Productions」を設立したことを、海外メディアHollywood Reporterを通じて明らかにした。PlayStation Productionsでは、SIEが持つ100を超えるゲームIPを活かした、映画やテレビ向け作品の制作やプロデュースをおこなうという。

PlayStation Productionsは、SIEマーケティング担当副社長Asad Qizilbash氏がトップとして率い、SIE ワールドワイド・スタジオのチェアマンShawn Layden氏が監督する形で運営される。Layden氏は、SIEには25年にわたるゲーム開発の経験があり、この間に生み出された作品を別の形で表現するために、映画やテレビ、またストリーミングといった別のメディアに目を向けるには、今は良いタイミングであると述べる。そしてQizilbash氏は、SIEのIPをより理解しているのは自分たちであり、またPlayStationコミュニティが愛するものが何であるかも熟知しているとコメント。そのため、PlayStation Productionsでは他社にIPをライセンスアウトするのではなく、自ら制作とプロデュースを手がけることにしたという。なお、配給に関してはソニー・ピクチャーズが協力するとのこと。

ゲームを原作とする映画作品はこれまでにもあるが、どちらかというと良い評価を得られなかった作品が多い。この点についてLayden氏は、80時間のゲームプレイをどのように映画に落とし込むのかが問題とされるが、本当にすべきことはその作品の精神を汲み取り、映画の観客に向けて表現することであって、映画の中でゲームを語り直すことではないとする。また、コミックの世界を映画に持ち込み成功を収めたMarvelからは影響を受けており、高い目標として見据えているとのこと。

一方、SIEタイトルのファンに対しては、より多くの接点を持ってもらえる機会を作り出したいとしている。ひとつの作品をクリアしたら、続編まで3〜4年は待たなければならない。その間に、さらなる体験やお気に入りのキャラクターの成長した姿を見せることができるのが、PlayStation Productionsが手がける映画などの別のメディアというわけだ。制作にあたってはクオリティを重視し、年に何本を公開といったスケジュールに追われるようなことはしないとのこと。また、映画なのかテレビなのか、どのフォーマット向けに制作するのかは、最終的には作品の物語によって決まるだろうとしている。

ソニーは5月21日、2019年度経営方針説明会をおこなっており、ソニー・ピクチャーズのある映画分野に関しては4つの柱をもって取り組むとしている。それはMarvelキャラクターなどを使った強力なIPであり、また独立系スタジオとしての強みや、再活性化可能な数多くのコンテンツIPライブラリー。そして、4つめはOne Sony Collaboration。つまりソニーグループ内のIPシナジーを活かすことで、ここにPlayStation ProductionsがSIEやソニー・ミュージックなどと共に組み込まれている。PlayStation Productionsは、ソニー・ピクチャーズの本拠地アメリカ・カリフォルニア州カルバーシティにて、最初の作品制作に向けてすでに始動しているとのことで、どのような作品が生み出されるのか期待して待ちたい。