戦争の闇と狂気を描ききった異色の怪作『Spec Ops: The Line』PC版が期間限定で無料配布中(日本語対応)。ドバイの悪夢が君を待つ


Humble Bundleにて、PC版『Spec Ops: The Line』が無料配布中だ。日本標準時4月1日午前2時までに、カートに入れてチェックアウトするとSteamキーを取得できる(SteamおよびHumbleアカウントが必要)。対応プラットフォームはPC、日本語字幕にも対応している。定価は2980円となっている。

『Spec Ops: The Line』は、2012年に2K Gamesから発売されたTPS。YAGER Developmentが開発を担当している。舞台となるのは、アラブ首長国連邦・ドバイ。華やかな都市は史上最悪の砂嵐にて崩壊寸前になっていた。アメリカ陸軍第33歩兵大隊のジョン・コンラッド大佐は、この事態を聞きつけドバイへ向かったが、彼からの続報も途絶えてしまった。しかし、その後コンラッド大佐からとある信号が発信されていることが確認される。ドバイでは一体何が起こっているのか。マーティン・ウォーカー大尉、アルフォンス・アダムス中尉、ジョン・ルーゴ軍曹のデルタフォースの隊員3名は、コンラッド大佐の救出と現地の状況を確認すべく、混沌と化すドバイへと足を踏み入れる。

『Spec Ops: The Line』が、特に高く評価されたのはストーリーテリングだ。本作の「闇の奥」「地獄の黙示録」から影響を受けたシナリオは、人間の狂気に目を向けさせるものになっており、多くのプレイヤーの精神をえぐってきた。当時メインストリームを引っ張っていた大作シューターへのカウンターとして作られたデザインもまた、カルト的人気を誇る。高い評価を受けた作品であるが、一方で苛烈すぎるとも批評されており、傑作と呼ぶより怪作と呼ぶのがふさわしいだろう。

本作のシナリオライターを務めたWalt Williams氏は昨年には、「なぜ『Spec Ops: The Line』は続編が出ないのですか?」というツイッター上での質問に対し、「なぜなら同作の開発は、過酷で、とてもつらいものだったからです。プロジェクトに関わった人間は皆、もう1作品つくるくらいなら、ガラスの破片を食べる方がマシだと思うでしょう。それに、売れなかったですし」と答えている(関連記事)。プレイヤーだけでなく、開発者も傷を負うほどの、異様な熱量で作り上げられた作品であったようだ。

また開発元のYAGER Developmentは、のちに『Dead Island 2』の開発に携わっていたが、最終的に契約を解除されるという結末に至っている。さまざまな意味でいわくつきになりつつある作品『Spec Ops: The Line』を、これを機に遊んでみてはいかがだろうか。ただし、精神的に余裕のある状況でのプレイを強く推奨したい。