EAがオープンワールドの「スター・ウォーズ」ゲームを開発中。バンクーバースタジオがオンラインエンジニアを募集

画像はモバイルゲームの「スター・ウォーズ/銀河の英雄」より

Electronic arts(以下、EA)はオープンワールド型の「スター・ウォーズ」のゲームを開発しているようだ。求人情報からその情報が明るみに出ていることをGame Informerなどが伝えている。EAが募集しているのはオープンワールド型の「スター・ウォーズ」プロジェクトに携わるリード・オンラインエンジニア。主な業務としてはオンラインのインフラを構築し整備することだ。専門的な知識に精通するだけでなく、マネージャーとして人材育成していくことや、円滑に他機関と連携することも求められる。ほかの募集要件も合わせて見た限り、このオープンワールド型の「スター・ウォーズ」はオンライン要素と密接した作品になるようだ。

この人材を求めているのはカナダのEA Vancouver。EA Vancouverといえば、『Dead Space』を手がけたVisceral Gamesが開発していた「スター・ウォーズ(通称Project Ragtag)」を引き継いだとされているスタジオだ。実際にはEA Worldwide Studiosで引き継いだという形であるが、中心となっているのはEA Vancouverである。Visceral Gamesが開発していた「スター・ウォーズ」作品は、ノーティ・ドッグにて『アンチャーテッド』のディレクションやシナリオを担当したAmy Hennig氏が開発に参加した、リニア型のシングルプレイ作品とされていた(ゲームエンジンはFrostbite 3)。

EA Vancouverが募集しているとなると、やはりこの引き継ぎ案件が少なからず絡んでいると考えられる。もし今回募集している「スター・ウォーズ」プロジェクトがVisceral Gamesの開発していた作品ならば、その方向性を真逆に転換したことになる。EAは長期的なマネタイズを視野にいれた「プレイヤーが戻ってきたくなるような、長く楽しんでもらえるゲーム体験(Game as a Service)」を指向しているとされており、業界内でもオープンワールドにてオンラインを混じえた作品に転換するのではないかとの見方が強かった(関連記事)。今回の求人はその予測を裏付けるものとなるだろう。

EA Vancouverは『FIFA』シリーズなどスポーツタイトルを中心に携わるスタジオ

ただし、EAがさらなる「スター・ウォーズ」作品を手がけるとなると、穏やかな話ではなくなる。EAは昨年発売した『Star Wars バトルフロント II』にて、キャラクターを強化できるスターカードを入手できるクレート(ルートボックス)を導入。実質的にゲーム内課金によって開けられることから「Pay-to-Win(お金を払った者が有利になる)」であるとの世界中から批判を受けた。EAは発売日にこの課金を取り下げ、今月あらためてコスメティック制のゲーム課金へと形態を変更して導入した(関連記事)。一方で、この事件をきっかけに、ルートボックス問題が本格的に取り沙汰されたという背景もあり、EAに「スター・ウォーズ」のIPを扱う権利はないと抵抗感を示すユーザーも少なくない。

一時期は版権を持つルーカスアーツおよび親会社のディズニーがEA以外の他社と交渉しているという怪しげな噂が流れていたものの、EAは互いに信頼関係があることを強調。またEAは今回のEA Vancouverのプロジェクトだけでなく『タイタンフォール』シリーズを開発したRespawn Entertainmentにも「スター・ウォーズ」プロジェクトを委託している。ビジネスの観点で考えても、EAとルーカスアーツのタッグはしばらく続くことになりそうだ。

EAは2013年にも同様に「スター・ウォーズ」のオープンワールドゲームに携わる開発者を募集していた(GameSpot)。募集元はEA Canadaなので、今回の求人とかなり似たようなケースであると言えるだろう。最終的にEA Canadaによる「スター・ウォーズ」のオープンワールドは日の目を見ることはなかったが、今回のプロジェクトはどのような結末を辿るのだろうか。