「日本の峠」が舞台のオープンワールドカーゲーム『TOUGE1995』発表。アイルランドから90年代日本へ愛をこめて


アイルランドに拠点を構えるスタジオGameOrchard Productionsは、『TOUGE1995』を発表した。『TOUGE1995』はその名の通り、日本の「峠」をテーマとしたレースゲームだ。現時点での対応プラットフォームはPC。今回GameOrchard ProductionsのプロダクトマネージャーであるEoin Clifford氏にうかがった話をまじえて本作を紹介したい。

プレイヤーとなるのは、とあるレーサー。「峠レーサー」として名を馳せた父の遺産を守るべく、ハンドルを握ることを決意する。本作は、オープンワールドゲームとなっており、プレイヤーは見渡す限りの山道の「峠」をドライブ、レースすることができるという。ライバルとの争いやレースに勝利することで賞金を稼ぎ、車やパーツを購入し、改造することでスピードの限界を超えていく。

Clifford氏は『TOUGE1995』の特徴として「車種の多さ」をあげている。ゲーム内には1950年台から90年代にかけての日本車をベースとした車が多く登場する予定で、それらはすべて細かくカスタマイズできる予定であるという。またゲーム内の世界観は、1990年代の日本がベースとなっており、峠だけでなく日本の郊外や都市を走破することも可能であるようだ。本作は、基本的には暗い夜の時間でゲームプレイが展開される。

Clifford氏に「日本の峠」をテーマとしたゲームを開発することを決意した理由についてたずねたところ、「日本の車文化を考えた時に、多くの人が日本の丘の暗いストリートを好んでいると感じた」と答えた。美しい夜景と荒々しいレースのギャップというロマンに強い愛着を抱いているとのこと。ゲームの開発初期から「雨の降った日本の峠」を、本作のイメージとして頭に焼き付けているという。

非常に魅力的な作品であるものの、ひとつ懸念される点がある。というのは、GameOrchard Productionsの前作である、Steamでリリースされたホラーゲーム『A Step Into Darkness』の評判がすこぶる悪い点だ。グラフィックや演出について一定の評価を集めるものの、不評が多く集まっている。無料ゲームであるが、プロトタイプともいえる状態のままSteamでリリースしてしまったことが、批判されている。Clifford氏は『A Step Into Darkness』はUnityでゲームを作ろうと思ったことがきっかけで始めたプロジェクトであり、どうプレイするか、どのような完成度かということを考えず「Steamでゲームをリリースしたい」という思いばかりが先行したタイトルであったという。

Clifford氏は同ゲームを「出すべきではなかった」としながら、前作は完全な個人プロジェクトであったが『TOUGE1995』は構造化された体制で開発が進められていることを強調している。一方で『A Step Into Darkness』に評判によって、開発に懐疑的になってしまう可能性について認めつつ、ゲームの完成度で挽回したいという旨のコメントを残している。

期待と不安の両方が入り交じる『TOUGE1995』であるが、年内にデモを配信予定であるので、まずはそちらを遊んでみるといいだろう。


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)