『ファミコンウォーズ』の影響を受けるシミュレーション『Wargroove』開発元がファンの質問に答える。マップエディットをアピール


イギリスに拠点を置くパブリッシャー/デベロッパーのChucklefishは9月8日、コミュニティサイトRedditの任天堂subreddit(いわゆる任天堂板)にてAMA(Ask Me Anything、なんでも聞いていいよ)を実施した。この中では、現在開発中のターン制ストラテジーゲーム『Wargroove』についての情報が数多く出てきたので、かいつまんで紹介しよう(関連記事)。

本作については、『ファミコンウォーズ』(具体的には『ゲームボーイウォーズアドバンス』)と『ファイアーエムブレム』から影響を受けていることが当初から明らかにされていたが、ほかに『タクティクスオウガ』や『XCOM』、『The Battle for Wesnoth』からの影響もあるという。

『ファイアーエムブレム』と比較した場合、本作は戦略要素により重点を置いており、逆にRPGやストーリー要素は控えめ。ミッションを通じてキャラクターを成長させる代わりに、ミッションごとに指揮官が新たな兵士をリクルートする形にしている。そのためゲームプレイの面では、『ファミコンウォーズ』により近いという。ゲームではお互いの指揮官を倒すことを目標に戦うが、指揮官は「Groove」という戦局を変えられるほどの強力なパワーを持っているそうだ。そのほかオンライン対戦や、ユーザー作成コンテンツの共有などが本作ならではの特徴となる。

勢力は少なくとも4種類存在し、12人以上用意される指揮官にはそれぞれキャンペーン(ストーリー要素)がある。指揮官の中には、「Hakuchou」という文字どおり白鳥をテーマにした者(鳥)もいるそうだ。ちなみに、細かく描き込まれたドット絵が美しい本作だが、ユニットのアニメーションには、シンプルな兵士の場合で90フレームを作成してスプライトシートにまとめているとのこと。

本作には天候要素があり、たとえば雨が降っていると魔術師は雷を落とすことが可能になる。天候は1日おきにランダムで変わり、プレイヤーは“天気予報”を見て事前に戦略を練ることができるという。そのほかに現在取り組んでいる要素として、「戦場の霧(マップの一部が見えないなどの不確定要素)」も挙げている。ユーザーコンテンツ作成時にはそれを利用するか否かを選択でき、一方マルチプレイではロビー作成時に設定できるよう検討している。ただマルチプレイについては、地形を隠すことは一部のプレイヤーに不公平感を与える恐れがあるので、あえて除外するかもしれないとのこと。

マルチプレイは最大4人対応で、オンラインだけでなくローカルマルチプレイにも対応する。ローカルだとお互いのゲームプレイが筒抜けになってしまうが、その点は問題にはならないよう配慮しているという。またターン制なので、コントローラー1個を回してプレイすることもできる。対応人数については今後増やす可能性もあるそうだ。

本作はマルチプラットフォームで発売することもあり、オンラインクロスプレイはぜひ実現させたいとのこと。まだ確定といえる段階ではないが、関係各所との調整をおこなう意向のようだ。また、昨今話題になることが多いPS4とのクロスプレイについては、NDA(秘密保持契約)などがあるため何も言えないが、シンプルな問題ではないとコメントしている。

AMAでは、「風邪引いてない?」とか「何も言わず俺のハンドルネームをクレジットに入れてくれ」といった気遣いやゴリ押しにも丁寧に対応していた

前述したように、本作はプレイヤーがオリジナルのキャンペーンやミッションを作成・共有できるエディターが用意されていることが特徴の一つである。マップを自由にエディットできるほか、ミッションの目標設定にはたとえば「10日間生き延びろ」とか「最初に5000ゴールド貯めたプレイヤーが勝利」などといった設定ができる。エディターのUIについては、マウスでもゲームパッドでも同じ体験になるようデザインには細心の注意を払っているとのこと。また、Switch版についてはタッチスクリーンを利用できないか検討しているそうだ。Chucklefishは、ユーザーがどのようなコンテンツを生み出すのか楽しみだとコメントしている。

本作ではオリジナルのゲームエンジンを開発して使用している。コストはかかるが、Unityなど既存のゲームエンジンを使用する場合と比べてやりたいことに柔軟に対応することができ、結果的にクオリティの高いゲームに仕上げることができるという。PC向けと比べて、コンソール向けの開発はかつては非常に難しいものったが、現行世代においては非常に親しみやすいものに変わったそうだ。Switch版については、任天堂が開発者向けに用意している資料やサポートが大いに助けになっているとも語っている。

現在、開発を進めては内部でのテストプレイを重ねているが、プレイヤーによってスキルやミッションへのアプローチが異なるため、バランス調整には苦慮しているという。現時点ではキャンペーンごとに難易度を変えたり、ミッションにクリアランクを設けたり、あるいはゲームモードを複数用意するなどの対応を検討しているそうだ。なお、一番最初のキャンペーンで必要なことをすべて学べるので、このジャンルの初心者でも心配はいらないとしている。

Chucklefishが販売を手がける『Stardew Valley』のSwitch版について、来年の第1四半期には発売できるかも、とコメント。また、同スタジオの代表作『Starbound』をSwitch向けに移植することについては、興味はあるが技術的なハードルが高いとも

『Wargroove』以外の話題としては、インディー開発者を目指す質問者に本作のプログラマーRodrigo Braz Monteiro氏が、どこかのスタジオで働きたい場合は、小さなプロジェクトでも構わないので、まずゲーム開発に携わって実績を積むことが近道になるとアドバイス。Global Game JamやLudum Dareなどのゲームジャムに参加することも勧めている。最初は失敗してもいいし細かい部分にこだわる必要もないが、そこから学んで改善させていく力をつけることが大切だという。また、最近のインディーゲーム開発ではUnityやGame Makerを使用することが一般的なため、それらの使い方をマスターしておくことも武器になる。一方、独自に活動したい場合は、先人のサクセスストーリーを読み、たくさん研究して、そして膨大な時間やお金を費やすことになる心構えをすべきだとしている。

開発を始めてから1年以上になるという『Wargroove』は、PC/Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)/PS4/Xbox One向けに、2018年前半に発売予定。もともと2017年発売予定としていたが、コンテンツを増やしてより規模の大きなゲームにするため延期を決断したという。ちなみにChucklefishのCEO Finn Brice氏は、10万本くらい売れたら幸せだとコメントしている。