核爆で荒れ果てたネオン街を駆け抜けるアクション『Black Future ’88』開発中。レトロ未来な世界観が光る


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第549回目は『Black Future ’88』を紹介する。

本作は横スクロールタイプのアクションシューティングゲーム。80年代のレトロフューチャー的なビジュアルで、近年盛り上がりを見せつつある80年代リバイバルムーブメントの影響を感じさせる作風が特徴的だ。

1988年の夏。街に高くそびえる塔の建築者であるダンカンが所有する核兵器の攻撃により、太陽は活動を停止、世界は荒廃し暗黒に包まれた。人類は核により崩壊寸前まで追い込まれ、世界の進化は1988年で止まったままとなる。核の雨は依然としてタワーの最上部から降り注いでいる。この攻撃を生き延びた少数の人類も、降り注ぐ核の影響でいずれ滅びる運命も近い。残された時間は僅かだ。プレイヤーは塔の最上階に向かい、狂気の所有者であるダンカンを阻止しなければならない。

本作の目的は、いたってシンプルだ。殺人マシーンと化した機械や薬物中毒者など、様々な狂った敵がプレイヤーの目の前に立ち塞がる。それらを薙ぎ倒し、塔の最上部に居座るダンカンを倒すこと。ステージは大きく5つに分かれており、プレイヤーはスキル特性の違う5人のキャラクターの中から1人選び、荒廃した土地へとおもむく。残された時間は僅か18分。リアルタイムに時が進む中、時間内に塔の最上部に辿り着く必要がある。敵だけでなく時間とも戦わねばならない。塔内部のマップは自動生成され、プレイ毎に異なる体験が可能。ローカルCO-OPで、友人とプレイすることもできるそうだ。

トレイラーを見る限り、本作の基本的なシステムは、一般的な横スクロールタイプのアクションを踏襲したものに見える。ゲームプレイ自体は比較的にシンプルなようであるが、一方で注目すべきはそのビジュアルにある。極彩色のレーザー光線や銃から発するエフェクト、揺らめくネオン、ハイテンションな音楽は、ドラッギーという形容詞で言い表す以外にはない強烈なものだ。排他的で偏執的な作風などを見ても、『Hotline Miami』からの影響を受けていることがうかがえる。

また80年代、多くの人達が夢見たであろう、ヴャーチャル・リアリティやシンセポップ、ドリームポップなどといった要素が存分に盛り込まれているようだ。最近では80年代をテーマとしたインディー作品『198x』が発表されているように、80年代リバイバルムーブメントに盛り上がりが見られる。この手のジャンルは、郷愁に訴えかけることが重要になる。どこか懐かしさを感じさせなければ、ただの古臭いものになってしまう。本作のトレイラーからは、包括的な80年代へと回帰するメッセージ性を感じ取ることができる。たとえばトヨタMr2のようなフォルムの車に乗り込み(おそらくデロリアンのオマージュ)塔に突っ込むシーンなどがそうだ。レトロで近未来な世界観が、80年代サイバーパンクの雰囲気を巧みに形作っている。

さまざまなビジュアルがドーパミンとなって脳内を満たしてくれそうなドラッギーなゲームである『Black Future ’88』。開発を手がけているのは、カリフォルニア州のオークランドで活動するスタジオSUPERSCARYSNAKES。本作が、スタジオの処女作となるようだ。ゲームで使用されている音楽は、本作の開発者でもありミュージシャンでもあるドン・ベランジェ(Don Bellenge)氏のバンドTremor Lowが担当する。

『Black Future ’88』は、現在PC向けに開発中で、2018年内にSteamにてリリースを予定している。