悪夢を克服するまで何度も時を巻き戻す、線画タッチの2DアクションRPG『LUCAH』が開発中。無料デモあり


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第445回目は『LUCAH』を紹介する。

本作はゲーム開発者Colin Horgan氏の個人プロジェクトとして始まり、現在は米国のインディーデベロッパー「melessthanthree」の3人チームにより開発が進められている、Unity製の2DアクションRPGである。プレイヤーが操作するのは、魔法の力を授かった呪われし子供「Lucah」。終わりなき悪夢の世界に閉じ込められた「Lucah」は、己の穢れを取り除くためにも、赤く染まった醜きクリーチャーたちに立ち向かわなくてはならない。必要とあらば時を巻き戻し、何度でも、何度でも。

本作の戦闘システムは、体力、スタミナ、チャージという3つのパラメータを管理しながら進めていくものである。スタミナは強・弱の近接攻撃、ドッジ、ダッシュ、パリィにより消費され、時間経過により回復する。チャージは射撃攻撃を放つたびに消費され、敵に近接攻撃を当てることで回復していく。相手の隙をついて切り込み、スタミナが切れかかったら間合いを置いて射撃攻撃に切り替える。この近接攻撃と遠距離攻撃を併用する戦闘システムに、「時間の巻き戻し」という要素を付け加えている点で本作はユニークである。

本作には回復アイテムが存在しない。そのかわり主人公は一定回数だけ時間を巻き戻せる。巻き戻し能力を発動すると戦闘開始前まで時がさかのぼり、それまでに受けたダメージがリセットされる。ただし敵の体力も初期化されるため、戦闘は最初からやり直しとなる。回復アイテムを多用しながら強行突破するという戦術は効かないのだ。巻き戻し能力の使用回数は休息ポイントに触れることで回復するものの、本作では一度休息エリアから先に進むと、次の休息エリアにたどり着くまで戦闘から離脱することができない。時間の巻き戻しは、いわばコンティニューに近い役割を担っているのだ。

ダメージを受けた状態で次の戦闘エリアに進むべきか、それとも時を巻き戻して戦闘をやり直すべきなのか…

主人公はマントラと呼ばれる力を手に入れることで、武器の属性を切り替えられるようになる。武器属性、補助効果、射撃攻撃の種類という3つの要素を組み替えることで、戦闘スタイルをカスタマイズできる。また装備セットは2つまで保存でき、戦闘中にボタンひとつで切り替えられるようになっている。攻撃の途中で属性を切り替え、コンボを繋げられるわけだ。なお主人公の見た目は属性に応じて変化するため、どのセットを装備しているのか判別しやすい。

本作の特徴である白黒を基色とした線画タッチのビジュアルは、不気味で閉塞的な空間づくりに貢献している。暗く視界の限られた、憂鬱な世界だ。その一方で、素早い戦闘をベースとしたアクションゲームである本作においては、すべてのキャラクター/オブジェクトが陰画で描かれているゆえに、状況を瞬時に把握しづらいという問題を引き起こしかねない。この点に関しては、主人公キャラクターだけを鮮やかなカラーで目立たせ、敵キャラクターについては赤色で統一しつつ、攻撃モーションに入った際は黄色いインジケーターを光らせることで、敵・味方の動きを識別させようと工夫している。とはいえ主人公が装備するマントラによっては敵・味方が同じ赤色で表示されるため、混乱を招く可能性はある。視認性の問題については今後のブラッシュアップに期待したい。

なおデベロッパーの「melessthanthree」は7月10日までKickstarterキャンペーンを実施している。初期目標資金額は2万ドル(約220万円相当)であり、本稿執筆時点では19日を残して目標額の50%を突破している。またitch.io/gamejoltでは無料デモ版が公開されており、ゲーム序盤の3チャプター分をプレイできる。製品版では全10チャプターまで用意される予定だ(想定クリア時間は6時間から8時間)。製品版のリリース後には、無料アップデートとしてエンドレス・アリーナ、ニューゲーム+の追加が検討されている。

『LUCAH』の対象プラットフォームはWindows/Mac/Linux、リリース時期は2018年6月を予定している。