『勝利の女神:NIKKE』運営プロデューサーにインタビュー。装備や強化素材のドロップ確率からコスプレ推しの理由まで、硬軟取り混ぜいろいろと訊いた

 

Level Infiniteが配信している『勝利の女神:NIKKE』(以下、NIKKE)は、2023年11月4日に1周年を迎える。10月27日に実施された生放送ではさまざまなアップデートが告知され、ゲーム内外を問わずさまざまなイベントが行われる。それに伴い、『勝利の女神:NIKKE』を運営するLevel Infiniteのプロデューサー、Reed Lu氏にインタビューする機会を得た。

運営サイドへのインタビューということもあり、ゲームシステムやシナリオに限らず幅広いお話を伺うことが出来た。1年間『NIKKE』を運営してきてどのようなことがあったのか、ゲーム内外を問わず多様な話をうかがった。なお、『NIKKE』はPC/モバイル向けに基本プレイ無料にて配信中である。

細かいネタも翻案する日本語へのこだわり

──『NIKKE』がリリースされて1年になりますが、日本のSNSではよく画像や話題を見るゲームになったという印象があります。まずゲーム全体についていくつかお伺いします。まず『NIKKE』はグローバルでリリースされていますが、日本での売り上げは何割ぐらいになるのでしょうか。


Reed氏:
割合はお答えできないんですが、シェアの部分でいえばやっぱり日本が一番いいですね。次が韓国と差で3番目に北米という形になります。

──そうした人気に対してどのように思いますか。

Reed氏:
やはり、『NIKKE』独特の魅力をユーザー様に、まず受け入れてもらえたのがすごく嬉しいです。日本のユーザーの特徴というか面白いなと思ったところは、日本では『NIKKE』のコラージュ画像をSNSでよく見かけるところですね。

──(笑)『NIKKE』はなぜ日本ではこんなに人気になったと思いますか?

Reed氏:
まず1点、シューティングゲームとキャラクターRPGというあまり馴染みがないジャンルが組み合わされたところに、今までにはない新しいポイントがあったのだと思います。その次に、ストーリーがしっかりしている土台の部分がプレイをしているユーザーに好評なんじゃないかなと考えています。運営として言えば、基本的に年間を通して長期的なイベントの計画プランを立てているので、比較的ユーザーにとってもストレスのない長期的に遊べるゲームになっていると思っています。そこがユーザーにとっては好評なのではないでしょうか。

──人気の秘密の一つとしてシナリオとかストーリーの話も上げて頂いておりますが、我々日本人からすれば海外のゲームにも関わらずシナリオを読んでいて文章に違和感がない、翻訳の良さが『NIKKE』の魅力だと思っています。ローカライズについて、こだわっている点はありますでしょうか。

Reed氏:
テキストは韓国語から日本語にローカライズをしているのですが、ローカライズした後に、各キャラクターやストーリーを運営が逐一全部チェックする形で、ローカライズだけれどもキャラクターの設定や面白みを損ねることなく、ありのままユーザーに伝わるように細心の注意を払いました。

ほかにも脚色と言っていいのかはわからないのですが、元々韓国語であったネタを日本のユーザーにも面白みが伝わるように日本のネタに置き換えて、ユーザーに面白く思ってもらおうという点も注意しています。たとえば日本ですとメインストーリーに「ガ○ダム」や「北○の拳」を思わせるネタが入っていたりとかするのですが、そういったところユーザーに面白いと思っていただけるよう、できる限り残すようにしています。ほか、細かいところで言えば文章の長さが若干違うので、ユーザーにとって読みやすいように文字数や改行といった部分に注意を払っています。


──先日行われた夏のミニゲームでも、「スラ○ダンク」のパロディが入っていたりと日本のゲームではないのにすごいなと思わされました。

Reed氏:
ありがとうございます(笑)


イベントシナリオは明るいものと重いものを交互に

──「スラ○ダンク」から続けてジャンプの話になるのですが、初のコラボが「チェンソーマン」だったことに驚かされました。よろしければなぜそうなったのかを教えていただければと思います。

Reed氏:
理由は簡単です。開発+と運営チームが「チェンソーマン」がすごく好きだったんです。次にユーザーとマッチしてそうという点も理由の一つです。私達としてポイントだったのは、ちょうどそのときにアニメ化の話があったので、ぜひそれに伴ってコラボを出してほしいと考え、話題化を狙いました。「チェンソーマン」は比較的新しいIPだったのであまりコラボの経歴もなく、「チェンソーマン」のキャラクターが『NIKKE』の世界に入ったときのデザインもユーザーにとっては新鮮ではないかと考えたため、早い段階でのコラボが出来たのではないかと思います。


──確かにアニメ化に近い時期のコラボだったのでこちらとしてもインパクトがありました。先ほども年間計画のお話がありましたが、ストーリーイベントは真面目でシリアスなものと、明るいギャグ系のものが交互に来ている印象があります。意図的に並べているのでしょうか。

Reed氏:
そこは開発と相談を重ねています。開発にしっかりしたシナリオ用のチームがいるので、明るいものとちょっと重めのものを交互に進めていくところも考えています。もう一つ大事なポイントとしてはイベントの時期でしょうか。たとえば年間でエイプリルフールや、バレンタインデーイベントの時期は基本的には明るいもので、それに合わせて他の内容をいつ持ってくるかも一緒に考えています。

──季節的なイベントということでは、夏の水着のイベントが2つありました。その最初はシリアスな感じで、後から逆的なものが来て、登場するニケといい感じになるイベントだった印象があり、すごくバランスが取れているなと思いました。

Reed氏:
そうですね、夏バージョン追加のときも前編と後編に分けていたので、ユーザーになるべく楽しんでもらえるようなリズムやテンポの内容になりました。前編のときにユーザーに伝えたい内容や設定があったのでちょっと重めにはなっているんですが、やはり全体的には夏イベということもあってポップな感じで楽しんでいただける内容とし、後半の方は逆に明るい感じにまとめました。

※夏のイベント前編に当たる「BLUEWATER ISLAND」では中心人物であるニケの一人、メアリーに隠された秘密が明らかになる。


意外なお気に入りBGMとは?

──おっしゃる通り最後に綺麗に収まったなという印象を受けました。イベントやメインストーリーも含めてサウンドが素晴らしいゲームだという印象もありまして、『NIKKE』のブランドとしてサブスクサイトとかで音楽が配信される予定はあるんでしょうか?

Reed氏:
配信についてはリリースの段階から考えています。現在準備期間中ということでぜひ楽しみにしていてください。

──楽しみにさせていただきます。また、よろしければReedさんのお気に入りのBGMをお教えいただけますしょうか。

Reed氏:
NYA NYA PARADISEのBGM『Lovely Lonely Cat』が一番好きです。遊ばれていたらわかると思うんですが、シナリオがちょっと悲しいんですよね。


──わかります。明るいイメージの「わんわんパラダイス」の次に来たペットイベントにも関わらず「NYA NYA PARADISE」のストーリーが悲しいシナリオだったので驚きました。落差がすごかったです。

Reed氏:
ですよね。ちょっと重めだったシナリオなので、ジャズ調の歌も入っているのが、重めな感情を柔らかくしてくれるような曲でお気に入りです。雨の日に聞いたら合いそうですね。

──私はボス戦の曲ばっかり好んで聞いてまして、ランドイーターの曲とかが好きなんですよね。

Reed氏:
いい趣味ですね(笑)。

──ありがとうございます(笑)。好きな曲の選択がとても意外でした。実はこちらで考えたのは私が上げたようなボス系の曲か、ハーフアニバイベントで印象的だったOVER ZONEのドロシーの曲『SATELLITES』とかが出てくるかなと勝手に想像していました。


Reed氏:
ラプラスのときの歌もチーム内ではみんな結構好きですね。


今後のゲームバランスはユーザーの意見も踏まえて調整中

──何となく曲の好みとか趣向がわかるような気がします。
続けてゲームの難易度やバランスについて、ちょっと踏み込んだ話をさせていただければと思います。迎撃戦やシミュレーションルームについて、現時点の難易度で止まっていてずっと先が出てない状態という印象があるのですが、こちらについて現時点以上の難易度を出す予定はありますでしょうか?

Reed氏:
こちらは今検討中になります。ユーザーから寄せられた意見を聞きながら検討しています。

──ありがとうございます。迎撃戦ではドロップした装備を強化するわけですが、そのドロップするコラボキャラ用の装備が相対的に余りがちになる印象がありまして。これについて何か対策とかは考えておられるのでしょうか?


Reed氏:
誤解されがちなのですが、アブノーマルの装備がドロップする際はほかの企業の装備のドロップを下げてアブノーマルの装備が出ているわけではないので、ほかのドロップには影響していません。なので、余っているように見えますが元々オプションとしてプレゼントしているものと思っていただければと思います。ほかの企業の装備のドロップについては全部均一です。イメージ的には通常の企業のドロップ率が均一で、アブノーマルが別途ドロップしていると思っていただければわかりやすいのかなと。

──なるほど。

Reed氏:
SNSなどでユーザーのコメントを見て、「ある企業の装備はちょっと余っているけど、どうしたらいいですか」みたいな意見ももちろん認識はしていて、対策も内部で検討しており、どのように解決しようかを考えています。

──先ほど出てきたシミュレーションルームの話にも関わるのですが、バーストマニュアルであるとかスキルマニュアルとか、ニケの実装数に対して供給が追いついてない印象がありまして、私も育てているニケがどうしても偏っており、新しく実装されたニケが強いとわかっていても放置してしまっています。このあたりについてはどう対策を取られるのでしょうか?


Reed氏:
こちらもユーザーからのリアクションを受けて、内部で検討しています。どうしたら資源を増やせるのか、獲得の入手ツールをどうしたら増やせるかを相談しています。

──また話が変わるのですが、実装されるニケの企業間バランスは考慮されているのかなと思いまして、一部企業のニケの数が多いのでは、という印象を受けています。

Reed氏:
そちらも検討内容のうちの一つでして、おっしゃられたいくつかの質問全部はユーザーからも、反響をいただいている部分なのでもうまとめて全部頭を悩ませているところではあります(笑)


──頭を悩ませている系の話の質問が続いてしまって恐縮ですけれども、解放システムのキャラが今4体でしばらく実装が止まっていますが、こちらも追加はあるのでしょうか。ストーリー的にこれが来そうだなと想像はつくのですが、ここもよろしければご回答いただければ。

Reed氏:
検討中です。

──イベントの復刻は常設イベントという形になっていて大変ありがたいなと思っているのですが、イベントと同時期に開催されたピックアップガチャは再度行われるような予定はあるのでしょうか。たとえば、モダニアピックアップを再度開催する事はあるのでしょうか。

Reed氏:
ピックアップの復刻は状況によって考えています。年間を通してガチャはプランのうちの一番大事な部分なので、イベントの復刻イベントアーカイブを実装するのとは別ですね。ここは慎重にちょっと考えています。

──『NIKKE』はPC版とスマホ版があって私も両方で行き来してプレイしているのですけども、一部のボス戦で、明らかにスマホでやるよりはPC版の難易度が低い印象があります。このあたり、PC版とスマホのプレイ感を近づけるような試みは行われるのでしょうか。


Reed氏:
私達の考え方としては、グローバルパブリッシングの際に各地域のユーザー文化によって端末の選択肢を増やしている形なので、基本的にユーザーの方に選んでいただくイメージとなります。どちらかが有利というよりは、ユーザーの選択によってPCで遊んでいただくか、スマホで遊んでいただくかの判断をしていただく、という感じですね。


コスプレばかりにこだわっているわけではありません

──ここからはゲーム以外のお話になります。『NIKKE』はグッズ展開が盛んなゲームだなという印象がありまして。たとえばウエハースとかも作っておられたり、先日京都で行われた京まふというイベントで京都限定グッズを売られたりしておられましたよね。その時に海外から来てらっしゃる方がいて驚きました。

海外から京都へ来て観光じゃなくて『NIKKE』グッズを買いに来るのかと。そういうグッズ展開については海外と日本、日本国内でも地域ごとに分けている印象があります。そういうものは通販で販売したりする予定などはあるのでしょうか?個人的な興味からの質問です!


Reed氏:
現段階で言えばコラボ先の企業様が販売するルートがあるか、ということになります。たとえばアニメイトさんだとか、グッドスマイルカンパニーさんはグローバルで販売するルートをお持ちなので、基本的にはそういった企業様はグローバル販売が可能というお答えになります。

ほかの地域の企業様については検討中という部分でして、たとえば韓国のグッズに対する日本のユーザーの反響はどうなのか、逆に日本のグッズが他の地域で受け入れられる度合いとか、検討する必要のある部分がいろいろとあります。もちろん私達としても、ユーザーの声にお応えできるように準備と努力をしています。

──乱暴にいえば、ニーズのないところにはお出しできないと。

Reed氏:
元々の企業様の販売ルートもあります。私達が販売したい気持ちがあっても可能かは相談が必要な部分になってくるので一概には言えないところです。グッズ自体に関して言えば弊社と開発と相談をして、こういうものを作ったらいいんじゃないかとなった企画段階で、販売についても検討中です。

──『NIKKE』は宣伝でコスプレを多用している印象があります。たとえば東京ゲームショウであるとか、コミックマーケットとかにコスプレイヤーさんがいるのは、ほかの企業さんでも見られます。ただ『NIKKE』では夏のイベントで公式にコスプレ動画がアップされていまして、プロモーションPVとしてゲーム画像ではなく、コスプレイヤーの動画が出てくるゲームは初めて見た印象があります。スタッフさんの中にコスプレがお好きな方がいらっしゃるのでしょうか?


Reed氏:
元々私達のチームは2次元系の内容が好きなメンバーで構成されているので、コスプレに限らずそういったジャンルのものが好きです(笑)たとえば先ほどおっしゃられた水着の動画なのですけど、ユーザーアンケートなどの結果を受けて、そういうものをユーザーが気に入ってくれていると認知して作った動画でもあります。

また、コミケでもコスプレイヤーのイベントをやっていたのでそれに合わせて現地に来られない方は、動画で見てくださいねという気持ちを込めてオフラインとオンラインで対応した形です。ほかにも福岡のイベントでは販売をコスプレイヤーが行っていたのですが、それはうちのスタッフで、チームのメンバーです。コスプレが趣味のメンバーで構成されています。

──ありがとうございます。いろいろお聞きできて嬉しいです。最後に今まで『NIKKE』を遊んできたファンに対して何かメッセージをいただけますでしょうか。

Reed氏:
まず1年間遊んでくださったユーザーさんへ、この1年間『NIKKE』を愛してくださってありがとうございます。皆様の期待に引き続きお答えができるようにこれからも頑張っていきます。ハイクオリティな内容やデザインなど、引き続き頑張って作り続けていきますのでこれからもぜひ『NIKKE』を愛し続けてください。これから遊ぶ新しいユーザーさんに関しては、皆様が『NIKKE』を始めるときにスムーズな体験ができるよう、これからも頑張るので良かったら『NIKKE』に注目してください。


──ありがとうございました。

NIKKE』はPC/モバイル向けに基本プレイ無料にて配信中である。