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東京・恵比寿に2つのスタジオを設け、ライブストリーミング事業の国内先駆者として業界内で確かな信頼を集めているクローク株式会社。表舞台には出ないため、一般的なゲーマーにはその名を知られていない。だが2010年の創業以来、有名タイトルの公式生放送やeスポーツ大会のイベント中継など、配信業を通じてゲーム文化を盛り上げることに貢献してきた。

ライブストリーミング分野では9年間で1500件以上の実績を誇り、今年8月に開催された「コール オブ デューティ ブラックオプス 4 日本最強決定戦」(以下、CoD: BO4日本最強決定戦)のライブストリーミングからPC版『黒い砂漠』24時間生放送企画まで、幅広いタイトルやイベントを裏で支援してきたクローク。本稿では、なぜ同社が大型イベントや公式生配信で選ばれ続けているのか、業界トップクラスの配信業者である所以に迫る。

なおクロークは現在人材募集中。気になった方は公式サイトの求人ページを確認してみよう。

 

集大成となったCoD:BO4日本最強決定戦

BtoCのライブ配信業者といっても、業務領域は多岐に渡る。ライブストリーミングを活用したイベントやネット番組の企画、映像制作、プロモーション、キャスティング。配信だけでなく、コンテンツづくりに必要な業務を包括的に扱えるがゆえにリピーターも多い。自社スタジオでのライブ番組放送、セミナー、社内会議、記者会見。さらにはスタジオやイベントスペースの開設・運営コンサルティング・サポート、スタッフの育成まで、幅広いニーズに応えるノウハウとリソースを有している。

そんなクロークにとって、「CoD:BO4日本最強決定戦」はひとつの集大成とも言える大型イベントであった。『コール オブ デューティ ブラックオプス 4』のプロシーンでは、公式世界大会「CWL(Call of Duty World League)」の出場権をめぐる日本予選として、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)主催の「CWL日本代表決定戦」という大会が定期開催されていた。8月に都内某所で開催された「日本最強決定戦」では、日本代表決定戦の国内上位4チームが、日本最強の座を賭けて激突した。

賞金総額は1000万円。参加チームはCYCLOPS athlete gaming、Libalent Vertex、Rush Gaming、Unsold Stuff Gaming。各チーム熱戦を繰り広げた結果、日本代表決定戦4連覇中(世界大会では6月のCWLアナハイムで25位タイの好成績)の大本命Libalent Vertexが見事勝利を手にする形で、大会は幕を閉じた(PlayStation.Blog)。

ステージの選手たちを照らす煌びやかなスポットライト。スティックバルーンを手に送られる客席からの声援。実況・解説席から放たれる熱く的確な言葉。だがそうした表舞台の熱狂ぶりを直に見れるファンは限られている。魅せる映像をつくり、熱戦ぶりをカメラに捉えて配信する裏方がいるからこそ、トップ選手たちの高度なプレイが、そして彼らの熱意が世界中のファンのもとに届けられる。

 

スポットライトが当たらない、陰の貢献者

熱気に包まれた本番のステージは、イベント会場に集ったスタッフ陣による、丸一日の下準備と入念なリハーサルにより形作られていく。SIE主催の大規模イベントにもなると、複数企業が協力して準備を進めていくことになる。映像・配信を担当するクロークのスタッフも、本番前日に40人近くが集い、機材の運搬・設置・設定を粛々と行っていた。

そんな中、クロークのテクニカルマネージャーである榎本大氏が、厳しい眼差しでスタッフに目を配っていた。機材のプランニング・映像制作・配信を統括している人物だ。そんな榎本氏に、テレビとネット配信の違いを踏まえて、クロークの強み、そして仕事へのこだわりについて語ってもらった。

「テレビの映像制作会社さんは、技術面においても、番組制作力においても文句無しでトップクラスなのですが、ネットでのライブストリーミングになると全く別の業務領域になるんです。そのため映像制作会社さんの多くは、ライブストリーミングが必要になった場合、専門の業者さんと一緒に仕事をしています。一方、クロークは映像の制作・技術・配信すべてをワンストップで対応できるところを強みとしています。お客様としては、別々の業者に連絡する煩雑さを省けるのです」

榎本氏いわく、イベントの見え方をプロデュースすることと、イベントの様子をカメラにおさめて魅力的に配信することは、別領域の仕事。それらを包括したディレクションができるというのが、クローク社の大きな強みである。もちろんクオリティにも妥協はせず、世に出して恥ずかしくない仕事を常に心がけていると語ってくれた。「映像の仕事を長年やってきた身として、クオリティは絶対に下げたくないと常々思っています」。

 

ゲームの世界観を崩さない映像づくり

ライブストリーミングの品質というのは、人為的ミスの回数といった数量化できる部分を除けば、一般的な視聴者には分かりにくいもの。だが配信の裏では、作風を壊さない絵づくりを意識した、入念な事前準備が重ねられている。

「簡単なことをやっているように見えても、実は裏で3人くらいが違う機械を触って、ひとつの映像をつくっているといった、複雑な絵づくりになっていたりします。ゲーム画面の上に対戦チームの名前・情報・テロップなどを重ねていったり、試合後すぐに結果画面を出せるようにしたりといった、大会専用のシステムを事前に構築しているんです。いろんな機材を組み合わせて、そのイベントにとって最適な配信になるよう時間をかけて準備しています。

ただ、一般的な視聴者は“あの配信のあの演出がカッコいい”といったことは気にしておらず、ゲームや選手が好きだから配信を見ています。なので視聴体験を邪魔しない自然な絵つくりを目指しています。違和感なく視聴してもらえると、ゲームにうまく馴染ませることができたんだなと安心しますね。視聴者さんに映像技術を褒められても恥ずかしいですし。ゲームの世界観を壊さないという大前提のもと、始めからゲームにあったかのようなデザインをはめ込むことにこだわりを持っています」

 

確かな技術と経験にもとづいたネット配信

職人たちの手により形成されていく、イベントのライブストリーミング。クロークの代表取締役である原田厳氏も、会場設営の段階から現場を奔走し、各関係者との調整にまわっていた。物腰の柔らかい切れ者プロデューサーという印象の原田氏は2010年、動画共有サービスUstreamの黎明期にクロークを設立。ライブストリーミング事業にいち早く参入し、経験を培ってきた。

「そのときはゲームに特化しようとは考えていなくて、情報発信する手段としてインターネット生放送の需要が増えてくるなと思って事業を始めたんです。ちょうど、昔の上司が一緒にやろうと、スタジオと機材を投資してくれました。今でこそ標準機になりましたが、いきなりTriCasterという当時約300万円のハイスペックな機材を導入することができて、最初のころは機材だけでお客様に選んでもらうこともありました。今では1000万円クラスのさらにランクが上の機材も使っています」

クローク株式会社 代表取締役 原田厳氏。海外旅行関連企業に長年従事し、営業から事業統括など幅広い経験を積む。その後、ヤフー株式会社にて、営業企画、コマース部門などを担当。広告系ベンチャー企業の創業メンバーを経て、2010年5月クローク株式会社を設立。ライブストリーミングを活用したビジネスモデルの構築、スタジオ運営、企画制作、番組プロデュースなどを推進してきた

先見の明を持って早期参入し、かつ創業初期から自社スタジオを持ち、トップクラスの機材を仕入れることで、スタートダッシュに成功させたのだ。その後はUstream、niconicoのドワンゴといった主要な配信サービス提供者と直接仕事を重ねていく中で、徐々に信頼を獲得。そうしていくうちに、技術と経験の両方が備わっていったのだ。

スタジオを使った公式生放送だけでなく、eスポーツイベント会場からのライブストリーミングも数をこなしており、今年8月だけでも、CoD: BO4日本最強決定戦のほか、人気バトルロイヤルゲームの王者決定戦、有名スマートフォンタイトルの大会など、ビッグイベントの配信を複数担当している。クロークの名が表に出ることはあまりないが、何気なく観ている国内大会の配信や、ゲーム会社による公式生放送を、実はクロークが担当しているというケースは少なくない。

 

コンシューマーからモバイル、eスポーツから公式生配信まで幅広く対応

日本のeスポーツシーンは海外ほど発展しておらず、大型イベントの開催回数自体が少ない。そうした中でUstream初期のころから堅実に経験を重ね、ノウハウを蓄積してきたことは、大きなアドバンテージとなる。クロークの場合、2012年ごろからゲーム関連の仕事が入ってくるようになり、いまでは仕事の6〜7割がゲーム関連の案件だという。

eスポーツのイベントから紹介番組、コンシューマーからモバイルまで、ありとあらゆる種類の案件を、多ければ週5〜10本こなしており、自然と対応力が身についていく好循環を維持している。ゲームはライブストリーミングをもっとも有効活用している分野であり、プロモーションの軸として捉えている企業も多い。そんな中、ゲームのイベントや配信で何が求められているのか、高いレベルで理解しているというのが、クロークが選ばれている大きな理由だろう。

「弊社には習熟度が高い人材が揃っており、人為的ミスは比較的少ないと思っています。その分、業界の中では料金は高い方ではありますが、それに見合う品質を継続するよう、日々努力しています」

 

PC版『黒い砂漠』24時間生放送も対応可能、充実したスタジオ設備

クロークは恵比寿駅近辺に「Ebisu Studio」「Prime Studio」という2つのスタジオを設けている。上品な雰囲気が漂う両スタジオでは、有名タイトルの公式生放送や、毎日夜21時放送のクイズ番組など、日々複数の案件が進行している。8月末には、PC版『黒い砂漠』の毎年夏恒例企画「さばくてれび」24時間生放送が実施されていた。

日本運営プロデューサー麥谷氏、運営チームのくまき氏、モスグリーン氏、3代目GMらくだ氏などを招いた長時間放送。恒例化した24時間レベルアップ企画や、GMギルドが参戦する拠点戦、スクリーンショット撮影会などが進行された。スタジオ内には複数の撮影スペースが隣接しており、イベントの同時進行など柔軟に対応できるのだ。

クロークと「さばくてれび」主催者であるゲームオンとの付き合いは長い。スタジオの利用だけでなく、小スケールの配信であればゲームオン社内の配信スペースで完結するよう、機材のレンタルやオペレーション人員の手配、さらにはゲームオン人員の育成まで行っているという。こうした多角的な対応ができるのも、経験豊富なクロークの良さである。

 

グルーブシンクの松井氏が、自信を持って紹介できる配信業者

では、クロークに仕事を依頼するクライアントは、クロークの仕事ぶりをどう捉えているのだろうか。CoD: BO4日本最強決定戦はイベント主催者であるSIEから依頼を受けた、株式会社グルーブシンクが全体を取りまとめており、制作技術・配信担当としてクロークに発注している。グルーブシンクの代表取締役である松井悠氏は、ゲーミングイベントのプロデュースを続けてきた業界のキーマン。選手ファーストのイベントづくりを何より大事にすることで知られている。

そんな松井氏およびグルーブシンクと2010年の創業当時から取引してきたということで、クロークはある種のお墨付きを得ていると言えるだろう。CoD: BO4日本最強決定戦のリハーサルに訪れた松井氏は、日本の特異なeスポーツシーンの現状を踏まえた上で、クロークと取引している理由を語ってくれた。

グルーブシンク 代表取締役 松井悠氏

「まず日本のゲーム配信は、海外と比べて特殊なんです。海外の場合、テレビプロダクションがそのまま配信を行なっていることが多いのですが、日本はそうではありません。配信業に特化した業者さんが対応しています。

テレビ番組とゲーム配信は、同じブロードキャスティングでもつくり方が違うんです。たとえばスポーツの海外テレビ中継は、一回セットを組んだら、シーズン中ずっと使い続けることができます。一方、日本のeスポーツシーンは、まだ大会の頻度が低めなので、テレビ型の中継システムでやるとコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。そのためワンオフでイベントを作りあげていくのですが、回数が少ないので習熟が大変なんです。

しかもゲームのイベント配信は作業が多くて、“テロップを入れてください、戦績を出してください、勝敗結果を表示してください、次のシーンはこれです”と切り替えが激しい。いわゆる叩く作業がものすごく多いんです。経験を積む機会が少なく、なおかつ作業が複雑。するとどうなるかというと、叩きミスが起きるんです。誤った情報を流してしまう辛いミスが頻発するのです。手作業なので、どこかで絶対にミスは起きてしまうのですが、ゲームイベントではそれが異常に多い。そうならないよう、クロークさんは丁寧に対応してくれるわけです。

また、海外大会のカッコいい演出を見て、真似してみたいと思っても、ワンオフだとコストがかかりすぎる。クロークさんはそこでうまい折衷案を出してくれるんです。“こういうことをやりたい”という要望に対して、できる / できないの判断をするのは簡単だと思うのですが、そこで止まらず、“こういうことならできるよ”という風に提案してくれるので、すごくありがたいですね。機能の充実したスタジオを持ち、知見があり、新しい技術を積極的に取り入れている。安心して任せられる業者さんのひとつです」

原田氏の印象をうかがったところ「きちんと仕事をしてくれる、職人の頭領」と表現していた松井氏。良いものをつくるという点で、しっかりと合意ができる仕事相手だと説明してくれた。

「配信という分野において、イベント全体をプロデュースする私たちがやりたいことを的確に実現してくれる方です。グルーブシンクは自社興行せず、必ず他の誰かから依頼されてイベントを統括しています。つまりクライアントのお金を使って仕事をするわけです。そのときにクライアントに自信を持って紹介できる配信会社のひとつです」

グルーブシンク ディレクター 河本直也氏

松井氏だけでなく、グルーブシンクのディレクターとして現場レベルで関わっている河本直也氏も、クロークの技術力や柔軟性を高く評価していた。河本氏はもともと『Halo』シリーズの大会に選手として出場していた人物。グルーブシンクには元ゲームプレイヤーのスタッフが多く、河本氏いわく半数以上が選手として活動していたメンバーだという。そんな元選手の河本氏が「ゲームに対する理解が非常に高い」と評していたのがクロークだ。

「ノウハウもそうですが、海外で使用されているソフトウェアや、海外大会の演出など、最新の情報を把握されているので話が早く、仕事がしやすいんです。人為的ミスが起きないようにする技術力も高いですね」

 

求人:チャレンジ精神があれば、未経験も可

eスポーツシーンやゲームの公式生配信を裏で支えているクローク。仕事の依頼・相談は公式サイトより受付中。また新規スタッフも随時募集中だ。言うまでもなく厳しい仕事であり、ライブ配信を仕事としているだけあって毎日が納品日。高いパフォーマンスとスピード感の両方が日常的に求められる。ただ、やってみないとわからないこともあるため、チャレンジ精神のある応募者はできるだけ採用するようにしているという。技術は毎日現場で案件をこなす中で習得できる。ただ持久力は必要だ。

望むところだというチャレンジ精神と、技術を自主的に吸収していく意欲があれば業界未経験者でも歓迎。未経験からスタートし、1年以上の下積みを経てサブリーダーへと昇格したメンバーもたくさんいる。気になった方はこちらから条件を確認してみよう。

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