『百英雄伝 Rising』プレビュー。安易に「今」に従わない、手堅く攻めるアクションRPG

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名作JRPG『幻想水滸伝』のクリエイターが制作を手がけることで一躍話題となった『百英雄伝』。その前日譚としてアクションRPGである『百英雄伝 Rising』が現在開発中だ。このたび本作の一部を先行してプレイする機会に恵まれたため、現時点におけるインプレッションを作品の内容を含めて紹介していきたいと思う。


『百英雄伝 Rising』は2022年内に発売予定であるアクションRPG。開発を担当するのはナツメアタリ。また、『幻想水滸伝』の河野純子氏がキャラクターデザインを、村山吉隆氏が監修を、『ペルソナ』『カリギュラ』で著名な里見直氏がシナリオに携わっていることで知られている。対応プラットフォームはPC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch。

物語としては、大地震で被災した街「ニューネヴァー」が舞台。財政復興のための事業としておこなっている「遺跡発掘」を目当てとして訪れたトレジャーハンター「CJ」が、遺跡に秘められた運命と世界を揺るがす陰謀に巻き込まれていく過程を描く。本作はRabbit & Bear Studiosが開発中にあるRPG『百英雄伝』の前日譚という位置づけであり、作中の世界観や設定を共有している。今回おこなわれたプレビューでは2体目のボスを倒すまでを体験することができた。

シンプルにまとまっているゲームシステム

今回体験できた『百英雄伝 Rising』のゲームシステムは、アクションRPGとして非常にシンプルな内容であるという印象を受けた。クエストを受けて、ダンジョンに潜り、ボスを倒す。道中で手に入った素材を使って自己強化をおこない、次のダンジョンに潜る。サブクエストをクリアすると、褒美として自己強化ができる施設が次々建っていく。鍛冶屋を開いて武器を鍛えれば攻撃アクションの種類が増え、防具屋で鎧を新調すれば、2段ジャンプができるようになったり、パリィができるようになったりする。酒場で美味い飯と常在バフを得て、薬屋が開店すれば回復アイテムを購入可能だ。おまけとしてくたびれた町並みが活気を取り戻していく。

アクションそのものに関しても、基本的に複数人(今回操作できたのは2人)のキャラクターをプレイ中に適宜入れ替えながら戦っていく形式ではあるが、目立って特殊な内容になっているわけではない。キャラクターひとりひとりには1つずつ攻撃用ボタンが割り振られており、押すと攻撃と同時に操作キャラクターが入れ替わる。これにジャンプ用のボタンと移動用のボタン/スティック、専用技のボタンと、キャラクターひとりあたり計4つの入力で簡単に操作できるようになっている。攻撃の終わり際に異なるキャラクター用の攻撃ボタンをタイミングよく入力すると、入れ替わりと共に、強力な攻撃が発生する。さわやかで華やかなエフェクトが心地よい。


ユニークな要素としては、キャラクターごとに操作感がはっきりと異なるという点だろう。今回のプレビューでは双刃を操るオールマイティーなキャラクター「CJ」と重量級の大剣を振るう「ガルー」の2人を操作。両者はキャラクターがもつ役割だけでなく、移動の速さ、ジャンプの感覚など操作中ほとんどの部分で差別化されていた。「CJ」は軽やかに移動、ジャンプをおこなうことができ、着地の際に双刃を崖際へひっかけることが可能なことから、ジャンプアクションに失敗することが少ない。専用技には敵の攻撃を回避可能な高速移動「ダッシュ」が用意されている。一方「ガルー」は全体的にスローテンポ。移動もジャンプも攻撃も入力から発生に若干の時間を要する。大剣が得物ということで、攻撃範囲が広く、一部の遠距離攻撃に剣をぶつけると弾き返すことができる。専用技はタイミングを合わせて敵の攻撃を受け止める「パリィ」だ。

本作のPVをみると3人目のキャラクター「イーシャ」が存在していることが確認でき、今回のプレイでは使わないボタンが1つ不自然に存在していた。おそらく製品版では3人のキャラクターを入れ替えながら攻略をおこなっていくことになるのだろう。ダンジョンの内装自体は特筆すべきものはなかったが、道中出くわすボスには仲間の特性を活かして討伐を図ることになる者もおり、それぞれのプレイフィールの違いも合わせて、興味深いアクション体験が製品版では期待できそうだ。


本作で注目したい点といえば、美しく描かれたビジュアルデザインもまた忘れてはならない。写実的で繊細な美しさと、絵本のようにグラフィカルな可愛らしさや暖かさが同居するアートワークは、今風でありながらもどこか懐かしい、それこそ『幻想水滸伝』の面影を思い起こさせるものだ。キャラクターのモデルも良く動く。光源の当たり具合では地面に影が写る細やかなこだわりが楽しい。キャラクター同士の会話中だけでなく、敵の攻撃サインとしても使用されている各種フキダシのアイコンは、アートスタイルの全体的な雰囲気からは浮いてしまっているが、逆にその点がレトロゲームライクな演出としていい味を出している。
【UPDATE 2022/3/22 10:27】
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ストーリーに関しては丁寧な進行もあって、プロローグの範疇からでることはなかったため、何かを言及することは難しいのだが、全体的な雰囲気としては、儲け話につられて被災地にやってくる新参者と、古くから「ニューネヴァー」を地元として生活している住民との間に生じている軋轢など、復興というお題目のもと錯綜するさまざまな人々の思惑が描かれたシリアスな内容となっていた。筆者はかつて震災で被災した身であるゆえ、語られる内容には多少なりとも思うところがあった。ただ残念な点としては、その場にいるのに話しかけることのできないNPCが数多く、リアルな画風で描かれた背景に対して、少し浮いている感覚を覚えた。


本作に対する現時点での全体的な印象としては、「シンプルに手堅い面白さがある」。その一言に尽きる。奇をてらうこともなく、かといって安易な形で「今らしさ」に迎合することもなく、「自分たちが望む本当に面白いものを作る」という『百英雄伝』のコンセプトに従っているものだといえよう。物語の先に何が待っているのか。街の発展はプレイヤーに何をもたらしてくれるのか。製品版が発売されたあかつきには、『百英雄伝』の前哨戦に収まらない体験を提供してくれることだろう。ちなみに本作をゲームクリアしておくと、『百英雄伝』プレイ時に何か特典が得られるという。世界観の予習もあわせて、ぜひプレイしておきたい作品である。

『百英雄伝 Rising』は2022年内に発売予定だ。

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