293本の鍵から正解の1本を探し出す脱出ゲーム『You Have 293 Keys』。諦めかけた頃に訪れる喜びの瞬間

You Have 293 Keys』は、床に散らばった293本のカギから正解の1本を探し出す脱出ゲームである。米国のゲームデベロッパーWill Enders氏が、Chelsea Saunders氏のモックアップをもとに開発したインディーズ作品であり、itch.ioにて無料公開されている(対象プラットフォームはWindows/Mac/Linux)。

プレイヤーはローポリゴンで描かれた薄ピンクと深紅色の小さな空間に放り出される。床にはファンタジーRPGのダンジョンに出てきそうなマスタード色のカギ293本がどさりと山積みになっており、その先には「さぁさぁ、開けてごらんなさいよ」と言わんばかりに、錠前のかかった扉が行く手をふさいでいる。どのカギが正解なのかを示すヒントはなく、1本1本マウスの左クリックで持ち上げては錠前にはめていくしかない。運が良ければ最初の1本であっけなく成功するかもしれないし、運が悪ければ最後の1本まで、20分間ほど己の忍耐力と戦いを挑むことになるかもしれない。

「開けてごらんなさいよ」と扉に語りかけられているような気がする

使用済みのカギは消えずに残るため、片付けておかないと使用前のカギと区別がつかなくなる。整理整頓を面倒くさがっていると二度手間になるわけだ。いらなくなったカギは空間の外に放り投げて捨てればよい。ただし間違って未使用のカギを捨ててしまうと扉を開けられなくなる。焦らず確実に作業していくことが肝心だ。本作の地道な反復作業は不思議とリラックスできる性質のものであり、気が散って仕事や勉強に集中できないときにこそ起動してみると良いかもしれない。

使用前・使用後のカギが混ざらないように気をつけよう

「あれ、どのカギが正しいんだっけ?」という感覚は、現実でも経験したことのある方がいるのではないだろうか。キーチェーンに複数のカギをつけていると、暗闇の中で必要なカギを瞬時に探り当てられなかったりする。この手当たり次第にカギを差し込んでいく様子は『You Have 293 Keys』の体験に近いものがある。少し妄想を膨らまして、「早くトイレに行きたいのに、家の扉を開けられない」という切羽詰まったシチュエーションで、正解かもしれないカギが293本もあったら…なんて考えるとおぞましくもある。

現実ではなく他のゲームでの体験に例えると、ダンジョンでカギの在りかが分からず悶々とする感覚というよりは、暗証番号系のパズルが解けずに、片っぱしから数字を入力しはじめる感覚に近い。理屈上は全パターンを試せばいずれ正解に辿りつけると分かってはいても、何度も失敗しているうちに自信が無くなっていく。そうして諦めかけたころにカチリとロックが解除され「おっ開いたじゃん!」というサプライズに思わず笑みがこぼれる。『You Have 293 Keys』は、こうした不意に訪れる喜びの瞬間を味わえる作品なのだ。

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