『Diablo III: Reaper of Souls』F&F Beta開始 死神は悪魔を復活させるか

 

2012年5月15日にリリースされた『Diablo III』。 すでに発売から一年半が経過しており、ゲーム内のボスとしてもコンテンツとしても、Diablo という悪魔を倒しきった方は多いのではないでしょうか。ちなみに執筆時、北米時間で夜中にあたる時刻に Public Game のルーム数を確認してみましたが、Inferno の全クエストあわせて 1000 程度でした。1400万本のセールスを達成した大作タイトルにもかかわらずです。また、筆者はほとんどのフレンドと長らくゲーム内で遭遇しておりません。はたして拡張パック『Diablo III: Reaper of Souls』という死神は、このような状況の悪魔に復活の機会をあたえるのでしょうか。

11月8日・9日に開催された『Blizcon 2013』の場で、『Diablo III: Reaper of Souls』の発表も行われました。また、11月21日より Friends and Family Beta Test (以 下F&F beta) も開始されています。これによりプレイ可能なレベルまで完成した、より詳細かつ具体的なパッチ内容が明らかになろうとしています。『Blizcon 2013』やベータテストの具体的なスクリーンショットなどは他サイトの既報を参照していただくとして、本稿では「パッチが出るまで正座して待つ」こと以 外にわれわれプレイヤーが可能な行為について述べていきます。

既報については、DiablofansのBlizzcon記事に鮮明なスライド画像とアップデート内容・インタビュー、Betaレポートに いくつかのスクリーンショットがありますので、ぜひご参照ください。 また本稿は筆者の見解であり、各サイトの記事や公式フォーラムの Blue Post など、公開情報からの推測であることをご了承ください。Blizzard になんの縁もゆかりもない筆者が F&F Beta に参加できるはずもなく、PTR はいつだろうと思いながら Twitch などの配信を見ております。

 


Loot 2.0に向きあう

 

『Blizcon 2013』では「Loot 2.0」について、多くの情報が発表されました。また、プレイ可能な Beta テストが開始されたたため、「Loot 2.0」の大枠は固まったとみていいでしょう。公式サイトの Auction House 閉鎖記事で提示された「Diablo’s core game play: kill monsters to get cool loot.」や、「Loot 2.0」のスライドで「Loot 2.0 Philosophy」と題された「less is more」、「Items Support Builds」、「Rarity = Power」など、これらの 「Loot2.0」のビジョンから Blizzard から提示されています。

乱暴に言ってしまえば「トレードでなんでも手に入るのは甘え」でしょう。こちらの Blue post では、「現在の仕様では新しい Legendary や Set Item は、アカウントに紐付けられる。ただしパーティー内では時間制限つきでトレード可能」とあります。またこちらのスレッドでは「Gold はBOA (Bind on Account、アカウント固有アイテム)」「いやいやそれどころか、価値のありそうなものすべてがBoAじゃないか」などの投稿がかわされています。

このような極端な変化を目前にして、もっとも気になることは「自分の装備や資産はどのような扱いになるのか」でしょう。当然ながら、今持っている装 備が取りあげられたりゴールドがごっそりなくなったり……ということはないでしょう。しかし、レベル70で装備可能になる「DPS3000 オーバーの 1-hand sword」や「Strength+962、Vitality+649、Critical Hit Chance が +6% の Bracer」など、茶色い文字で書いてある Legendary 固有の追加効果を見ずともあきれるほど強力な装備が上記 Diablofans の記事で紹介されています。

 

Pick+20が素敵だったカエルちゃん。Graveのお供に。
Pick+20が素敵だったカエルちゃん。

Graveのお供に。

 

これらの装備を、もし仮に「最高峰・目標地点の数値」とすると、現在の装備はゴミ扱いでしょう。今どれだけ強力な装備を所有していたとしても、今後 実装される強力な装備を前にしては「それらを手に入れるための通過点としては強い装備」になってしまいます。筆者がこよなく愛するカエルちゃんこと「Thing of the Deep」も、おそらくすぐにゴミ箱行きです。

 


今、何をしておくべきか?

 

さて、ここからが本題です。Auction House が稼働しているうちに購入しておくべき装備としては、Crusader 育成用の装備があげられるでしょう。たとえば現行の Cain’s Fate セットは、 Auction House で安価に手に入る Increases Bonus Experience 装備のひとつです。また、Level Requirements Reduced のある装備を Auction House 閉鎖後に入手しようとすると、自力でドロップを狙わないといけなくなってしまいます。これらも今のうちに購入しておくとよいでしょう。

また、既存 Legendary アイテムで「あっこの効果面白そうだな」と思った装備は今のうちに Auction House で買って遊んでおくとよいでしょう。旧 Legendary アイテムが手に入らなくなるわけではありませんが、今後は Auction House ほど気軽には手に入らなくなるでしょう。現在の仕様では、Legendary アイテムはアイテムレベル (以下ilvl) が固定されており、そのせいで Normal 難易度でしか手に入らない Legendary アイテムも存在します。

しかし「Loot 2.0」では Legendary アイテムの ilvl は、倒した相手のレベルによって決まります。つまり ilvl は無関係、 全部の Legendary アイテムがドロップする可能性があるということです。さらに、プレイしているクラスのアイテムが出やすいよう補正がかかるため、「今あるこのアイテムで遊 んでみたい」という欲求は、今のうちに満たしておいたほうがよいでしょう。そもそも、既存 Legendary アイテムの持つ特殊な効果そのものが変更される可能性すらあります。

Demonic Essence など、既存の Common Items は、配信を見るに新クラフトでも利用するようです。また、Gold に関してもクラフトで利用するため、ある程度まとまった数を持っておいてもよいでしょう。倉庫いっぱいに溜めこんでおいても、Auction House という「まとまった数を販売するルート」がなくなってしまうため、持っておく量は自分が必要だと思うぶんで十分なのではないでしょうか。

 

外すだけで5M取られます。
外すだけで5M取られます。

 

また、Gold もある程度持っておく必要があるでしょう。トレードには利用できなくなっても、Artisan の利用には必要です。Marquese Gems をソケットから外すのに必要な金額は変更されていないうえに、新レシピで必要とされる金額も不透明です。利用額が気にならないほど Gold が産出される可能性もありますが、持っておいて「ああ使わなかったね」といったふうに、安心材料として確保しておくという選択もあります。

 


これからの『Diablo III』

 

既存の常識を捨て、新しく新鮮なゲームプレイを提供する……本パッチは『Diablo III』の「バージョン 2.0」にふさわしい内容でしょう。前作『Diablo II』でもバランス調整だけにとどまらず、スキルのシナジー効果などの大規模改修がなされましたが、『Reaper of Souls』はそれをさらに超越し、『Diablo III』が持つゲームシステムそのものの再創造に挑戦しています。ここまで大規模な改修は、他のデベロッパーではなかなか見かけません。まさに Blizzard のゲームならではの醍醐味ではないでしょうか。

Monster Power の実装といい、ここまで大規模なクライアント面での改修を行うとは、発売前には夢にも思いませんでした。仮に『Diablo III』がプログラムの設計時に大きな拡張性を持たせていたとしても、ここまでの規模で改修する場合はコストが非常にかかることになります。さらにそのう え、 RMAH の手数料収益も捨てしまうという選択は、並大抵の決断ではありません。

『Reaper of Souls』はまだ世に出ていないため、最終的な評価をすることはまだできません。しかし、Blizzard は大きなリソースを『Diablo III』に割り振って、よりよいゲームにしようと向きあっています。F&F Beta のオフィシャル記事では 「近々」Public Test が行われるとされています。Blizzard はけっして少なくないコストをかけて『Reaper of Souls』を制作しています。

『Diablo II』はいまだにプレイヤーがいる息の長いコンテンツですが、『Diablo III』も同じような長寿コンテンツになることを願ってやみません。