Google Playは暴力的なゲームであふれている。子どもたちを守るためにできること

英国のWIRED誌が伝えるところによると、Google Playストアには、幼気な子どもたちがプレイ可能な「暴力と血しぶきにまみれた残虐非道なゲーム」が野放しにされているらしい。そして、その筆頭が『Mad Max Zombies』だ。

この最悪の血に飢えたゲームには山のような死体(なぜか歩く)や、人を殺すことを目的に生み出された現実の銃器が多数登場する。にもかかわらず、血も涙もない作者たちの悪魔的な企みによって、あろうことか「PEGI 3」3歳以上対象のレーティング)と評価されていたというのである。3歳の子どもが「鼻歌をうたいながらヘッドショットでゾンビの頭を吹き飛ばし、野卑な笑い声で腹を抱えつつ、負け犬に向かって卑猥な罵り言葉を浴びせる」姿を想像してもらいたい。これはとんでもない問題かもしれない。

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なぜ適切にレイティングされないのか

PEGI(Pan European Game Information)は欧州30か国以上を対象にしたビデオゲームのレイティング審査機関だ。日本ではCEROにあたる組織といってよいだろう。PEGIだけではもちろん毎日申請されてくる数千のアプリすべてを審査することはできない。そこでPEGIは国際年齢評価連合(IARC)が作成と管理を行う“開発者へのアンケート”に審査を丸投げしているのが現状だ。IARCはコンテンツに含まれる要素を開発者に回答させ、その回答内容をもとに自動的にレイティングを決定する仕組みなのだ。──つまり、開発者が悪意をもってアンケートに嘘を答えた場合、レイティングはまったく用を成さないということだ。

Appleはそれとは別にアプリを人力で審査しており、血煙と殺戮に満ちた暴力ゲームが無垢な3歳児の手に渡るのを阻止しているとされている。ところがGoogleは、こともあろうにそのような手間をまったくかけていない。かくしてGoogle Playストアは、血臭漂うむごたらしいゲームが放置された無法地帯になったというわけである。Google Playストアには『Baby Panda Dental Care』というパンダを血まみれにするゲームや、『Virtual Girl US Army Women Mom Family Games』という銀行強盗にヘッドショットをぶち込むけしからんゲームがPEGI 3で放置されていたという。

問題となっているのは暴力ゲームだけではない。Google Playストアにはギャンブルゲームも溢れており、英国ギャンブル委員会の最新の調査によれば、11~16歳の子どもの13%がオンラインでギャンブルゲームをプレイしているそうだ。かなり深刻な事態といえるだろう(Gambling Commission)。

さて、この問題は誰が悪いのだろうか。子どもの安全を守ろうとしないGoogleだろうか。それとも手抜きレイティングしかしないIARCだろうか。IARCの広報担当者は「公開されてるゲームやアプリの数が多すぎて、格付け機関がすべてのリリースを監視することは不可能だ」と述べている。もっともな主張だ。たとえばAIで自動判定するにせよ、不適切な卑猥画像と天空の城ラピュタの感動的な場面さえ区別できない現在のAIに、ゲームの暴力性を審査することなど不可能だろう(Digg)。

この問題を報じたWIRED誌は、Googleさえしっかりとレイティングを管理すれば問題は解決できると考えているようだ。しかし、私にはそうは思えない。子どもと成人ゲームをめぐっては、さらに根深い問題が存在するからだ。

 

そもそも年齢を偽ることができる

私は、ゲーマーの子どもを持つ二児の親でもある。そんな親なら必ず遭遇するのが、子どものアカウント作成に必要な生年月日入力だ。わが子たちは過去に、二人とも口をそろえて「生年月日って、本当のを入れなきゃだめ?」と私に問いかけてきたものだ。そんな時、たいていの大人はこう答えるしかない。

「若きパダワンよ、嘘はダークサイドへ通じる」

私の知る最寄りのゲーム店の店員は、店頭での年齢確認についてこう教えてくれた。

「相手が見るからに子どもの場合は親が同伴してるか聞きます。基本的に年齢は口頭確認です。免許証などで年齢を証明してもらうことはないですね」

比較的安全とされるAppleの場合はどうだろうか。「Apple ID に関連付けられている生年月日を変更する」というページには、生年月日の変更方法について次のように記されている。

1.Apple ID のアカウントページにサインインします。場合によっては、セキュリティ質問に答える必要があります。
2.「アカウント」セクションの右端にある「編集」をクリックします。
3.生年月日を変更して「完了」をクリックします。

どうやら生年月日を成人に書き換えるのは、それほど難しくなさそうだ。では、WIRED誌に批判されているGoogleの場合はどうだろう。私は自分のスマホのGoogle Playストアにアクセスし、ファミリーライブラリの中にスクウェア・エニックスの人気ゲーム『ヒットマン スナイパー』を発見した。Apple Storeでは「17+」でGoogle Playストアでは「18+」にレイティングされているゲームだ。ところが驚いたことに、このゲームはファミリーライブラリに入っていただけでなく、17歳以下のわが子のスマートフォンからインストールすることも、プレイすることも可能だったのだ。

どういうことだろうか。わが子にスマホでGoogleアカウントの生年月日変更が行えるページにアクセスしてもらうと、そこには本来表示される生年月日ではなく「生年月日を追加」という文字が現れたのだ。つまり、わが子のアカウントには、そもそも生年月日が入力すらされていなかったのである。一応確認したところ、現在はGoogleアカウント作成の手続きはより複雑になっており、もちろん生年月日も必ず入力しなければならない。だが、過去には生年月日の入力すら不要だったのだ。そして現在でも、生年月日を偽ることは簡単だ。

子どもが生年月日を偽ることは珍しいことではない。『艦これ』ブームの頃、そもそも未成年はアカウントがつくれないはずの『艦隊これくしょん –艦これ-』をプレイしていた未成年を、私は何人か知っている。『Call of Duty』ファンの小学生も知っている。彼らはきっと、どこかで生年月日を偽ったに違いない。しかし、いまや生年月日を偽る必要すらないのが現実だ。

いまではスマホと銀行口座があれば、何でもできてしまう。LINE Payに口座を登録すれば、クレジットカード同様に使えるバーチャルカードを1分足らずでつくることができる。バーチャルカードがあれば、コンビニで面倒なギフト券を買わずともSteamでゲームも買えるし、スマホゲームに課金もできるのだ。これらはすべて生年月日を正直に申告し、未成年でもできることだ。

つまり、子どもが年齢制限があるゲームをプレイするのを阻止する方法は、事実上ない。いまやクレジットカードを持っているから大人とは限らないのだ。もちろん実際にはクレジットカードではなく、プリペイドカードなのだが、オンラインショップはそれを区別しない。一番のハードルは銀行口座の開設だが、これも未成年の申し込みだけで受け付ける銀行は、残念ながら存在する。もしかすると子どもたちは、ゲームの年齢制限に気づきさえしないかもしれない。

 

子どもを暴力ゲームから守る唯一の方法

Image Credit: Amazonより絵本「Thomas & Friends: Thomas Goes Crash」

子どもは禁忌を犯すことを至上の喜びとしている。きかんしゃトーマスが脱線事故を起こせば爆笑するし、テレタビーズが泥まみれになって家の中を汚すのを飽きずに何時間も見る。これは日本も英国も同じ。おそらく、世界共通だ。

では、そういった子どもたちはもれなく「鼻歌をうたいながらヘッドショットで人の頭を吹き飛ばし、野卑な笑い声で腹を抱えつつ、負け犬に向かって卑猥な罵り言葉を浴びせる」ような大人になるのだろうか。そうではないことは、私たちが一番よく知っている。少なくとも私は、理由もなく実弾で他人の頭を吹き飛ばしたいと思ったことは一度もない。子どもが暴力ゲームをプレイしたがるのは、ただの好奇心だ。好奇心旺盛なのは良いことでありこそすれ、咎められるようなことではない。どんなゲームか覗いてみたいという子どもの好奇心自体は、否定されるべきではないのだ。

二児の父として私が思うに、親として大事なことは「なぜ成人ゲームをプレイしてはいけないのか?」を論理的に説明してあげることだろう。「子どもだから」という理由だけでゲームを規制するのは、子どもの心を抑圧するだけで、じつはなんの説明にもなっていない。重要なのは「なぜ子どもだからだめなのか?」に答えることだろう。これは子育てにおいて、それほど特別なことではない。そもそも「なぜ他人のものを盗んではいけないのか?」を論理的に子どもに説明できない大人が、まともな親になれるはずがないのだ。子育てとは「だってみんなやってるんだよ」という身も蓋もない子どもの感情論を、大人の論理でやさしく諭してやることの繰り返しなのだ。

「嘘はダークサイドに通じる」というだけでは、若きパダワンたちは決して納得しない。映画スター・ウォーズが私たちに残してくれた教訓は、若きアナキン・スカイウォーカーに「ジェダイの教えだから」と頭ごなしにルールを押しつけさえしなければ、悪のベイダー卿は生まれなかったということなのだ。子どもたちは、ルールの押し付けではなく、なぜそのルールが必要なのかという説明を求めている。その答えは各家庭によって、それぞれだろう。

『スター・ウォーズ バトルフロントII』より、アナキン・スカイウォーカー

さて、まだ若きパダワンに過ぎないわが子に、ゲームの年齢制限についてどう思うか尋ねたところ、LINEで次のような回答が返ってきた。

「これからスマホゲームもリアルになっていくことを考えると、年齢制限に賛成」

これが本心かどうか私に知る術はないが、親にできるのは信じてあげることだけだ。

「なぜ未成年は成人向けゲームをプレイしてはいけないのか?」という問いに対し、論理的に説明できる自信がない。そういう大人たちのために、最近便利な言葉が生まれたので最後に紹介しよう。わが子がもし生年月日をごまかして成人ゲームをプレイしているのを見つけたら、まずはできるだけ渋い声でこう言ってやるといいだろう。

「──おまえはゲームだけでなく、己自身も欺いたのだ」

子どもがハードコアなゲーマーなら、きっと心に響く何かがあるだろう。

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