バージョン管理ソフトウェアHelix Coreで業務効率化を図る。東陽テクニカ中川氏【GTMFインタビュー】

ゲーム開発ツール&ミドルウェアの祭典「GTMF(Game Tools & Middleware Forum)」展示者もしくはMeet-Ups登壇者を対象にインタビューする本企画。

株式会社東陽テクニカは測定器を中心に扱う商社であり、自動車や医療などさまざまな分野へ製品を提供している。同社はゲーム業界で必要とされる開発支援ツールも販売しており、Perforce Software社製Helix CoreはUbisoftなどが導入している。東陽テクニカはゲームの開発現場にどのようなサポートを行っているのだろうか。ソフトウェア・ソリューション部門の中川氏に具体的な製品を紹介してもらいつつ話を聞いた。

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───まずは自己紹介をお願いします。

中川氏:
東陽テクニカ ソフトウェア・ソリューション 次長の中川です。東陽テクニカはさまざまな分野の測定機器を、例えばサーバーやネットワークの試験装置などを販売していますが、私たちの部門ではソフトウェア開発支援ツールを取り扱っています。業務効率の改善を支援する海外製ツールの輸入販売です。お客様に製品の紹介やプリセールス、技術的な支援、コンサルティングなどを行っています。

私自身のバックグラウンドとしては大学の情報系の専攻を出ていて、もともとC++でプログラムを書いていました。ゲーム業界での開発経験はないですが、クライアントの内製ツールをC++で開発したり、設計の支援をしたりして技術を磨く中で、良いツールを使うことで現場はもっと業務を効率化できると感じていました。

───まさしく目先のものをケチって全体的なコストが増大すると。

中川氏:
人力や人海戦術みたいなところはありますね。もともと働いていた会社もなかなかツールに投資する余裕がなく、やっぱりツールは要るなと考えていました。ちょうどその時、東陽テクニカの販売しているツールを扱う機会があり、ツールを活用した開発支援をしたいと思いました。

開発環境をしっかり整えないと、いくら現場が頑張っても大変です。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などが世の中で取りざたされているように、どうやってプロセスを自動化し、人の作業を減らしつつ、上手に働き方改革を実現するかという話が多く出ています。

このような取り組みは大事なので、ツールベンダー寄りの立場でソフトウェア開発を支援し、効率という面でお客様をサポートしたいと思い、当時扱っていた東陽テクニカのツールが私自身のスキルセットに合っていたので、東陽テクニカに入社しました。日々最新動向や技術を勉強しながら、お客様が開発効率をあげられるようサポートしています。 

───C++に慣れていらっしゃるということは、Unreal Engine 4のコードも……。

中川氏:
コードは触れますが、ゲームにするにはセンスが要るんですよね。そうしたセンスはないんです。ゲーム業界を見ていて凄いと思うのは、センスを持っている人が多いことです。展示などのムービーもきれいだなと。 

───続いて、今回展示されている製品について教えてください。

中川氏:
今回展示しているのは、Perforce Software社製Helix Coreです。もともとはPerforceという製品名で販売していました。オープンソースのGitやSubversionのような、バージョン管理システムです。大規模なデータを扱うゲーム開発会社、たとえばUnreal Engineを使っている会社の場合、そもそもUnreal Engineの開発元であるEpic GamesがエンジンのデータをHelix Coreで管理しています。それもあって大規模なファイルを高速かつ安定的に扱って効率的に開発する必要があるゲーム業界の皆さんにかなりご利用いただいています。

最近Perforce Software社がさまざまな会社を買収していることもあり、Hansoftというプロジェクト管理ツールも取り扱いを開始して展示しています。このツールはいわゆる作業工程を分解して、「いつからいつまでに何をする」といったことを管理するツールです。MicrosoftにおけるMicrosoft Projectと同じようなスケジュール管理を基本とするツールですが、ゲーム業界の方に好んで使ってもらえるインターフェースと機能を提供しています。私たちが取り扱いを開始する前から、日本でもCEDECでユーザー事例が発表されていました。

これらのほかに、Helix Swarmという、Helix Coreを使っているユーザー様なら無償で使えるコードレビュー支援ツールも展示しています。GitHubとコンセプトが似ていて、Helix CoreとHelix Swarmの組み合わせでプルリクエストのフローを実現できます。Helix Coreにソースコードを登録する前にレビュープロセスを通過させたいというお客様からのリクエストから開発されたもので、レビュー依頼を兼ねてコミットしたいものを登録して、ダメなら拒否するというワークフローを組めます。さらにCIツールを自動で呼び出し、そもそもCIのところでアウトならチェックインしないといった流れも作れるツールになっています。

───Helix Coreを進化させつつ、ほかの側面からもサポートツールを提供しそれらをメインに展示しているということですか。

中川氏:
そうです。もともとはHelix Coreがメインでした。Helix Swarmは無償で提供しているといっても、後付けになっているため、お客様が十分活用できていない面もあります。せっかくHelix Coreをお使いなら、こちらも使っていただきたいです。逆に「レビューをしっかりしたい」という切り口から入るお客様もいらっしゃいますので、ゲーム業界で知られているHelix CoreとHansoftとともにHelix Swarmを展示しています。

───貴社が扱っているCheckmarx CxSASTはどういったものになるのでしょうか。アプリケーションの改ざんを防ぐプロテクト用のツールという認識で合っていますでしょうか。

中川氏:
Checkmarx CxSASTはプログラムのソースコードの中身をチェックします。ユーザーから入力を受け付けたときに、ソースコードの中で何も検証せずにデータベースにデータを書き込んでしまいますと、脆弱性につながってしまいます。SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングといった脆弱性が依然として多く報告されているのですが、これらの脆弱性がプログラムに残っていないかチェックします。

───暗号化ではなくレビューということですね。

中川氏:
Checkmarx CxSASTはソースコードレベルといいますか、インターフェースの部分から悪意のある入力が投入されて、最終的に脆弱性が発露する状態になっていないかチェックするものです。

───未然防止のための解析ということですね。

中川氏:
そうです。ゲーム業界で、ここまで踏み込んで実施しているところはまだ多くないかもしれません。しかし、そもそものプログラムが脆弱に作られていると、それはそれでまずいですよね。普段からセキュリティガードがしっかりかかったプログラムを書いていこうということです。

またCheckmarx CxSASTは、脆弱性の検出結果をカテゴリ分けして表示するので、脆弱性の高いところから優先的に直していただけるようになっています。直し方のパターンなど、統計をとることまでは現状できていません。その代わりに、教育用コンテンツを準備しています。パワーポイントのアニメーションみたいな感じで、ビフォーアフターを示しながら、脆弱性を作り込みにくいプログラムの書き方を勉強できるサービスを提供しています。 セキュリティに関するスキルが高い人は少ないので、スキルに依らず脆弱性を直せるようにメーカーとしても考えています。今後のロードマップの中で、AIによる傾向分析などの機能も入ってくると思います。 

───東陽テクニカさんの扱うサービスの共通点を敢えて言うとすればなんでしょうか。

中川氏:
品質、生産性、そして新しい軸としてセキュリティ。この三つが一番大きな共通点になっています。最近は複数のツールをつないでいかないといけないので、ツール間の垣根をなくし、コラボレーションしていく必要があります。一番大事なのはCI環境といいますか、DevOpsなど、開発サイクルを効率よく回して、お客様がリリースしたもののフィードバックを顧客からすぐに得て改善版を出していくというプロセスにどうやって乗せていくかをメインテーマにしています。

───効率化のための整理ということですね。

中川氏:
ゲーム業界でも、不具合があると課金額に影響しますから、品質と生産性の両立がビジネス上非常にクリティカルになってきています。不具合を見つけて直すまでの時間をどうやって短縮するかという課題があります。Helix Coreでは、メーカー自身が必ずリリースするたび、パフォーマンスを改善していくコンセプトで開発しています。もちろんバグなどを改修しながら、お客様にストレスなく使っていただくための工夫をしています。私たちもまた、実際の環境の中で効率的に動作する製品かどうかという点に重きをおきながら、良い海外製品を見つけて販売しています。

───なるほど、東陽テクニカさんのテーマ性が分かってきました。いろいろ扱っていらっしゃるのですね。

中川氏:
東陽テクニカは自動車や海洋、ライフサイエンスなどさまざまな領域の製品やサービスをいろいろ扱っていて、私たちの部署以外だと毛色が全く違うことをやっていたりします。

───たとえばゲーム開発や、ゲームに関わる事業をされていたりしますか。

中川氏:
ゲーム開発はしていません。情報通信系部門のインフラ周りに強いチームが、ゲーム業界のインフラを支える企業に対して、インフラの通信品質、ネットワークスピードの遅延、そもそもアタックをかけられているかなどをケアするソフトやハードを扱っています。

───品質というところが一番大事なのですね。

中川氏:
私たちの部署は品質と生産性、セキュリティを主軸としています。ゲーム業界以外では自動車業界向けの支援をしています。カーナビやECU(電子制御装置)ですね。ゲーム業界で求められるセキュリティとは異なりますが、コーディングガイドラインのチェックなどを行うツールを販売しています。

───コードの脆弱性やプロセスの最適化はどこの業界も課題ですよね。

中川氏:
例えばプロジェクト管理ツールは、有償のツールを使っていただけるかはともかく、どこの業界でも使われています。

オープンソースのソフトウェアがある中、有償である理由をどう説明していくかが難しいのですが、 お客様が何に困っていて、それに対応できるソリューションかどうかなど、いろいろお話させていただきながら適切なものをご提案できるよう活動しています。

───とても勉強になりました。本日はお時間いただきありがとうございました。

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