「INDIE STREAM」レポート [2] – 楢村vs東江 対談 & インディーゲームハブサイト“INDIE STREAM”発表

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本イベントの発起人であり日本インディーゲームシーンの先頭をゆく NIGORO 楢村氏と Nyamyam 東江氏がまず壇上に立ちました。混沌としていた会場のエネルギーが両名に注がれます。


 

東江氏:
まずインディーとは何なのかについて。まあ、この会場にいらっしゃっている方はだいたい分かっていることでしょうが……インディペンデントの略です。つまり、「独立した」「自由な」ということになります。

僕たちってすごく孤独だと思うんですよ。

 

楢村氏:
孤独だと思って作業してると夕方になって子供が帰ってきて邪魔されたりとかね(笑) 孤独になりたいようななりたくないような。

 

東江氏:
本当にそうです。

僕たちは偶然に台湾で一緒に仕事をする機会があり、それを契機に情報交換するようになりました。それはお互いとても実りのあることでした。

 

楢村氏:
そう。講演で2人とも台湾に呼ばれまして。観光を3日間一緒にしたくらいで急に仲良くなってしまって。それで情報交換を始めるようになりました。

 

東江氏:
楢村さんがアヒルの舌を食べてるのを見て、「ああこの人は信用できるな」と思いましたね。

 

楢村氏:
(笑) ゲテモノを食ったことで東江さんは僕を信用してくれるようになったわけです。

 

東江氏:
その通りです。で、こういう繋がりを世界中のインディーと持てないか、と考えて今回の発起に至りました。じゃあ実際にどうするのか、というのが今回の本当の趣旨であり、「INDIE STREAM」なのです。

「INDIE STREAM」を一口に説明するならば、インディー向けオンラインコミュニティースペースです。たとえばインディーのコミュニティースペースにBBSがあって情報交換があれば、どのようなことができるでしょうか?

 

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楢村氏:
たとえば僕であれば、Valve の Steam で発売するために Greenlight の審査を通過する必要があったのですが、それにえらく苦労しまして。もし同じく苦労している人がいるのであれば、どういうところを気をつければいいのかと いった知識・失敗談の提供ができますね。

(注: 代表作『LA-MULANA』を Steam で配信しようとした際、そのクオリティと実績にもかかわらず Valve はまともに取り合ってくれず、Greenlight 送りになってしまった経緯がある。結果は当然というべきか集票に成功し Greenlit。数ある Greenlight 作品の中でも異質な存在となった。)

 

東江氏:
他にも Kickstarterってどうよ?とか、やり方次第でどうにかなる部分について色々知りたいことがあるわけです。そういった点について、密に・本音で語れる場所を創りたいと考えています。

他にも、たとえばここにいるインディー開発者全員に一気にメールを送れるとしたらどうでしょうか。おそらく、自分の作品をローカライズしたいと考えている 方はいっぱいいるでしょう。そこで、世界中に情報発信をすることでローカライゼーションの仕事を信頼して任せられる人を見つけることができるかもしれませ ん。ネットワークがあれば色んなことが簡単にできるようになるのです。

 

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楢村氏:
実際、我々が『LA-MULANA』をリリースしたときも「イタリア語は俺に任せろ!」と名乗りでてくれたファンがいたのです。そういうふうに繋がりあえば、「あの言語はあそこに頼めば手配できる」という具合になるでしょう。

 

東江氏:
今日これだけ多くの方に集まってくださったわけですから、インディー開発者に限定したコミュニティスペースにしたいわけではありません。ライターの方やイ ンディーを応援してくれる企業様にもぜひ参加していただきたいと考えています。掲示板の情報やメールアドレスなどをプレスの皆さんとシェアすることも視野 に入れています。そうすればもっと密な関係ができあがって、様々なことがスムーズに運ぶでしょう。

やっぱり、インディーなので。いろんなドラマが生まれます。山登りに例えるならば、崖から落ちるようなことが本当に起こってしまうんです。この熱い ドラマを伝えてもらえないでしょうか。インディーは個人でやっているものですから、作家性がものすごく濃く出ます。そこから生まれるドラマをぜひ伝えてい ただきたいのです。

プレスの皆さん・ライターの皆さんにぜひとも参加していただきたいのですが、それについて僕らのほうでもできることがあります。それが、プレスキットの アーカイブです。作品の詳細やコンタクトのインフォメーション等など、すべてを1つにまとめてプレスキットとして形作ります。今からどんどん繋がっていく であろうインディー開発者が発信する情報をすべて1か所にまとめようということです。

忙しいとき・すぐにでも記事が書きたいとき、INDIE STREAM に来ていただければ素材はすべてある、そうした形を目指しています。

 

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楢村氏:
我々主催だけがインディーゲームの情報を提供するのではなくて、参加してくれたインディー関係者がネット上にアップロードする場所があって、自分たちの紹 介は自分たちで用意して、アートワークも自分で用意しておく。それをメディアの方々は活用する。そうすることで情報の発信が一気に進みます。ライターの皆 さんも情報を探してまわるよりも、INDIE STREAM を見れば有力なインディーの情報をつかむことができるのです。

 

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東江氏:
インディーといえば INDIE STREAM、という風に覚えていただければ一番わかりやすいと思います。こうして素材を用意することで、今までとはまったく違った、ドラマや真意の込められた新しい記事を書いていただけると考えています。

ここで少し告知です。この運営を手伝っていただける「インディーライター」を募集しています。「俺はとにかく自分の記事を書きたいんだ!」という熱い魂を持った方、ぜひ我々にご連絡ください。よろしくお願いします。

今後のビジョンについて―ここがすごく重要なのですが―、今までインディータイトルが発売告知をしたとき、局所的な規模で終わってしまっていました。一方ネットワークを活かした場合、世界各地を対象とすることができるでしょう。

 

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楢村氏:
極端な話ですけれど、Greenlight で票が集まらないと思ったら助けを呼んで、他のインディーファンを押し寄せるきっかけを作ることができるかもしれません。

 

東江氏:
そうです。使い方は多岐にわたるでしょう。また、ネットワークを使えるのはインディーに限りません。我々インディーを助けてくださっている企業様のアナウ ンスメント・告知用のスペースも設けます。さらには、事故ってしまった案件をインディー同士でシェアするといったことも含めた、自由なコミュニティを目指 していきます。

独立して自由な存在でいるために必要なことがあります。いつも楢村さんがおっしゃっていることです。

 

楢村氏:
メディアの方がいらっしゃっているのにこういうことを言うのもなんですが、インディーとして僕らがやっていったとしても、「ファミ通インディーズ」は何年 経っても現れないと思うんです(会場笑)。何がどう盛り上がっても、たぶん成り立ちませんから。待っているくらいだったら、もう自分たちで動いてしまおう というのが趣旨です。

だから、参加してくださってインディーの方に「こうやって活動してください」なんてルールを強制するつもりはありません。好き勝手に、走ったもの勝ちにできればと考えています。

 

東江氏:
結局「インディーとは何か?」という問は、「創造の自由を追いかけている者」だと思うのです。そのようにできる体制を作るために少しでもお手伝いをするために、オンラインコミュニティスペース INDIE STREAM を発表したのです。

今すでに INDIE STREAM は登録できるようになっています。各ライター・メディア、ミドルウェア、開発会社、パブリッシャーの皆さん、そしてもちろんインディー開発者のみなさん、ぜひ登録をお願いします。

それから、このウェブサイトはすでにコメントを受け付けています。今日のイベントのコメントも自由に書いていただければありがたいですね。

 

楢村氏:
こんなパーティーをひらいてしまっていますが、”これから始めます”という段階です。とりあえずメールを登録していただければ、始動したときにこちらから ご案内を差し上げます。ですから、フォーラムを使って「今回のTGSどうだった?」とか、「このイベントどうだった?」とか、コメントをいただければ嬉し いです。

 

東江氏:
最後に、INDIE STREAM をここまで大きくしていただいたパートナーである PLAYISM 様をご紹介したいと思います。―の前に、楢村さんが何やらポケットから取り出されているようですが?

 

楢村氏:
(Vitaを取り出す) ポケットに入っていた PS Vita ですね……。 (会場から「わざとらしい!」の声)

 

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東江氏:
なんですかそれ(わざとらしい声)。

 

楢村氏:
えーとね。動かねえ(笑) エラー画面が出てしまいましたが、『LA-MULANA』を PS Vita でリリースするための活動を始めました。(会場歓声) 僕たちが単独で動いていたらこれは実現しなかったでしょう。今回の INDIE STREAM の成果の1つだと受け取ってください。横に繋がっていって、PLAYISM 様に応援してもらって、ソニー様を紹介していただくという。

(注: 後ほど無事に動作しているようでした)

 

東江氏:
僕の方からも横繋がりの成果の例をお伝えします。『TENGAMI』のPCバージョンを PLAYISM で独占先行販売することになりました。よろしくお願いします。

以上、ありがとうございました。


 

PLAYISM プレゼンテーションへ続きます。

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