「Steam Nextフェス向け体験版」は“1か月以上前から公開しておく”と集客効果が約2倍になるとの調査報告。サプライズより、じわじわ加熱
ゲーム市場コンサルタントのChris Zukowski氏の分析によれば、「Steam Nextフェス」で体験版をリリースする際には、数か月前から公開しておく方がエンゲージメント率が良いのだという。

ブログ「How To Market A Game」を運営するゲーム市場コンサルタントのChris Zukowski氏は4月13日、「Steam Nextフェス」についての分析記事を公開。同氏によると、「Steam Nextフェス」に体験版をリリースする際には、その直前ではなく、数か月前から配信する方がより注目を集める傾向にあるという。
Steam Nextフェスは、今後発売される新作の体験版が一斉配信される恒例のイベントだ。一年の間に数回開催され、直近では2月24日から3月3日午前3時にかけて「2026年2月エディション」が開催された。同フェスでは、『Marathon』や『Burglin’ Gnomes』、『Windrose』などが体験版を配信し、大きく人気を博した(関連記事)。Steam Nextフェスで注目された作品は数千件から数万件のウィッシュリスト登録が得られるとされており、特にあまり宣伝に予算や労力を投じられないインディーゲームにとっては貴重な露出の機会とされる。

ゲーム市場コンサルタントのChris Zukowski氏は4月13日、この「Steam Nextフェス」について、複数年の調査に基づく分析記事を公開。そのデータによれば、2024年10月度に開催されたSteam Nextフェスでは、ウィッシュリスト登録件数が全体として落ち込みを見せた。これはValveがアルゴリズムを変更したことで、注目度の低いゲームもより頻繁に表示される機会が増えたためだという。このアルゴリズムの変更により、ウィッシュリスト登録数が上位のゲームを中心として、全体的に登録件数が減少したそうだ。

現在はそこからさらにアルゴリズムの調整が加えられ、落ち込みからは回復したとのこと。全体としては緩やかな増加/横ばい傾向にあるようだ。こうした横ばい傾向のウィッシュリスト登録件数の推移に対し、登録件数を伸ばすための対応策としてか、開発者のあいだで新たな“メタ”がにわかに流行り始めているという。それはNextフェス直前の数日前まで体験版を公開せず、期待感や口コミなどを煽り、サプライズで公開するという手法だ。その理論によれば、イベント付近で追加されたウィッシュリスト登録は「新鮮」で、Steamのアルゴリズムにより合致し、結果として露出が増加するとされている。
ところが、一部の開発者のあいだで見られるというこのトレンドに対して、Zukowski氏は異を唱えている。というのも、同氏が集計したデータによれば、Nextフェス直前(1か月前)に体験版を公開するより、1か月以上前に体験版を公開したゲームの方が、フェス期間中のプレイヤー数が中央値において2倍以上多かった。ウィッシュリスト登録数の中央値も、2倍近くの差があるという。
さらに、Nextフェス中に1万5000件以上のウィッシュリスト登録件数を獲得した人気作10ゲームのうち、5タイトルは数か月前よりすでに体験版を公開していた。さらに1か月前には公開していた作品も4タイトルとなっており、フェスの直前にサプライズで公開したゲームはひとつだけだったという。大きな注目を集めている作品でも、Zukowski氏が提唱する作戦と同様の方策を取っているようだ。

Zukowski氏は調査報告の締めくくりとして、「よほどの幸運と勝算がない限りは、フェス直前の体験版公開はリスクが高すぎる」と述べている。また、“新戦略”があるとしてSteamのアルゴリズムの変化への適応を呼びかけるのは、開発者の関心を惹くために恐怖を煽っているだけと論じた。同氏は、“メタ”は変わっておらず、最良の戦略は今でもNextフェスの数か月前から体験版を準備しておくことだと、冷静な対応を呼びかけた。
今回は体験版の公開タイミングについて、データに基づいた公開戦略が提案されたかたち。話題性という観点ではNextフェス直前に体験版を公開した方が良さそうにも思えるものの、実態はそれと反しているというデータが示されたことは興味深い。昨今はNextフェスで多くのプレイヤーを集めたことで、さらに人気を爆発的に高めるタイトルも散見される。体験版の重要性の高まりにともない、公開方法もさまざまな方法論が考案されているのだろう。そうしたなかでデータに基づくZukowski氏の今回の調査報告は貴重な知見といえそうだ。
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