凶暴なモンスターを操作してヴァイキングを狩るアクションRPG『Project Wight』のトレイラーが公開

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スウェーデンのインディーデベロッパーであるThe Outsidersは、Unity Technologiesが開催したカンファレンス「Unite ’16 」にて、『Project Wight』のトレイラー動画を発表した。本作は人間ではなくモンスターを操作する一人称視点のアクションRPG。まだ開発は初期段階であり、『Project Wight』は正式なタイトル名ではなく、また発売予定日および対象プラットフォームについても未定となっている。

RPGというと、人間や空想上の種族の人型キャラクターを操作してモンスターを狩るタイトルが多いが、本作では狩られる側であるモンスターの視点から世界を見渡すことになる。時代背景はヴァイキングたちの全盛期であった中世ヨーロッパの暗黒時代。プレイヤーが操作するのは人間たちの手により絶滅の危機へと追いやられている古代生物だ。プレイヤーは知性をもったクリーチャーとなり、自らの命を守るべく人間たちと戦っていく。

トレイラー動画によると、プレイヤーは幼少期のクリーチャーと成長して大人になったクリーチャーの両方を操作できるようだ。幼少期のクリーチャーは貧弱であり、人間につかまれば簡単に命を奪われてしまう。そのため、人間たちが追ってこれない狭い空間に潜りこんだり、跳躍力を活かしたジャンプをつかって人間たちから逃げることになる。対する大人のクリーチャーは人間を圧倒する力を持っている。四足歩行によりクマのような猛スピードで人間を襲い、ひとひねりで首の骨を折っていく。高所から飛び降り、ムササビのように滑降することもできる。大音量の叫び声は人間たちの耳に衝撃を与え、その場に硬直させる。一般的なRPGに見られる剣や魔法ではなく、獣の腕力を操るゲームプレイには新鮮味がありそうだ。

本作のコンセプトアート
本作のコンセプトアート

デベロッパーのThe Outsidersは本作の開発にあたり、モンスター映画、シュールレアリズムの詩、ヘビーメタルのアルバムカバーなど、さまざまな作品からインスピレーションを受けたという。その中でもThe Outsidersの共同設立者の一人であるDavid Goldfarb氏が読んだ小説「Grendel」が一番の原点になっている。「Grendel」は英文学最古の伝承のひとつである「ベオウルフ」という叙事詩を題材にしたファンタジー小説。原典の「ベオウルフ」では人間の主人公ベオウルフの視点から物語が語られるが、「Grendel」はベオウルフと敵対していた巨人のグレンデルの視点から「ベオウルフ」の物語を語り直したアンチヒーロー物となっている。The Outsidersによると、人々から恐れられていたグレンデルのような「社会の異分子」や「アウトロー」の物語こそが、もっとも人々の心を惹きつけるとのこと。『Project Wight』もそうした観点から開発をはじめた作品であり、「はぐれ者たち」というスタジオ名をつけたThe Outsidersらしい作風といえるだろう。

The OutsidersのDavid Goldfarb氏は、Overkill Softwareにて『PAYDAY 2』のディレクターをつとめていたが、2014年に退社。Overkill Softwareを辞めた理由のひとつとして、『PAYDAY 2』がマイクロトランザクションの導入に踏み切ったことを挙げている。Goldfarb氏は同作のディレクターではあったが、マイクロトランザクションの導入に関する決定権はなかったという。大規模なタイトルではクリエイティブ面で十分な自由を得られないと感じたGoldfarb氏は、小規模で野心的な作品づくりを可能にするため、The Outsidersを立ち上げたのだ。

そんなGoldfarb氏の意向により、自由と小回りのきく開発環境を保つため、The Outsidersを25人以上のチームにはしないと決めている。小さなチームではあるが、『Project Wight』ではUnityエンジンを導入し、アセットストアを有効活用することでスムーズな開発を実現できているという。まだまだ本作は開発段階だが、「人間ではなくモンスターを操作するRPG」というユニークなアイデアには期待が持てそうだ。

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