スクエニが約221億円廃棄損出したゲーム開発方針見直し、「2027年3月期以降に発表予定のタイトル」がほとんどとのこと

スクウェア・エニックス・ホールディングスは5月13日、コンテンツ制作勘定として388億円の評価損・特別損失が計上されたことを発表。ただし減損の対象コンテンツは新中期経営計画期間のパイプラインに与える影響は“僅少”だという。

スクウェア・エニックス・ホールディングスは5月13日、2024年3月期の連結決算を発表。この中で2025年3月期から2027年3月期にかけての新中期経営計画を策定したことを明らかにした。同計画ではコンテンツ制作勘定として388億円の評価損・特別損失が計上されたことも発表。ただし減損の対象コンテンツは2027年3月期以降に発表予定のタイトルが多くを占め、本中期経営計画期間のパイプラインに与える影響は“僅少”だという。

スクウェア・エニックスの前中期経営計画においては、海外スタジオや一部IPの売却を含む、HDゲーム・スマートデバイス・PCブラウザなどのポートフォリオの再構築に着手したほか、MMO事業拡大による収益基盤強化などを実施。その結果、HD開発の収益性改善や、会社全体としてのタイトルポートフォリオ管理が不十分などの課題が見えてきたという。新たな中期経営計画では“さらなる成長に向けた再起動の3年間”と題されており、さまざまな戦略や開発体制の変化について説明されている(関連記事)。


そしてこのなかでは、新中期経営計画における「中長期ポートフォリオの考え方」に基づき、コンテンツ制作勘定の精査が実施されたことも明かされた。中長期ポートフォリオの考え方においては「確かな面白さ」を届ける「量から質」への転換という考えのもと、大・中規模のHDタイトルは安定した「面白さ」をベースにファン層の維持・拡大を目指すとされている。また新規IPタイトルは新たなファン層開拓に向け、新規性・独創性のある「面白さ」を重要視することなどが挙げられた。豊富なライブラリーIPの活用による、カタログタイトルラインナップ強化にも挑戦していくという。

この考えに基づきコンテンツ制作勘定が精査されたといい、388億円の評価損・特別損失が2024年3月期に計上された。当初873億円とされていたコンテンツ制作勘定は、485億円として計上されている。つまり、予算の縮小やプロジェクト中止によりコンテンツ制作勘定が減損された格好だ。評価損等は営業損失に、廃棄損は特別損失として計上されているとのこと。


なおスクウェア・エニックスは今年4月末に「特別損失の計上に関するお知らせ」を発表。2024年3月期にコンテンツ制作勘定の廃棄損として、約221億円の特別損失を計上することを伝えていた。この廃棄損については、3月27日の取締役会にて決議されたHDゲームタイトルの開発方針見直しを受け、同社グループが開発中であったパイプラインを精査した結果であると説明されていた。

同社では大型オンラインゲームやスマホ向けゲームと区別するかたちで、コンソール向けタイトルはHD(ハイ・デフィニション)ゲームという呼称が用いられてきた。HDゲームの開発方針見直しによって約221億円規模の減損が発生したとの発表を受けて、『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』といった発表済みのプロジェクトが開発中止になったのではないか、との懸念も寄せられていた。

そして今回の新中期経営計画では、かねてより明かされていた約221億円の特別損失を含め、388億円の評価損・特別損失が計上されることが明かされた格好だ。ただし今回の新中期経営計画では、減損の対象コンテンツは2027年3月期以降に発表予定のタイトルが多くを占め、本中期経営計画期間のパイプラインに与える影響は“僅少”とされている。つまり少なくとも大きな影響には繋がらない見込みなのだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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