特定のゲーム開発界隈で「ウィンドウサイズを極小にしてもゲームを動作させる」システムがほんのり流行の兆し。人の目盗んでこっそりプレイできる配慮


『古銭プッシャーフレンズ』シリーズの開発で知られるSTP WORKSは、X(Twitter)にて、開発者のある出来事がきっかけで導入されたゲームの機能についての豆知識を投稿。その豆知識によれば、STP WORKSのゲームは、ウィンドウサイズが極小でもゲームが動作するように設計されているようだ。

STP WORKSは、低価格でマルチプレイできるゲームの開発を掲げる、ヨシムネ氏とダンおじ氏による二人組の国内ゲームデベロッパーだ。代表作として『古銭プッシャーフレンズ』をはじめとしたゲームセンターの筐体ゲームから着想を得た「プッシャーフレンズ」シリーズをリリースしている。今月12日には最新作である『フライドポテトプッシャーフレンズ』をリリース予定だ。

そんな安価でユニークなゲームが楽しめるSTP WORKSだが、公式XにてSTP WORKS製ゲームの豆知識が投稿。その投稿によると、STP WORKSのゲームでは、ウィンドウモードにするとウィンドウのサイズを手動で動かすことができ、どのサイズでもゲームが動作するように設計されているようなのだ。


試しに筆者の環境で本作を起動し、ウィンドウモードにしたところサイズを自由に変更、動作することが確認できた。サイズの大きさも、縦・横長サイズや、数センチ大の極小サイズにも可能で、どのサイズでもエラーが起こることなく動作可能であった。


この仕様は開発者が仕事中にブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』(以下、艦これ)をどうしても遊びたくて、ウィンドウを小さくして遊んでいたときのことを思い出して実装したという。『艦これ』と言えば、ゲーム自体の操作はあまり必要としないものの、艦隊の建造や演習などなにかと時間を要する作品。仕事中の合間合間に操作さえすればゲームが進行するため、できるだけ誰の目にも晒されないようこっそりゲームを進めるための秘策だったのだろう。

STP WORKS手がける「プッシャーフレンズ」シリーズも、古銭の射出やクレーンの操縦など、自動でゲーム内の操作をしてくれる設定が内蔵されており、放置しながらも遊べる作品。作業中でもゲームを進行できるような配慮として、ウィンドウの移動ができるようになったかたちだろう。

なお、本作以外にもウィンドウサイズを小さくして、作業中に遊べるような作品もいくつか存在する。昨年12月に正式リリースされた『まぼろしキャラバン』もそのタイトルのひとつ。砂漠を歩き回るキャラバン隊を見守る放置系ゲームである『まぼろしキャラバン』だが、横長サイズにしてゲームの進行が可能。作業の傍らでキャラバン隊の移動を見守ることができる。


ほかにも、2024年第1四半期にリリースを予定している放置農業ゲーム『Rusty’s Retirement』では、デスクトップの下半分を使って作業の傍らに楽しめることをウリにするゲームも存在(参考記事)。ゲームを直接操作していなくても進行するタイプのゲームが増えており、ウィンドウサイズへの配慮につながっているのかもしれない。しかし、STP WORKSの作品のように縦・横、自由にウィンドウサイズを動かせるうえ、問題なくゲームが動作するケースは珍しい。人がいる環境でこっそりゲームを進めていたそれぞれの開発者の経験が反映されたアイデアだと言えよう。

そんなSTP WORKSのゲームだが、極小サイズのウィンドウで遊んでいるとゲーム画面があまりよく見えないのが難点。操作に関しては、『古銭プッシャーフレンズ』では、基本動作が移動と発射のみなので、プレイするにはあまり困らない。しかし、本作にはジャックポットやイベントなどもあるため、ゲームを最大限楽しむという面では不向きだろう。また、このサイズでスクリーンショットを撮影すると、かなり画面がぼやけてほとんど何も見えないという難点もあった。ウィンドウサイズを変更するにしても、しっかりとゲームが楽しめる範囲で大きさを調整したほうがよさそうだ。

*極小サイズプレイ時のスクリーンショット(拡大版)


また、『古銭プッシャーフレンズ』などお手軽に遊ぶつもりがついつい遊んでしまう中毒性がある作品が多いのも、STP WORKSのゲームの特徴。バレないように極小サイズにしたからといって、時間を忘れて夢中にならないように注意は必要だろう。そもそも、仕事時間はしっかりと業務に集中していただきたい。あるいは、今後もこうしたウィンドウサイズ極小でも動作するゲームが増えていくか注目したいところだ。

STP WORKSの最新作『フライドポテトプッシャーフレンズ』は、PC(Steam)向けに2024年1月12日発売予定となっている。こちらもウィンドウサイズが変更できるか期待したいところだ。