『ストリートファイター6』盲目のプレイヤーが現行最高ランク「マスター」に到達。困難を乗り越え辿りついた高み

『ストリートファイター6』において、あるプレイヤーが本作における最高位のランクである「マスター」に到達した。そのプレイヤーはなんと全盲のゲーマーであった。

ストリートファイター6』において、あるプレイヤーが日本時間9月26日、エドモンド本田を操作し、本作における最高位のランクである「マスター」に到達した。そのプレイヤーはなんと全盲のゲーマーであった。


『ストリートファイター6』は、カプコンより発売されている対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの最新作だ。本作は、コマンドを入力して操作する従来のモードであるクラシックタイプに加え、簡易的な入力で必殺技を使用できるモダンタイプというモードを採用している。そしてほかにも『ストリートファイター6』には「サウンドアクセシビリティ」という機能が実装されている

ゲームをプレイするには基本的に画面の情報が欠かせない。しかし視覚に障がいを持つ人は画面からの情報を得ることができない。そういった人も同じようにゲームをプレイできるような機能が本作の「サウンドアクセシビリティ」となる。相手との距離に応じて音が変化したり、上中下段のそれぞれの攻撃がヒットしたことがわかる音が鳴ったりするなど、音を聞くだけで試合の状況が把握できるようになるわけだ。同機能は、実際に複数名の全盲プレイヤーも協力し開発されたという(関連記事)。

今回その機能を用いてマスターランクに到達したのはオランダ在住のプレイヤー、BlindWarriorSvenことSven Van de Wege氏だ。Sven氏は幼少よりゲームで遊んでいたが、小児がんの影響で6歳の時点で視力を失っていた。しかしそれでも音を頼りにゲームを遊ぶ能力を鍛え、『ストリートファイター』シリーズなどの格闘ゲームのほか、さまざまなゲームを遊びつづけたという(Red Bull)。

Sven氏は今回の以前にも、「盲目の戦士(Blind Warrior)」として注目を浴びていた。格闘ゲームの大規模大会「EVO 2023」でエドモンド本田を使い1勝した場面が配信されており、話題になっていたのだ。アメリカ・ラスベガスにて現地時間2023年8月4日から8月6日にかけておこなわれた本大会では、配信席にSven氏が登場。EVO公式Xアカウントにて、Sven氏が1回戦を突破した瞬間の動画が投稿されている。ハンディキャップをものともしない同氏に、称賛の声が寄せられていた。

そんなSven氏はEVO 2023が終了し帰国してからも、エドモンド本田でランクマッチをおこなう様子を配信し続けていた。EVO 2023開催時ではプラチナだったランクも、8月下旬にはダイヤモンドに昇格していた。

そして日本時間9月26日、Sven氏はいつもの如くTwitchにてランクマッチをプレイする様子を配信。配信開始時点でSven氏のランクポイントは24620。マスターに昇格するには25000ポイントに到達する必要があった。Sven氏は順調にポイントを積み重ね、配信開始から約1時間後、対戦相手のマノンに勝利し、ついにマスターランクに昇格。その瞬間はユーザーによってクリップとして作成されており、「GGs!(グッドゲーム)」と喜びをあらわにしている様子がわかる。Sven氏は自身のX(旧Twitter)アカウントでも “偉業達成”を報告した。

ただ、マスターランクは11月1日より開始予定の「マスターリーグAct2」から最高位ではなくなり、最上位には「レジェンド」ランクが追加される。レジェンドランクにはマスターリーグの上位500名が該当し、Act終了時にレジェンドランクだったプレイヤーは特別な称号を獲得できるとのこと。Sven氏の『ストリートファイター6』における旅はまだ続きそうだ。

今回のSven氏のマスター到達は、『ストリートファイター6』のサウンドアクセシビリティ機能が優れていることを証明したともいえる。しかしなによりもSven氏の努力が実を結んだのだろう。

『ストリートファイター6』はPC(Steam)およびPS4/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。9月27日には、Year1追加キャラクター第2弾となるA.K.I.が配信される予定だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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