『ブルーアーカイブ』韓国ユーザーの署名が、韓国ゲームレーティング機関の不正を暴くきっかけに。約6600万円相当の損害を隠蔽


韓国の監査院は6月29日、韓国のコンピューターゲームの公的倫理審査機関「ゲーム物管理委員会」(GRAC)で不正が確認されたと発表した。現地メディアInsight Koreaが報じている。不正発覚には、『ブルーアーカイブ』ユーザーの“署名”が一役買ったようだ。


GRACは韓国のゲームレーティング機関だ。販売店の裁量などに任せるケースが多い他地域のレーティングとちがい、レーティングを適切に取得しない韓国国内でのゲーム販売や、対象年齢以下への作品の販売には法的罰則が設けられている。

そんなGRACにおいて、今回不祥事が発覚することになった。韓国の監査院によると、GRACは新たに導入を予定していたゲームのレーティングに関わる管理システムについて、実際には作業が完了していなかったにもかかわらず業者に代金を支払うなどして、結果的に6億ウォン以上(約6600万円)の損害を出したという。上記の発表を受け、GRACの本部長を含む上層部の三名は辞任を表明した。

なおGRACは、こうした状況を隠蔽するため虚偽の資料を作成していたとのこと。資料の上では管理システムの開発進捗率が97%とされていたものの、実際には47%だったという。システムが正常に動作しないといった指摘が相次ぎ、疑いの目を向けられたかたちだそうだ。

なおGRACに監査が入ったきっかけは、韓国の国会議員イ・サンホン氏による“署名運動”だったという。そしてこの署名運動には多数の『ブルーアーカイブ』ユーザーが参加していたようだ。これには、2022年10月、韓国版『ブルーアーカイブ』における出来事が関係している。同作はGRACに指摘を受け、対象年齢を18歳以上に引き上げた“オリジナル”バージョンと、対象年齢を据え置いた“表現調整版”の2種類を展開することになった(関連記事)。一方でユーザーは、そうした表現調整の引き金となったGRACの判断に不満をあらわにしていた。


イ・サンホン議員はこの状況に目を付けたようだ。同議員は『ブルーアーカイブ』ユーザーに対して、GRACへ監査を求める署名に参加するよう呼びかけ。すると国会議事堂前に多数のゲーマーたちが集まり、署名をおこなったそうだ。最終的には5489人の署名が集まったという。これを受けた監査院がGRACの調査に入ったところ、不正が発覚したという流れのようだ。調査を率いたイ・サンホン議員は、署名に参加した人々に感謝の意を表明。署名がなければ監査も入らず、不正が表に出ることもなかったと伝えている。

韓国ゲームレーティング機関での新たな管理システムを巡る今回の事件。システム構築作業を完了していない業者に支払いがおこなわれるなど、不可解な点もある。今後の調査の動向も注目されるところだろう。