ゲーム開発向けミドルウェア群「CRIWARE」大型アプデ、Unreal Engineを使ったゲーム開発をさらに効率化

 

CRI・ミドルウェアは6月29日、ゲーム開発向けミドルウェア群「CRIWARE(シーアールアイウェア)」の大型アップデートを実施。Epic Gamesが提供するリアルタイム3D制作ツール「Unreal Engine」を使ったゲーム開発をさらに効率化する「CRIWARE Unreal Engine Plugin V2」の提供を開始した。これにより、CRIWARE・Unreal Engine間のデータの連携がよりスムーズになり、柔軟なゲーム開発のワークフローを構築できるようになるとのこと。

CRIWAREは、ゲーム開発現場などで利用されているミドルウェア群の総称であり、提供ツールとしては、音声サウンドミドルウェアの「CRI ADX」や、映像ミドルウェア「CRI Sofdec」などが存在。一方のUnreal Engineは、さまざまな規模のゲーム開発をはじめ、映像制作や建築、自動車設計、メタバース空間の構築などに利用されているリアルタイム3D制作ツールだ。


CRIは2013年からUnreal Engine向けプラグインを提供開始。そして今回の大型アップデートでは、これまでに得たノウハウとユーザーからのフィードバックを元に、開発現場で重要となる開発効率化を軸とした機能追加・強化をおこなったとのこと。近年のトレンドとして注目を集めるオープンワールドゲームをはじめとした大規模タイトルでは、開発にかかわる人員やゲームに組み込むアセット数が膨大なため、開発者間の連携やアセットの管理効率は非常に重要な要素になっているそうだ。

アップデートによる強化ポイントとしては、以下の4点が挙げられている。

・柔軟なサウンドデザインワークフローの構築
従来はCRI ADXのオーサリングツール「CRI Atom Craft」上でおこなっていたサウンド調整が、Unreal Engineの「Unreal Editor」からもおこなえるようになった。ツールを行き来することなくコントロールできるパラメータが大幅に増えたため、プロジェクトに合ったサウンドデザインのワークフローを構築することができる。

・サウンドアセットの管理をよりシンプル・スピーディに
アセットの管理方法を設計しなおし、従来はサウンドの数だけアセットを生成していたところを、今回のアップデートでは複数のサウンドデータを1つのアセットにまとめ生成するように変更。アセットの統合により管理が容易になるだけではなく、サウンドデータのインポートにかかる時間を1/100 に短縮できる。大規模なプロジェクトでもストレスなくゲーム開発をおこなえるようになる。

・リソース管理の最適化
リアルタイムで変化するゲームの状況に合わせて、必要なときに必要なサウンドデータのみをロードすることが可能に。メモリの使用量を押さえながらリッチなサウンド表現を実現する。

・動画やリップシンクとサウンドとの連携
動画ミドルウェア「CRI Sofdec」やリップシンクミドルウェア「CRI LipSync」のプラグイン機能についても見直しを実施。CRIWAREに含まれるあらゆるミドルウェア機能を活用し、音声と映像のリッチな演出を実現することができる。

大型アップデートが実施されたCRIWAREの詳細については公式サイトを確認してほしい。


またCRI・ミドルウェアは6月28日、立体音響技術についてヤマハと協業することについても発表している。今後、CRIがもつサウンドミドルウェア「CRI ADX」に、ヤマハがもつ仮想立体音響ソリューション「Sound xR」を標準搭載し、ゲームにおける立体音響の普及を目指すとのこと。

「CRI ADX」は、ゲーム開発で要求される多様なサウンド演出を手軽に実現できる統合型のサウンドミドルウェアで、国内シェアNo.1を誇る。一方の「Sound xR」は、インタラクティブかつ高品位な音像定位と音空間のデザインを可能にする仮想立体音響ソリューション。通常のイヤホン/ヘッドホンで、360°あらゆる方向の音を立体的に表現することを可能にする。

CRIによると、映画やVR、アミューズメント機器などエンターテイメント領域を筆頭に、立体音響技術への期待は高まりつつある一方で、ゲームにおいては立体音響に対応していないテレビで遊ぶ場合が多いことや、立体音響を実現するために必要な開発工数が多いことなどから、立体音響技術を取り入れた製品は多くないとのこと。

同社はこれまでも立体音響技術に注目し、スマートフォンやコンシューマーゲーム機など、処理能力の異なるデバイスでも立体音響が体験できるように、サウンドミドルウェア「CRI ADX」の開発をおこなってきたと語る。そして2023年中に「CRI ADX」へ「Sound xR」を標準搭載、およびサービスリリースをおこない、「CRI ADX」を用いることで「Sound xR」の技術も開発に活用できる環境を目指すとした。


なおCRI・ミドルウェアは、ゲーム開発向けツール・ミドルウェアのビジネスイベント「GTMF 2023」に出展予定。会場では「CRIWARE Unreal Engine Plugin V2」についての講演・デモ展示、および「CRI ADX」「Sound xR」のデモ展示がおこなわれる。後者に関してはヤマハもブース出展するとのこと。

GTMF 2023の日程および開催場所は以下のとおりだ。

・6月30日:コングレコンベンションセンター(グランフロント大阪内)
・7月4日:秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATER
*いずれの日程も展示時間は10:45~18:00

GTMF2023の詳しい開催概要および無料の事前参加登録については、公式サイトを確認してほしい。