小島秀夫氏、ネット上の根も葉もない噂を“本人ファクトチェック”。本人も知らないゲーム関与から買収話まで

 

ゲームクリエイターの小島秀夫氏は11月3日、Spotifyにて音声番組「Brain Stracture」第10回を配信した。同番組では、Geoff Keighley氏がゲスト出演。小島氏を取り巻いて度々広まった噂について、両名がその真相について明らかにしている。


「Brain Structure」は、小島氏が贈る音声番組だ。同氏が『メタルギア』シリーズなどの過去作品や映画について語ったり、各界の著名クリエイターらをゲストに招いてのトークを繰り広たりする内容となっている。第10回となる今回は、The Game Awardsの立役者であり、小島氏とも親交の深いGeoff Keighley氏が出演。「小島監督にまつわるネット上の噂の真相とは!?」というテーマにて、両名がネット上に氾濫する噂の数々について振り返った。

まず前提として、小島氏は噂話の対象とされやすいクリエイターだ。その背景には、まず過去に手掛けた作品や本人の人気があるだろう。そして『メタルギアソリッドV』では「架空のスタジオとして新作を発表し、後からネタばらしして正式発表」といった荒業を実行。『DEATH STRANDING』では、同氏のTwitterアカウントにおける何気ない投稿が、新作の内容の伏線となっていたこともあった。一部ファンの間では些細な情報から憶測が広がるような土壌があり、それがメディアに取り上げられるケースもしばしば。小島氏の情報に関しては、とにかく噂が広まりやすい背景がある。

『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』


今回の放送では、そうした噂たちが具体的に例をあげられ、小島氏直々に語られている。たとえば、「Google Stadia独占として『DEATH STRANDING』の新作が開発されていたものの、GoogleのPhill Harrison氏によってキャンセルされた」という噂だ。この噂について、小島氏は「事実無根」ときっぱり否定。そもそもHarrison氏に対して続編を作りたいと語ったことさえなく、どうしてこのような噂となったのか不思議だとしている。

そして、Keighley氏は自身が巻き込まれたケースについても言及。BLUE BOX Game Studiosによる作品『Abandoned』にまつわる噂だ。同作はPS5向けの一人称視点ホラーゲームとして発表。謎多き開発元およびゲーム内容について、憶測が飛び交った。同作については「『サイレントヒル』関連作品ではないか」「小島氏による新作ではないか」との噂が浮上。「Keighley氏がBLUE BOX Game StudiosのTwitterアカウントをフォローしている」「本作開発者のHasan Kahraman氏のイニシャルはH.K.であり、Hideo Kojimaと同じ」といった要素も取り沙汰され、まことしやかに語られる一幕があった(関連記事)。小島氏が、過去に架空スタジオによる新作発表というサプライズを実施していたことも、こうした憶測に拍車をかけたかもしれない。

『Abandoned』


しかし今回の放送にて小島氏は、一連の噂についてきっぱりと否定している。BLUE BOX側からも「小島氏や『サイレントヒル』と『Abandoned』は関係ない」と明確に否定する声明が出ていたため、両サイドから明確に否定されたかたちだ。また、架空スタジオによる新作発表について小島氏は「1回やったんで同じことはしませんよ」とコメント。『Abandoned』がリリースされれば、小島氏が関わっていないことがはっきりするだろうとしている。

また小島氏は、一連のトークのなかで同氏が率いるKojima Productionsの立場についても言及。多くのプラットフォームホルダーと仲良くしているとコメントしつつ、同スタジオはインディースタジオであるとコメントした。また、Kojima Productionsに対して世界中から買収のオファーが来ているとのこと。「猛烈な高額」を提示されていると明かした。しかし、お金が欲しいわけではなく、作りたいものを作るためにスタジオを設立したため、同氏が生きている間はスタジオを売ることはないだろうとしている。

なお、Kojima Productionsは現在、一連のティザービジュアルでファンに謎を投げかけている(関連記事)。『DEATH STRANDING』新作か、はたまた続編か、もしくはゲーム以外のプロジェクトなのか。謎は尽きず、ファンは焦れている。しかし噂はあくまで噂として、踊らされぬように気をつけたい。


貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。