Steamキー転売屋に対し『Frostpunk』開発元が反撃。Valveによる鉄槌も

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パブリッシャー/デベロッパーの11 bit Studiosは9月2日、Steamキュレーターに対するゲームキー送付をやめる意向を表明した。同スタジオはこの理由を、転売を防ぐためと説明している。

Steamキュレーター(以下、キュレーター)とは、ユーザーがSteam内の興味を持ちそうなゲームを見つけられるように、おすすめを教えてくれる個人あるいは団体のこと。Steam上のコミュニティであれば、いずれもキュレーターになることが可能とされている。ユーザーはキュレーターをフォローすることで、Steamホームページとアクティビティフィードにキュレーターからのおすすめが表示されるようになる。

そして、ポーランドのパブリッシャー兼デベロッパーである11 bit Studiosはこのたび、このキュレーターたちに対するゲームキーの送付をやめる意向を表明した。11 bit Studiosは『Frostpunk』『This War of Mine』などを開発したスタジオだ。Dead Mageの手がける『Children of Morta』などのパブリッシングも担当してきた。

『Frostpunk』


声明によると、ゲームキー送付の取りやめは、同スタジオおよびほかのデベロッパーの経験に基づく判断とのこと。同スタジオは、キュレーターからのゲームキーのリクエストのほとんどは、キーを収集して転売する目的の“偽アカウント”から発信されているという見解を示している

また、そもそも同スタジオは、キュレーターにキーを渡してレビューを投稿してもらうこと自体にも懐疑的なようだ。というのも、Steamではゲームの開発側がキュレーターに対して無料キーを提供し、引き換えにレビューを投稿してもらうような場合もある。一方で同スタジオは、そうしたキュレーターが投稿するレビューは、コミュニティにとってもまったく役に立たないだろうと述べている。そうした見解もあり、全キュレーターへのキー送信を一律で停止するとの判断に至ったのだろう。

同スタジオは続くツイートで海外メディアPC Gamerの記事を引用。Steamを運営するValveが、こうした転売目的のキュレーターの存在に注意を向け始めたことについても言及した。同スタジオは、近い将来キュレーター機能への改善が見られることを願っているとのコメントを残している。


PC Gamerによると、Valveが転売目的のキュレーターを認識するに至った背景には、フランスのスタジオCOWCATの「妙策」があったと伝えられている。同スタジオは8月27日、『BROK the InvestiGator 名探偵ブロクと秘密の依頼』をリリース。リリース前にはキュレーターたちから膨大な(tons and tons)ゲームキーのリクエストが送信されてきたそうだ。同スタジオはこれらのキュレーターたちに製品版ではなく、無料デモ版のゲームキーを送付したのだという。

同スタジオの思惑どおり、誠実なキュレーターはすぐさまゲームキーを引換え、異変に気づいて連絡してきたそうだ。そのあと彼らには製品版のキーを改めて送付したとのこと。一方で、転売目的のキュレーターは、このデモ版のキーを製品版として客に売りつけてしまったようだ。そうしたキュレーターたちは、客からのクレーム対応に追われたことだろう。転売目的のキュレーターに一泡ふかせるという、同スタジオの妙策は見事成功したわけだ。

『BROK the InvestiGator 名探偵ブロクと秘密の依頼』


しかし、話はここで終わらない。これを受けて転売目的であったと見られるキュレーターが、同スタジオに対する報復を実行したのである。報復の内容は『BROK the InvestiGator 名探偵ブロクと秘密の依頼』に対して、否定的なキュレーターレビューを投稿するというものであったそうだ。ユーザーに否定的なレビューを見せて、本作の売上を落とそうという魂胆だろう。しかしながら、こうしたあからさまな動きにより、この一件は海外掲示板Redditなどでも注目を集めることになった。ユーザーたちの調査によれば、本作に否定的な意見を投稿した9人のキュレーターたちには、管理者や作成日、フォロワー数などがほぼ同じなど、怪しい共通点が多く見られたそうだ。

騒ぎを受けて否定的な意見を撤回したキュレーターも存在したそうだが、時すでに遅し。COWCATは疑わしいキュレーターをValveに通報しており、後日それらのキュレーターアカウントは削除されたとのこと。COWCATの妙策により怪しいキュレーターの存在が炙り出され、Valveによる鉄槌が下されたわけだ。

『BROK the InvestiGator 名探偵ブロクと秘密の依頼』


キー転売目的の一部悪質キュレーターの存在は、これまでデベロッパー/パブリッシャーたちを苦しめてきた問題だ(関連記事)。今回断罪されたキュレーターも、氷山の一角にすぎないと思われる。本来キュレーターへのキー送付は、キュレーターレビューによって作品をユーザーに知らしめる手段となりうる。誠実なレビューを期待して無料で送付したキーが格安で転売されることは、デベロッパー/パブリッシャーたちにとって、はらわたが煮えくり返る思いであっただろう。今回11 bit Studiosがキュレーターにゲームキーを送付しないという決定に至ったのも、そうした背景があると考えられる。

数多く存在すると見られる悪質なキュレーターに対し、Valveがこれから何らかの対策を見せることはあるのだろうか。今後の動向を注視したい。

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