『スマブラSP』にて“スティーブ”があまりに強すぎて物議醸す。歴戦のプロたちを軽くひねるその圧倒的強さ

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大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のプロシーンにて、スティーブ/アレックス(以下、スティーブ)が圧倒的強さを見せる一幕があったようだ。あまりの強さから、スティーブをめぐる賛否両論が巻き起こっているようだ。

Super Smash Con 2022での激戦

きっかけとなったのは、アメリカで開催された大規模ファンイベント「Super Smash Con 2022」。同イベントは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、スマブラ)シリーズの大規模オフラインイベントだ。ファン主催ながら、会場イベントやアクティビティ、コンサートなど多岐にわたるイベントが実施されていた。その中では『スマブラ』作品のトーナメントも存在。特に注目を集めていたのが、『スマブラSP』のシングル部門。日本時間8月14日より優勝者を決めるべく決勝戦が繰り広げられていた。

同大会には、MkLeo選手にRiddles選手など『スマブラSP』大会上位勢が数多く参加。そうした上位勢が優勝を勝ち取ると思われた。しかしながら、ダークホースが潜んでいた。アメリカ・ミシガン州出身の新星Onin選手だ。2021年から本格的に大会などに出場しだした、弱冠16歳のプレイヤーだ。Onin選手はまだ大会の実績は浅いながらも、上位勢たちを捲りまくったのである。そして、Onin選手の使用キャラがスティーブだったことで、物議を醸しているのだ。

強すぎたOnin選手

ポイントは、Onin選手がただ勝ったのではなく、圧倒的な強さを見せたこと。その最たる例がMkLeo選手を3タテした試合だ。MkLeo選手といえば『スマブラSP』のプロシーンでは圧倒的な強さを見せるメキシコのプレイヤー。大型大会では常に上位で、優勝もよくあること。王者と呼ぶ人もいるほどだ。同選手は今大会でも持ちキャラであるベレト/ベレスを用いて順調に勝ち進んでいた。

しかしMkLeo選手はWinners Round 1でOnin選手と対決。MkLeo選手は序盤こそいつもどおり巧みな立ち上がりを見せていたが、トリッキーなスティーブの攻撃に圧倒されていく。ブロックを使った距離管理、トロッコを使った牽制とトラップ、ツルハシのコンボやTNTブロックをまじえた多彩な攻撃の組み立てで、Onin選手はMkLeo選手を圧倒。特に衝撃的だったのはラストゲーム。Onin選手は、巧みな攻撃を用いて、ひとつもストックを落とさず、ベレト/ベレスを封じきった。若きOnin選手が、“王者”を完全にひねりきる試合模様は、視聴者に衝撃を与えたのだ。

優勝候補だったMkLeo選手を打ち負かしたOnin選手は、その後も勝利街道を爆進。Riddles選手とGlutonny選手、そしてMaister選手を倒し優勝を果たした。16歳の若者が強者たちを抑えた頂点に君臨したのだ。新たなスターの誕生に湧く一方で、議論も激化しつつあった。スティーブがあまりに強すぎるのではないか、という議論である。というのも、若き猛者がスティーブを使い強者たちを圧倒するという事例は、最近にも発生していたのだ。

相次ぐスティーブ使いのダークホース

具体的には、つい2か月前に実施された『スマブラSP』大会「The Gimvitational」でのこと。同イベントではさまざまな実力ある選手が招待され、その中には若き日本人のあcola選手も参加。当時15歳の青年が、スティーブを使って名だたる海外プレイヤーを撃破し優勝を勝ち取る快挙が起きた。その際に、スティーブを大会から締め出すように求めるプレイヤーやユーザーも生まれていた(関連記事)。

※ 実はあcola選手も「Super Smash Con 2022」に出場予定だったが、世界情勢を考慮し辞退していた


そんななか、「Super Smash Con 2022」で再びスティーブが猛威を振るったことにより、同キャラの性能に関する議論が激化している。MkLeo選手はスティーブの性能は強いとしつつも、自分が良いプレイをできなかったとコメント。負けた理由は理解しているとし、対策などにも取り組んでいくと振り返った。



相対したプロ選手たちはスティーブに意見あり

今大会でOnin選手に敗北したRiddles選手は、ディレクターの桜井政博氏に「スティーブを弱体化してください」とリプライで懇願。同じくOnin選手に敗北したGlutonny選手は、「スティーブを使った人は罵声を受け、使わない人は怒っている。スティーブは今誰にとってもよくない」とし、環境変化を訴えた。今大会に参加していたLight選手は「スティーブがこのゲームで強すぎるから、俺の仕事なくなるかも。マクドナルドでバイトするわ」と毒気強めのジョークを放った。いずれの選手はOnin選手を称えながらも、スティーブについては批判するスタンスをとっているようだ。


Onin選手当人はというと、自身のTwitterアカウントのIDを「@BanStevePLEASE(スティーブを禁止して)」にしており、その時点でうっすらと皮肉じみた自虐が感じられる。同選手は以前別のTwitterアカウントを利用していた時も「@WeHave2BanSteve(スティーブを禁止しなければならない)」というIDを使っていた。一貫してBANが求められていることを理解するようなスタンスを示している。今回の結果を受けてあcola選手も、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』にてベヨネッタが猛威を振るい使用者が批判された時代と結びつけつつ「スマ4のベヨネッタもこんな感じに言われてたのかな」とこぼしている。スティーブを使用し結果を残す選手たちもまた、複雑な立ち位置に置かれつつある。

強まるスティーブ包囲網

スティーブは強すぎると主張するプロ選手が多いなか、「スティーブはまだ対策が進んでいないので、そうした対策を見守るべき」という意見や、「『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』のベヨネッタほどではない」との意見も寄せられている。またこのスティーブをめぐる議論の中で、活動を休止していた人気選手Sparg0氏が、プロシーンに復帰し“自分が介入する”と示唆するコメントも残している。対スティーブをめぐってはちょっとした盛り上がりも起こっているわけだ。

Onin選手の実力も圧倒的ながら、スティーブの性能自体に強さの要因があることは結果が立証しつつある。あcola選手が優勝した時よりも“スティーブ警戒レベル”が高まってきたのは間違いないだろう。ただし本作ディレクターの桜井政博氏は、2021年12月のアップデートをもって、バランス調整は終わりであると明言済み。開発チームも解散したとしている。ゲーム側で調整が入ることは考えづらいが、今後『スマブラSP』を取り巻く環境はどのように変化していくのだろうか。



※ The English version of this article is available here

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