『スマブラSP』スティーブが海外大会で使用禁止にされはじめる。元凶は発見されたばかりの新グリッチ


大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)の競技シーンにて、スティーブ/アレックス(以下、スティーブ)を使用禁止(BAN)にする動きがみられる。この背景には、スティーブの新たなグリッチPhantom MLG(以下、PMLG)があるという。


『スマブラSP』は2018年に発売された対戦アクションゲーム。2021年12月に“最後のバランス調整”アップデートが実施。その後も公式大会だけでなく、国内外で非公式コミュニティ大会が活発に開催されている。発売から約5年を経た今でも活気の衰えない作品だ。

今回、そんな本作のいくつかの非公式大会の運営元より、スティーブあるいはPMLGを使用禁止とする旨が伝えられている。米国では現地時間3月4日より開催予定の非公式大会「Sweet Spot 7」にてPMLGが使用禁止に。さらに同大会運営元によると、今後はカンザス州全域やミズーリ州の3分の2の大会開催地区にて、スティーブ自体が使用禁止になるという。

また別の運営元が主催する、現地時間3月10日から12日まで開催される参加者600人以上の非公式大会「Collision 2023」でもPMLGが使用禁止グリッチになるとのこと。こちらも、今後同大会の運営元が主催する大会ではスティーブ自体が使用禁止となるそうだ。いずれの運営元も直近の大会ではPMLGを禁止するにとどめ、その後スティーブ自体を使用禁止とする方針をとっている。

PMLGは、最近になって発見されたスティーブのグリッチだ。空中で所定の操作をおこなうことで発動。くらっても転倒状態にならない弱い攻撃および一部多段ヒット技を受けた際の挙動が変化し、攻撃をくらった際の硬直状態をキャンセルできるとされる。つまり本来ヒット後の硬直によりその後のコンボや多段ヒットを受けるはずのところを、PMLGでキャンセルし空中回避などに繋げて抜け出せるわけだ。

なお『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズには、過去にもWobbling、Infinite Dimensional Capeといった大会やコミュニティで禁止されていたグリッチが存在する。無限にコンボあるいは無敵状態を続けるというグリッチであり、使われた際の運営側の判定が容易であった。

一方でPMLGは瞬間的に発動するため、使われたかどうかの判定が非常に難しいという。本作大会運営団体BackDashのTournament Organizer(TO・トーナメント主催者)を務めるLogo氏はいくつかの問題点を指摘し、PMLGを禁止することは現実的ではないとの見方を示している。

PMLGは比較的容易に使用できるため、スティーブのもともとの強力さに拍車をかけている点。さらに同グリッチを使ったかどうかを正確に判定するための人員や確認時間が必要になる点。また同グリッチはスティーブ使用者ならば意図せずして発動してしまう可能性もある点。そしてスティーブが人気キャラなため審判による判定が必要な試合も多くなる点。そうした理由からフロリダ州南西地区の非公式大会ではスティーブの使用禁止が決定したとのこと。現地時間3月1日からおこなわれる「Dragon’s Lair 67」より、禁止キャラとなることが伝えられている。

なお米国外ではヨーロッパの非公式大会「Tea Party 3」においてもPMLGが使用禁止となる旨が伝えられている。同大会においてはPMLGの仕様が疑わしい場合はリプレイを残して試合を終了。運営者による判定がおこなわれるそうだ。PMLGが使用されていた場合、使用者の敗北。PMLGが使用されていなかった場合、判定を申し立てた方の負けとなるという。各大会運営元によって対応に大きな違いがみられ、混乱を招いている状況といえるだろう。また同グリッチ登場による競技シーンへの波紋は世界中に広がっているとみえる。

PMLGが発見される以前にも。スティーブを大会で使用禁止にすることを求める動きは何度かみられた。スティーブは資源管理などでクセの強い性能を有するものの、それを使いこなす選手たちが世界大会を含む競技シーンで華々しい実績を残してきた。競技シーンにおいては、スティーブの使用禁止を求める声がたびたび巻き起こっていた状況であった(関連記事1関連記事2)。

今回、そんなスティーブがさらに有利となりうるグリッチであるPMLGが発見されてしまったわけだ。なお同様のグリッチはシュルクでも確認されているものの、先述のLogo氏はスティーブのもともとの強さから使用禁止にした旨を伝えている。ほかの複数の大会運営元からもスティーブが使用禁止キャラとされつつあるのも、そうした背景があるからだろう。なお本作ディレクターの桜井政博氏は、2021年12月のアップデートをもってバランス調整は終わりであると明言済み。開発チームも解散したとしている。一方でバグ修正などについては、対応の選択肢は除外されていない。なんらかのかたちで対応されるのだろうか。