SIEが『Destiny 2』開発元Bungieの買収を発表。独立した運営でマルチプラットフォーム展開は継続

 

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2月1日、デベロッパーのBungieを買収することで合意したと発表した。業界誌GamesIndustry.bizによると、買収金額は36億ドル(約4140億円)になるとのこと。

Bungieは、現在『Destiny 2』シリーズを開発・運営しているアメリカのデベロッパーだ。1991年に設立後、『Marathon』シリーズや『Oni』などの人気作をリリース。そして、マイクロソフトのXboxを代表するFPSシリーズとなる『Halo: Combat Evolved』を手がけ、同時期に同社の傘下に入る。その後『Halo: Reach』まで同シリーズに携わるが、この間にはふたたび独立し、新規IPである『Destiny』を世に送り出した。

今回の買収にあたってSIEのPlayStation Studios代表Herman Hulst氏は、Bungieはコミュニティ主導のゲーム開発をおこなうスタジオであり、SIEの傘下スタジオ群であるPlayStation Studiosは、Bungieと知見を共有し、学べることを楽しみにしているとコメントしている。

またBungieも声明を発表。ゲームには無限の可能性があり、エンターテイメント業界において価値あることをするには、同スタジオのビジョンやスタジオ自身、また人々にとって忘れがたい世界を作り出す信頼できる素晴らしいスタッフたちに賭ける必要があると述べる。そのうえで、Bungieのクリエイティブ面での独立性を維持しながら、同スタジオのビジョンを加速させ、無条件にサポートしてくれるパートナーとして、SIEを選んだのだとした。

また、両社はBungieが作り出すIPにおいてゲーム世界というのは始まりに過ぎないともコメント。国や世代を超え、また複数のプラットフォームやエンタメメディアにまたがる、象徴的なフランチャイズを創造し育てていくという夢を共有しているとのこと。そして、Bungieは今回のSIEの傘下入りをもって、グローバルなマルチメディア・エンターテイメント企業への第一歩を踏み出したと宣言した。

SIEによると、Bungieは今後も独立して運営され、マルチプラットフォームで展開するパブリッシャーとして活動するという。すなわち、『Destiny 2』のマルチプラットフォームでの運営は今後も継続されるということだろう。Bungie側の声明のなかでも、今あるコミュニティに向けて同社タイトルは引き続き提供されると言及されている。

またBungieは、あらゆるポジションにわたるスタッフ募集を開始し、スタジオの規模を拡大させることも発表。これは『Destiny 2』のサポートを充実させることと、将来の新たな作品に向けたものであるとのこと。

近年、SIEはスタジオ買収によりPlayStation Studiosを拡大させている。最近では、『Demon’s Souls』『ワンダと巨像』などのリメイクを手がけたBluepoint Gamesや、『Returnal』の開発元Housemarque、PC移植や開発サポートをおこなうNixxes Softwareなどを傘下に収めている。そうしたなかでも、老舗デベロッパーであり著名な作品を数多く世に送り出してきたBungieの買収は、特に大型の案件であるといえるだろう。

前出のGamesIndustry.bizの代表Christopher Dring氏はSIEのCEO Jim Ryan氏に取材したうえで、今回の買収はこの半年ほどをかけて進められてきたとし、マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収発表などを受けたものではないとコメント。Bungieにはライブサービスやマルチプラットフォーム開発のノウハウがあり、SIEは技術およびマルチメディア展開の強みがあって、それらをお互いが必要としたことが今回の買収の背景にあるとのこと。また、Ryan氏は今後さらなる買収をおこなう考えも語ったそうだ。