『FIFA 22』発表に一部から不満寄せられる。 次世代コンソール版へのアップグレードは1万3000円の「Ultimate Edition」にのみ用意、PC版は新機能見送りなど


Electronic Artsは7月12日、サッカーゲーム『FIFA』シリーズの最新作『FIFA 22』を発表した。本作はPCなどのほか、PlayStation 5/PlayStation 4およびXbox Series X|S/Xbox Oneの新旧両コンソール世代に向けて発売される。

そこでEAは、たとえばPS4版の購入者が、あとでPS5版にアップグレードできる仕組みを用意。ただ、その仕組みはファンには不評のようだ。海外メディアEurogamerなどが報じている。


『FIFA 22』では、新たなゲームプレイテクノロジー「HyperMotion」を導入する。ピッチ上で11対11の試合をおこなうプロ選手の動きをモーションキャプチャし、さらに独自の機械学習アルゴリズム「ML – Flow」も活用することで、選手キャラクターのリアルなアニメーションをリアルタイムで作成。ピッチ上のあらゆる瞬間を、実際のサッカーさながらに描写するとしている。

この新要素は、PS5/Xbox Series X|S/Stadia版にのみ実装されるという。おそらく、それなりのマシンパワーが求められる機能なのだろう。そのため、もしXbox One版を購入したとしても、のちにXbox Series X|S本体を入手した場合は、アップグレードするメリットがあるというわけだ。

ただアップグレードするにあたっては、デュアルエンタイトルメントと呼ばれるアップグレード権が含まれる「Ultimate Edition」を購入していなければならない。通常版向けの有料あるいは無料のアップグレードプログラムは用意されておらず、もしPS4/Xbox One向け通常版を購入した場合は、PS5/Xbox Series X|S版を買い直す必要がある。


本作の価格は、Ultimate Editionが1万3000円、PS5/Xbox Series X|S通常版は9700円、PS4/Xbox One通常版は8700円となっている。Ultimate Editionには、発売日の4日前からの先行アクセス権や、ゲーム内アイテムなども収録されている。ただ、将来のアップグレードを主目的にするユーザーからすると、実質的に比較的高額な有料アップグレードと映るだろう。また、Ultimate Editionはダウンロード販売のみのため、パッケージ版を好むファンならさらに悩ましいところかもしれない。

実はEAは、前作『FIFA 21』でもデュアルエンタイトルメントを用意していたが、こちらはUltimate Editionであれ通常版であれ、無料でアップグレードできた。さらにパッケージ版であっても、EAに連絡し購入を証明すれば次世代機版のコードが発行。かなり寛容な姿勢を示していたにもかかわらず、『FIFA 22』では一転して上述した方式に変更した。

PS5やXbox Series X|S本体の品薄が続くなかにおいては、将来的なアップグレードを見込んでいるファンは少なくないだろう。仮に、通常版とUltimate Editionの差額の3300円をアップグレード費用だと考えると、有料アップグレードとしては高額な部類に入る。HyperMotionをはじめとする新機能が、その価格に見合うと考えるかどうかによって見方は変わるだろうが、前作が無料だっただけに不満をもつファンが多いようだ。


ちなみに本作においては、PC版に対するファンからの批判の声も聞かれる。というのも、先述したHyperMotionなどの新機能が、PC版には実装されないためだ。Stadia版には実装されるため、PCに対応できないというわけではないだろうが、次世代コンソール向け新要素のPC版への導入が見送られるのは、前作『FIFA 21』に続いて2度目。Steamの掲示板では、本作のボイコットを呼びかける意見まで見られる。前作ではEAは、幅広いPC環境のユーザーをサポートするため、最低動作環境を低く抑えた結果であったと説明(Eurogamer)。今回も同様の判断がおこなわれた可能性が高そうだ。

FIFA 22』は、PC(Steam/Origin)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Stadia向けに、10月1日発売予定だ。Nintendo Switch向けの『FIFA 22 Legacy Edition』も同日発売される。